Vestiges、ネオクラスト~ポストメタル経由の重々しい闇世界

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 2010年にワシントンで結成されたバンド。中心にハードコアがあるが、ブラックメタルやクラスト、Dビート、スクリーモ、ポストロックに影響を受けている。音楽と歌詞のメッセージを明確にすることを目的としたバンドであり、人間と自然の関係についての物語を中心とした一連のアルバムに取り組んでいます。本記事は1stアルバム『The Descent Of Man』、スプリット作1枚について書いています。

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The Descent Of Man(2010)

   1stフルアルバム。全7曲約46分収録。Introの#1、Outro#7にLVMENのように通し番号で繋がった#2「Ⅰ」~#6「Ⅴ」で描かれる重々しい闇世界。テーマに”人類の創造、進化、そして最終的な消滅”を描いています。

 基調となっているのは、Fall Of Efrafaに影響を受けただろうネオクラスト~ポストメタル。暗闇の奥へ奥へとヴィジョンを拡げていく重厚なサウンドは、破滅的かつ呪術的。地を捲り上げるスラッジ風リフからどっしりとした進行を見せたかと思うと、ブラックメタル風の疾走パートを組み込んだり、ドラマティックな起伏を描いたり。多彩な表情を見せていく。黒

 々しい邪念の乗った絶叫は聴かせ続けるヴォーカルはそれだけで存在感が大きいし、楽器陣のアンサンブルも迫力がある。いきなりFall Of Efrafaに迫る音像を轟かせる#2「Ⅰ」が強力だし、アンビエントの領域まで沈みクライマックスで暴発する#4「Ⅲ」、ネオクラスト~ポストブラックの領域まで踏み込んでいく10分超の#5「Ⅳ」にしても口あんぐり。不穏なSEが緊張感を持って物語を締めくくる#7まで深い闇の世界に取り込まれたかのような気分。

 トレモロやブラストを交えた疾走パートからは現在進行形のポストブラック勢と親和を図られ、ポストロックのたおやかさやアンビエント色も柔軟に取り入れています。静動と速遅の落差も研ぎ澄まされた美的感覚のもとに結実。創造されいてく独自のネオクラスト~ポストメタルは確かな求心力を持った作品です。

Split -With. Ghaust-(2011)

   インドネシアはジャカルタのインスト・デュオGhaustととのスプリット作品。Vestigesが約10分の1曲でGhaustは5分台の曲2曲を提供している。

 まずは先行のVestigesだが、曲タイトルは「Ⅵ」と前作から連続していることを示唆しています。もはや完全にLVMEN手法。1曲でVestigesというバンドの音楽性が凝縮された内容で、ポストメタル風の荘厳長大な構成に磨きをかけつつも、激情ハードコア~ネオクラスト~ポストブラックな攻撃性が随所に暴発する。

 暗闇の底に沈んでいくような静寂のパートから堰を切ったかのように凶暴なアンサンブルで畳みかけ。10分をかけて実に混沌とした世界観を突きつけると同時に己の音楽性への自信も伝える楽曲に仕上がっている。だからといって手軽に聴けるという軽いものではないですが、バンドの入り口となる曲とはいえます。

 そして後攻のGhaust。ギターとドラムのデュオ編成ということは5iveを連想する方もいそうだけど、こちらはPelican風のインスト・ポストメタルと表現した方が近い。それにしては激情系ハードコアに通ずる疾走パートを上手い事ミックスしているのが特徴的。

 美しくヘヴィなギターと重量感のあるドラムを軸に、きっちりと物語として昇華。とりわけ、ハイハットの刻みから一気にドライヴして激情ハードコアの激性からドラマティックなサウンドを上手く表現しきった#2が印象に残る。柔和なメロディを中心にしてより叙情的に仕上がった#3もなかなか。世界には無名のいいバンドがまだまだたくさんいる。

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