2022年 ベスト映画10選 & ベスト本10選

年間ベスト企画の最後を飾るのは、映画&本編でございます。今回はまとめて掲載。

以下の形で選出。全作品に感想をつけています。
順位はつけてませんが、一番良かったものには記述いれています。

・映画は劇場鑑賞数38本の中から選出。
 基本的にはヒューマンドラマ9割、他1割ぐらいの割合で観ています。

・本は読了数110冊の中からジャンル関係問わずに良かったものを選出。
 22年発売を中心にしていますが、旧作も少し含んでいます。

【スポンサーリンク】
目次

2022年ベスト映画10選

偶然と想像

 2022年1月2日。今年最初に観た映画。濱口竜介監督のオリジナル脚本による3つの短編集。3つの話はいずれも40分程度。メインの登場人物2-3人による会話劇がひたすら続き、そこからの想像。人生は偶然によって転がり、積み重なる。偶然が全てを壊すことがあれば、全てが生まれることだってある。2本目「扉は開けたままで」の渋川清彦さんの役柄は、吉村萬壱先生をなんとなく想像させた。純文学をよく読むゆえにこの話が一番おもしろかったですね。

NEOPA
¥3,952 (2023/02/08 17:23時点 | Amazon調べ)
\お買い物マラソン開催中!/
楽天市場

窓辺にて

 城定監督とのコラボ作『愛なのに』も良かったが、やはりこちら。今泉力哉監督の最新作。妻(中村ゆりさん)の不倫を知っても怒りがわかなかった主人公(稲垣吾郎さん)が、それがなぜかを考察し続ける。不倫を扱っていても下劣なののしり合いにはならず、上品な筆致で編み上げる会話劇。内省的で大人の作品という印象が強い中、所々でクスっとなる魔法がかかっている。悩んでいる時間は贅沢なのか。”手放すこと”と”手に入れること”は等号で釣り合うのか。感情は言葉にすべきなのか。その全てを言葉にできるものなのか。小説家を題材にしているだけあって、こういった問いかけが投げ込まれる。何よりもナチュラルな佇まいのまま成立する稲垣吾郎さんの存在感が凄い。

マイ・スモール・ランド

 役中の少年と同じように”クルドってどこ?”という状態で鑑賞しましたが、本作はクルド人一家の高校生長女を視点にして難民問題を中心に描く。日本における難民認定率の低さにまず驚きます。そして物語の途中で主人公一家は在留資格を失くしますが、これによって働くことも健康保険に入ることも居住地の県を越えた移動もできない。ヤングケアラーやパパ活なといった問題も本作は絡ませている。そんな中で主人公は自身のアイデンティティに悩み、将来に迷うが決意のある表情で迎えるラストが美しい。淡々と事象を重ねつつ誠実な物語に仕上がっている。ROTH BART BARONによる劇半がまた良い。

出演:嵐莉菜, 出演:奥平大兼, 出演:平泉成, 出演:藤井隆, 出演:池脇千鶴, 出演:アラシ・カーフィザデー, 出演:リリ・カーフィザデー, 出演:リオン・カーフィザデー, 出演:韓英恵, 出演:サヘル・ローズ, Writer:川和田恵真, 監督:川和田恵真, クリエイター:「マイスモールランド」製作委員会, プロデュース:濵田健二, プロデュース:森重宏美, プロデュース:伴瀬萌
¥440 (2023/02/08 17:23時点 | Amazon調べ)
\お買い物マラソン開催中!/
楽天市場

PLAN 75

 日本を再生するために【75歳以上の高齢者が自由に生死を選べる】国策を打ち出した近未来を描いたもの。とはいえ未来というか現実を見ている気しかなく。倍賞千恵子さん演じる78歳女性が、本当にその辺りを生きている市民という感じが強い。年齢を理由に簡単に切り捨てられ、断られ続け、それでも丁寧に生きてきたことが所作に表れる。安楽死云々に関しては本作品の形ではないにせよあってもわたしは良いと考えているし、将来的な選択肢として持てればとも思う。とはいえ、本作では人が生きていくことの美しさと残酷さを同時に突き付けられたことが強烈に残っている。

神は見返りを求める

 吉田恵輔監督の最新作。相変わらず人間のイヤ~な部分を存分に見せてくれる。底辺YouTuberの大躍進・・・からのいろんな意味での泥沼劇。ムロツヨシさんと岸井ゆきのさん、最初の平和と友好はなんだったんだ!?ってぐらいにこじれ、壊れていく。善意と人間性、ビジネスライクのドライな人付き合い、コンテンツとしての異常な消費スピード。YouTuberならではの見つけてもらうまでの大変さ、見つけてもらってからの大変さ。一時のおもしろさは善悪のリミットを簡単に狂わせる。ムロツヨシ氏の本作中における変貌ぶりには脱帽。そして保証人にはなるな!という人生の鉄則を再認識します。

ライツキューブ
¥4,845 (2023/02/07 00:45時点 | Amazon調べ)
\お買い物マラソン開催中!/
楽天市場

ケイコ 目を澄ませて

 耳が聞こえないプロボクサーを描いた作品。聴覚障害のある元プロボクサー・小笠原恵子さんの『負けないで』を原案に三宅監督が映画に落とし込む。インスト・ポストロックのように語らずとも雄弁に。耳が聞こえない代わりに目が語る。ボクシングという大枠はあるにせよ、汗臭いスポ根ものではない。練習風景や普段の仕事、映し出される東京下町などを通して淡々と描かれているのはひとりの人間が持つ心情と生活感。ボクシングを続けることへの葛藤がある中、終盤に読み上げられていくケイコがつけてきた日記からは、生きていくことは積み重ねなんだと実感する。岸井ゆきのさんは上記の『神は見返りを求める』と『やがて海へと続く』を含めて今年3本観ていますが、役のインパクトは本作が一番強烈でした。

あのこと

 2022年のノーベル文学賞に選ばれたアニー・エルノー氏の小説『事件』を原作に映画化。2021年のヴェネチア国際映画祭金獅子賞受賞。原作を読んでからの鑑賞です。端的にいえば”痛みを体験する映画”。1975年まで中絶が法律で禁止されていたフランス。1960年代後半の同国を舞台に、大学生である女性アンヌが望まぬ妊娠をしてから中絶するまでの数週間を描く。刻々と期限が迫る中で焦りと不安が増し、なのに味方はほとんどいない。膨らんでくるお腹と対峙しながら孤独の戦い。覚悟を持って観に行かないと終盤は、どんなホラー映画よりもキツいリアルな描写がある。

著:アニー エルノー, 翻訳:堀 茂樹, 翻訳:菊地 よしみ
¥1,069 (2023/02/05 17:17時点 | Amazon調べ)
\お買い物マラソン開催中!/
楽天市場

アザー・ミュージック

 音楽映画もひとつ。1995年から2016年まで21年にわたって営業していたニューヨークの伝説的レコード店のドキュメンタリー。音楽が人を繋げるのか。人が音楽を繋げるのか。店員からにじみ出る”好き”に圧倒され、この場所が担ってきたものの大きさを痛感する。そして閉店に向かって募るさみしさ。それでも店の雰囲気は十二分に伝わってきます。エンドロール後に監督と創業者2人のメッセージが流れましたが、尊い言葉です。鑑賞者は、アザー・ミュージックを通して自分が通ったCD/レコード店、他にも本屋だったり、映画館だったりを思い出すのでは。個人の勝手な追想記にもなる作品。

ノーブランド品
¥19,980 (2023/02/01 16:55時点 | Amazon調べ)
\お買い物マラソン開催中!/
楽天市場

THE FIRST SLAM DUNK

 中学~高校1年(98~01年頃)にバスケ部だった私にとって『SLAM DUNK』『I’ll』『DEAR BOYS』はバスケ漫画3種の神器。コービー・ブライアントは神のような存在でした。若かりし頃、バイブルの用に繰り返し読んだスラムダンクと20数年ぶりに映画館で向き合うことになるとは。内容についての事前情報がほとんどないまま、公開日初日の朝イチで鑑賞。”知っているスラムダンク”と”知らないスラムダンク”が半々だった。最初の何分かは、何を観させられているんだとさえ思った。でも、チバユウスケ氏の声に乗せて湘北メンバーが浮かびあがってきたところから熱くなった。そして物語に進むにつれてスラムダンクにしかない感動と興奮が増幅。試合ラスト20秒。映像になっても奇跡は起きました。

著:井上 雄彦
¥1,888 (2023/02/02 10:06時点 | Amazon調べ)
\お買い物マラソン開催中!/
楽天市場
著:井上 雄彦
¥13,255 (2023/02/07 00:45時点 | Amazon調べ)
\お買い物マラソン開催中!/
楽天市場

RRR

 『バーフバリ』のS.S.ラージャマウリ監督の最新作。3時間超えの大作。実在したインド独立運動の闘士2人の物語ですが、そこはあまり気にしなくても良いです。バーフバリを超えるぐらいにアクションもダンスも友情もやり過ぎ。人も豪快なぐらいにいっぱいお亡くなりになる。デカ盛りの提供続けないと死ぬレストランっていうぐらいフルコースで味付けも濃すぎ。エンディングも弾けないバブルのような景気の良さ。映画は理屈じゃねえんだというパワーがあるのをまざまざと思い知らされた3時間。なんだかんだ一番おもしろかったのは『RRR』でした

2022年ベスト本10選

凪良ゆう『汝、星の如く』

 正しさ、自己責任、毒親、ヤングケアラー、田舎のムラ社会、家族形態、ちょっとだけ宗教。昨今に話題になる事柄を含んでいますが、今治・瀬戸内を舞台に15年に及ぶ男女の恋愛物語として、また人としての生き方を問う物語として貫かれる。”自分で自分を養える、これが生きていく上での最低限の武器です” こういう現実的なセリフが印象に残りましたが、文章が研ぎ澄まされて美しく、物語の余韻が続く。今年読んだ小説の中では1番良くて、すごく引き込まれました

著:凪良 ゆう
¥1,760 (2023/02/02 10:06時点 | Amazon調べ)
\お買い物マラソン開催中!/
楽天市場

村田沙耶香『信仰』

 かたやカルトを信仰し、かたや現実を信仰する。見たいものだけを見る、信じたいものを信じる中で、人々はどんどんとそれに縋っていく。ぶっ飛んでいく終盤における教祖と信者たちの儀式。そこは当ブログの読者にはNeurosisの「Cleanse」をBGMに添えて読むことをオススメしたい。ただ一番読んでてびっくりしたし、笑ったのは”鼻の穴のホワイトニング”。何それ?と調べましたが、実際にそんなものは無かった(笑)。短編「気持ちよさという罪」で書かれた多様性は、著者の自戒も含めて響くものがありました。

“現実こそ、あなたの洗脳です。それこそがあなたが一生を共にする美しく完全な幻覚なのです”

本書P44より
著:村田 沙耶香
¥1,320 (2023/02/02 10:07時点 | Amazon調べ)
\お買い物マラソン開催中!/
楽天市場

清田隆之『自慢話でも武勇伝でもない「一般男性」の話から見えた生きづらさと男らしさのこと』

 著者を聴き手に10人の男性が話す自分のこと。本書に出てくる10人にはお笑い芸人だったり、東大生だったり、サラリーマンだったり、シングルファーザーと立場はそれぞれ。さらにDV経験や非モテ意識ある人が登場したりする。彼等の赤裸々な自己開示を通して読者が見つめ直す”男性”という属性。共感するところもあれば、なぜそんなことをしたのかって思うところも当然ある。それでも、みんな弱さを隠しながら懸命に生きている。

バラエティ豊かな人生録でありながら、同時に典型的かつ普遍的な男性問題が随所に沁みこんでいるような、そんな一冊になったのではないかと思っている。10人の身の上話からは、男性であることに付随する規範や役割意識に囚われながら社会的に生きるがゆえに抱かざるを得ない葛藤や屈折が見えただろうか。

本書あとがきより
\お買い物マラソン開催中!/
楽天市場

稲田豊史『映画を早送りで観る人たち』

 作品の供給過多によって鑑賞よりも消費へと向かう人々についての解説書。特に若い世代に見られるこの傾向について背景にある技術革新、現代人の多忙さとSNS、タイムパフォーマンス志向を挙げている。一時期話題になってたイントロ飛ばす、ギターソロいらないも本書の内容に属すことでしょう。世の中自体が”待てない社会”になっている。わたしは音楽や映画ではやらないけど、情報収集する場合は1.5〜2倍速で視聴しているのでそっち側と言えなくもない。とはいえこのブログがやっていることは、みなが感動したイイモノではなく、個人が勝手に感動したものを勝手にオススメしており、無駄でコスパが悪いことでしかない(笑)。ただ、わたしも思いますよ。コンテンツが多すぎて追いつかないってことは。

レジー『ファスト教養』

 第5章【文化を侵食するファスト教養】が特におもしろく、”ファスト教養視点で読み解く『花束みたいな恋をした』”は本書の内容をわかりやすく伝えている。社会人になってエンタメからどんどんと離れていき、ビジネスパーソンとして教養本を貪るように読み続ける姿は、多くの現代人に当てはまる。上記の『映画を早送りで観る人たち』についても本章で記述。結局は現代を覆うコスパ/タイパ志向、自己責任論からくる不安が拭えない限り、状況は解消されないとレジー氏も述べている。

ファスト教養の時代において、「作品を堪能する」といった姿勢は無条件で受け入れられるものではなくなってきた。当たり前の話だが、二時間じっくり映画を楽しんでも必ずしもお金を稼ぐこととはつながらない。単に話を合わせる(その作品を知っていると表明する)ことが目的であれば、最初からあらすじと結論だけを知ろうとする方がコスパが良い。今の時代のエンターテインメントは、そういった空気と向き合う必要が出てきている

本書P147より
著:レジー
¥1,056 (2023/02/01 16:56時点 | Amazon調べ)
\お買い物マラソン開催中!/
楽天市場

オリバー・バークマン『限りある時間の使い方』

 タイトルからして”1日の無駄な時間を排除して、生産性を上げよう的な本”だと思ったら全く違いました。喜びなき切迫感、生産性地獄に陥る現代人に警鐘を鳴らす。人生は4000週間と帯にもあるように、時間が限られていることを受け入れた上で現実を直視する。無限の生産性やスピードを求める社会を自分一人で覆すことなんてできない。その現実を理解したときに初めて、世の期待に振り回されずに、今できる最前の生き方を選ぶことができると著者は言う。”希望を捨てることは肯定であり、始まりの始まり”。

時間は私を構成する実体である。時間は私を押し流す川だが、私がその川である。時間は私を焼き尽くす火だが、私がその火なのである。

本書P250より *大元は作家ホルヘ・ルイス・ボルヘスの言葉
かんき出版
¥1,870 (2023/02/08 17:23時点 | Amazon調べ)
\お買い物マラソン開催中!/
楽天市場

國友公司『ルポ路上生活』

 『ルポ西成』の著者によるルポ路上生活。著者自らが2021年7月から2カ月間、実際にホームレス生活をして新宿や上野で過ごす。その生活内容や他のホームレスたちの実情をつづった本。所持金7,000円からスタートしたけど、最終的にはお金はそんなに減ってない。支援や生きていくための選択が複数あるから。食に関しては都心が関係しているからか、炊き出しツアーができるぐらいに選択肢が持てる。シャワーや洗濯などのサービスもある。逆になぜ生活保護を受けないのかについても、人それぞれの事情による。ホームレスの中にもグラデーションがあるということ。知らないことを知れる一冊。

著:國友 公司
¥1,650 (2023/02/02 10:07時点 | Amazon調べ)
\お買い物マラソン開催中!/
楽天市場

近藤康太郎『三行で撃つ 〈善く、生きる〉ための文章塾』

 読んでいる間中、ずっと説教されている気分になるぐらい効く文章術の本でした。紹介されている25発には早速、実践できることもあれば、長い時間をかけて培えることもあり。文章術の本は何十冊も読んでいますけど、久々にガツンと来る内容でした。

わたしたちは、読書エリートに向けて文章を書いているのではない。であるならば、三行以内で撃ってくれ。驚かせ、のけぞらせてくれ。いい、悪いではない。いま、文章を書く人の書き出しは、そうあらざるを得ないんです。最初に、銃を見せてくれ。(中略) 一行目はのけぞらせろ。

本書P24,25より
CCCメディアハウス
¥1,650 (2023/02/02 10:07時点 | Amazon調べ)
\お買い物マラソン開催中!/
楽天市場

冬将軍『知られざるヴィジュアル系バンドの世界』

 

 単独で記事にしています。著者の冬将軍氏は本書の内容について“ヴィジュアル系私観史”と謳う。裏テーマとして”ヴィジュアル系を通して見た日本のロックシーン“。特定のシーンを語っているけれど、他ジャンルや洋楽からの影響も踏まえて丁寧に解説されている。特にニューメタル~ミクスチャー関連の言及は濃い。該当アーティストに対して本書用の新規インタビューはなく、著者の考察や実経験に基づいたコラムで構成。このパワープレイで書き切ってしまうことがとにかく凄い。当時リアルタイムで追っていたからこそ書ける”知られざる”の部分が多すぎて、おもしろかった。

楽天ブックス
¥1,210 (2023/02/03 14:02時点 | 楽天市場調べ)
\お買い物マラソン開催中!/
楽天市場

s.h.i.『現代メタルガイドブック』

 今年もディスクガイドがたくさん出た中で一番インパクトがあったのがこちら。Boris、Devin Townsend、Ulver、Napalm Death、The Body、Meshuggah、Bring Me The Horizon、聖飢魔Ⅱ、DIR EN GREY、BABYMETAL。この10組を現代のメタル領域における重要グループとして第1章で解説しているのが新鮮。その後はHR/HMの歴史を紐解き、サブジャンルもくまなく盛り込み、ジャンル外音楽を言及し、最終章で日本のメタル周辺音楽を手厚くサポート。メタルという大きな木に対して、従来にはない視点を増やせば枝はもっと多くあり、葉っぱの部分となる作品群も彩り豊かであるということ。メタルは奥が深い。

Pヴァイン・レコード
¥2,860 (2023/02/07 00:45時点 | Amazon調べ)
\お買い物マラソン開催中!/
楽天市場

2022年のベスト記事一覧

【スポンサーリンク】
S H A R E
  • URLをコピーしました!
【amazonで購入する】
【スポンサーリンク】
目次