【アルバム紹介】TUSK、Pelicanのもうひとつの顔となるグラインドコア

 1998年に結成されたシカゴ・イリノイのグラインドコア/スラッジメタル・バンド。Pelicanが元々はサイドプロジェクトだったのは有名な話で、実は本隊はこちらのTuskだったり。

 Pelicanがオーロラのように美しいサウンドを鳴らすのに対して、Tuskは凶悪を追求したグラインドコアバンド。対極に位置するバンドの2面性というのが見えるのでおもしろいです。

 本記事は2nd、3rdアルバムの2作品について書いています。

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アルバム紹介

Get Ready(2002)

 1stアルバム

メインアーティスト:Tusk
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Tree of no Return(2004)

 2ndアルバム。”悪夢のようなヒンターランド(都市と物資・サービスの流動や通勤流動がなされる周辺地域)に絶望的に取り残された孤独な漂流者の厳しい物語を語る5曲入りのコンセプト・アルバム”。

 #1「Tree Of No Return」のイントロで不穏な空気が漂いますが、ひとつスイッチが入るとヴォーカル・楽器陣とも阿鼻叫喚っぷりが凄まじい。

 #2~#3では不倶戴天をぶつけるほどの突進と不気味に呪い殺すような儀式めいたサウンドが融合。冒頭3曲で所要時間約5分30秒ですが、このグラインド・コアは痛烈無比の無慈悲なモンスターといえるインパクトを残します。

 そんな前半の暴風雨の後は、Pelicanのような8分の長尺曲#4~#5が出迎えます。Pelicanからのフィードバックも感じさせますが、Kayo Dotにも似た奇怪な音楽性を展開。肉体的にも精神的にも降参を迫る全5曲25分弱となっています。

 美しい自然を荒れ果てた大地に変えてしまう圧倒的な負のエネルギーが充満している。

メインアーティスト:TUSK
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The Resisting Dreamer(2007)

 3rdアルバムにして最終作。ヴォーカリストが参加できず、Young Widowsのエヴァン・パターソンとKayo Dotのトビー・ドライヴァーを共同ヴォーカルに迎えています。

 本作に収録されている4曲は、約20分に及ぶ組曲形式の#1~#3と約17分の#4という構成。徹底的に獰猛で荒れ狂うグラインドコアというよりは、激しさと美を包括したスラッジ・ドローン系の楽曲に仕上げているように感じる作品です。

 Pelicanでつちかった音楽性をうまくフィードバックしてきたという印象であり、凶悪であり続けるという設計図からは少し離れています。

 組曲2つの形式にしたことで、どこか破滅と隣り合わせの美が意識に入り込んでおり、プログレッシヴな構成もそれを手伝う。特にひとつめの組曲のラストを飾る#3。SUNN O)))を思わせる強烈な轟音ドローンの中に儚い美しいメロディが沁み込んでいる。

 速さのアプローチよりもゆったりと精神破壊を引き起こしてくるのがこの作品の主語となっていて、暗黒色に染まった音の激流に溺れるのみです。

メインアーティスト:TUSK
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