【ライブ感想】2010/05/25 UNEARTH & THE BLACK DAHLIA MURDER @ 名古屋クラブクアトロ

 2000年前後に台等したメタルコアというジャンルは、今ではここ日本でも数多のバンドの活躍を始めとして広く知られるようになりました。その中核を担うまでに成長したUnearthが4度目の来日にしてついにヘッドライナー待遇でツアーに臨みます。

 ダブルヘッドライナーという形で、本来のメタルコアとは一線を画すほどデスメタルに近い個性を発揮するThe Black Dhalia Murderが共演を務めます。またTaste of Chaosのオープニング・アクトに続いて名古屋の6人組Each of the Daysが共演に華を添える形。

 本家EXTREME THE DOJOが4月から6月まで3ヶ月連続で23、24、25と連続開催されてる合間にこうしてメタルコア祭までもが開かれるとは、メタル/ハードコア好きにとっては忙しくも嬉しい限りでしょう。

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ライブ感想

Each of the Days

 まずは定刻19時より、地元・名古屋のラウドシーンを担う若手6人組が強襲。先月には1stEPとなる『Historical Sheep』を発表し、バンドとしても上昇気流に乗っていることを伺わせます。

 重量感あるリフと繊細な色をつけるメロディアスなフレーズで交互に攻めるギターに、パーカッションを含めたリズム隊で土台を築き上げ、グロウルを多用したヴォーカルが絡んで、暴虐のサウンドを奏でます。アグレッシヴなパートとモッシュパート。メタルコアらしいその揺り動かしをキメながら会場の熱気を高めていきます。

 柔らかいムードに包まれる叙情的なバラード調の曲も用意されており、ライブ全体で強弱のアクセントはつけられている。でも地元とはいえ意外とアウェイ感もあって、強者海外勢との共演の大変さを感じさせます。それでも己の現在の力量や想いは客席の人に確かに届いたはず。

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The Black Dhalia Murder

 15分と素早い転換が行われた後、19時40分ぐらいからブラダリが登場。ベーシストを除いたメンバー4人が日の丸のハチマキをつけての姿に気合の違いをみせつけられます。

 演奏が始まった途端から殺傷力抜群のサウンドで圧倒。とにかく速くて切れ味が半端ない。グラインドコアやテクニカル・デスメタル辺りを思わせるブラストビートの連発、極悪色の鋭いギターリフが次から次へとたたみかけながら聴き手の精神を決壊させていき、大きな興奮を誘う。期待した激しいステージにお客さん達も戦闘モードで応え、フロアが一気に密集度を高めてモッシュ・ダイブの嵐と化していた。

その迫力の音からは、豪雨に打ち付けられて、河川は激流状態にあるかのようなイメージが脳裏をかすめる。これもうデスメタルの領域といってもいいだろう。

 全体の構成としても、潔いぐらいに速さに特化した曲しかやらないため、興奮度をどんどん更新していくような感じでした。そのため少し一本調子に感じられもしましたが、それこそがブラダリの極意。限界までエネルギーを搾り出して放出している様にひかれました。

 途中からハチマキとTシャツを脱ぎ、だらしない上半身を露出して暴れまくったヴォーカリスト・トレヴァーのパフォーマンスも楽しめるもの。ライヴ終了後にはお約束なのか、トレヴァーがトレードマークのメガネをかけて歓声を誘っていたのも微笑ましい。その魅せ方も含めてライブ力の高さをまざまざとみせつけれました。

—setlist—
01. Funeral Thirst
02. Necropolis
03. A Vulgar Picture
04. Everything Went Black
05. Black Valor
06. Christ Deformed
07. Closed Casket Requiem
08. Elder Misanthropy
09. What A Horrible Night To Have A Curse
10. Statutory Ape
11. Deathmask Divine
12. Miasma
13. I Will Return

メインアーティスト:The Black Dahlia Murder
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Unearth

 ラストにUnearth。かつては2005年に行われたEXTREME THE DOJO Vol.13で初来日を果たし、2006年にはLOUD PARK、去年はIN FLAMES/Lamb of God/Unearthという強烈な3バンドでのツアーを敢行。今回が4度目の来日にして初のヘッドライナーとしての公演です。

 ライブは「The Great Dividers」からエンジン全開。アグレッシヴで疾走感のあるパートとビートを落としたモッシュパートを交互に繰り出しながら、興奮の輪を自然と広げていきます。その速遅のコンビネーションとギアの切り替えでもっていく。勢いとキレ、ノリやすさ。さらには叙情的なツインリードやソロなどメタルらしい剛健さがかいまみえる。

 また日本・ニュージーランド・オーストラリア・ヨーロッパツアーでのセットリストに入れて欲しい曲の投票を受付けていたこともあってか、セットリストは豪華でした。序盤から代表曲の「Zombie Autopilot」などを出し惜しみせずに放ち、その後も「This Lying World」や「Endless」、「Giles」で畳み掛ける。

 1stアルバムからの「One Step Away」では上手のギタリストがアンプの上に乗って背面ギターを披露するという飛び道具を披露。彼等も群雄割拠のメタルコア・フィールドの中で、揉まれて鍛えられてここまで上り詰めてきたのがよくわかる。約50分ほどのステージでしたが、最終日に出せるものは出したというライブ。

 終演後には鬼神のパフォーマンスとは打って変わってファンとのふれあっていたのも印象深い。3バンド通じて熱さが感じられる暴れまくりの夜は、その熱さをお互いに分かち合いながら幕を閉じました。

—setlist—
01. The Great Dividers
02. My Will Be Done
03. Zombie Autopilot
04. Crow Killer
05. This Lying World
06. Endless
07. One Step Away
08. Giles
09. We Are Not Anonymous
10. Sanctity of Brothers
11. Black Hearts Now Reign

お読みいただきありがとうございました!
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