【アルバム紹介】The Get Up Kids 切なく青いエモーショナル・ロック

Jimmy Eat Worldと共にエモを一般層にまで波及させたアメリカのエモ・バンド。1999年にリリースした2ndアルバム『Something to Write Home About』はエモ重要盤のひとつ。本記事では初期2作品を紹介しています。

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Four Minute Mile(1997)

 #1「Coming Clean」から掻き鳴らすギターと蒼い疾走感に昂ぶりを覚える。そんなエモの代表格として名高いThe Get Up Kidsの記念すべき1stアルバム。彼等と言えば、2ndアルバムが現在でも90’s エモの名盤として君臨しています。ですが、Bob Weston(Shellac)によるプロデュースのもとで、2日間でレコーディングされたという本作もまた、好感の持てるデビュー作です。

 この当時は現在と違って4人編成で、しかも彼等は高校生だったそう。そのために思春期の焦燥感やあどけなさ、荒削りな部分が何とも言えない味わいになっており、その前のめりな姿勢も手伝って、不思議なスパイスとして楽曲に効いている。多分に感じられる甘酸っぱさ、切なさ、熱量はもう若さゆえの特権と言うべきレベルのもの。

 メロディック・パンク風とも取れる小気味よいドライヴ感とナイーヴなメロディを持って突き進み、ピュアで熱い感情が胸の奥底に訴えかける。#2「Don’t Hate Me」を始めとして、これぞ初期衝動というものが詰まった1枚。澄んだ青空も穏やかな風も味方につけて、どこまでも走っていく若さゆえのエネルギーに溢れています。

Something to Write Home About(1999)

 エモの代名詞といえる存在のGet Up Kidsが残したこの2ndアルバムは、エモ最重要盤のうちのひとつ。#1「Holiday」から蒼さ全開で甘酸っぱく駆け抜け、ひたすらポップなメロディが踊る#2「Action & Action」、青春時代の一ページを思い出すような哀愁溢れた#3「Valentine」へと繋がる。

 その後も枯れたアコギとウェットなキーボードを添えた弾き語りの#5「Out Of Reach」、ポジティヴに突き抜ける疾走曲#6「Ten Minutes」、彼等らしいエモーションに溢れた#11「Close To Home」と楽曲は揃う。

 聴いていると、ポップパンクだとかギターロックとかに分類されそうな爽やかさで軽快な疾走感が強く印象に残るが、その上で無垢な真っすぐさとナイーヴな心情を上手く表現しているように感じる。思わず後ろを振り返ることもあれど、前に向かって走り出すポジティヴさ、切ない青春時代を思い出しながら駆けだしたくなるようなエモーショナル・ロック。The Get Up Kidsが残したエモの金字塔です。

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