【アルバム紹介】THE DONOR『AGONY』、血も涙も無いエクストリームサウンド

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AGONY(2014)

 日本海を漆黒に染めるエクストリーム・ミュージックの極北。石川県金沢市の3人組であるTHE DONORの1stアルバム。有象無象を物凄い勢いで蹴散らす#1「Fearless」からして馬力が違う。重戦車が時速300kmで突撃して来るかの如き。ハードコアを基点に、メタルやクラスト、スラッジ、グラインドコア等を練り込んで培養した壮絶なサウンドを轟かせます。

 それこそDEATHWISHやSouthern Lordといったレーベルからリリースされていてもおかしくないレベル。TragedyやTrainreckといったバンドにも近しい感触を覚えながらも、大和激情エモーショナルを乗せて、あらゆるものを粉砕していく。

 74秒に渡る拷問劇#2「Flood Of Fury」、激走ハードコアの美学と殺傷力を詰め込んだ#3「Circle」という序盤の衝撃もさることながら、アルバムを通しての緩急の付け方も練られています。特に世の会いたいバカどもにドゥーム地獄を見舞う#6「Feeding by the worm」は強烈。スロウテンポと引き摺る様なリフの反復に脳味噌が掻き乱されてしまいます。

 再び猛烈なスピードで畳みかける#7「Unforgiven」以降も圧巻で、”瞬・重・殺”を研ぎ澄ませた音が人々を狂乱へ陥れる。この暗黒重金属の波動は、最前線で戦い続けた漢たちで組んだバンドだからでしょう。あまりにも痛快。

 ラストの流れも圧巻だ。いきなりHR/HM的なギターソロを掻き鳴らす#10「Thousands Come」、それに本作の中で最も陽性のメロディとドラマティック爆走を聴かせる#11「Shine」にブチあがり、残忍極まりないドゥーム/スラッジ#12「Keshite」で記憶を全て消して奈落の底へ。12曲約36分という内容ながら、壮絶な音塊をとめどなく浴びせ続けます。血も涙も無い激化したエクストリーム・ミュージック。

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