【ライブ感想】2023/05/04 kokeshi presents“帝都救済II” @ 大阪HOKAGE

 kokeshiの2ndアルバム『冷刻』リリース、ならびにUSフロリダの激情系ポストハードコア3人組のGillian Carterの来日公演。このふたつを兼ねた大阪公演に足を運んできました。

 出演5バンドですが、Gillian Carterとkokeshiについてざっくりとした感想を残しておきます。

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ライブ感想

Gillian Carter

 Gillian Carterはアメリカのポストハードコア3人組。結成は2005年で今年に18年目を迎えるバンドです。The Caution Childrenのメンバーが在籍するというか主力を担っている。

 ライブを体感してみると瞬発力の塊ともいうべき速さに驚く。ブラストビートの加速に合わせて、弦楽器隊も負けじと応戦してきます。弾きながらも心込めすぎた叫びがそこに重なってくる。さらに所せましとよく動くし、くるくると回る。動物的本能とアドレナリンが出まくったステージングが見てて楽しい。

 ブレーキをちゃんとかけた遅攻も兼ね備えてはいますが、スピーディかつスポーティなサウンドが真骨頂という感じ。1曲はsuggestionsのヴォーカルの人にギターを渡して弾かせていた。

 さらに後半、バスドラムのペダルが壊れるというアクシデントがありましたが、共演者のものを借りて無事に乗りきっていました。

 異様にベースの音量がでかいけど、とにかく楽しませようというムードが強く、そして自分たちも最大限楽しもうとする姿勢が思う存分に伝わってくるステージ。速さとエモさは全てを解決する、そんなGillian Carterでした。

セットリスト

この方のツイートをご参照ください(写真の上が切れているのでツイートに飛ぶの推奨)

kokeshi

 主宰のkokeshiが大トリに登場。2ndアルバム『冷刻』が絶賛される中、わたしは昨年のJAPAMOSPHERE 2022以来の公演です。

 痛みと呪いのコンボを冷酷無比なサウンドと共にたたきつける。初っぱなの「胎海」から半年前よりも感じる”すごみ”。切れ味とスピード感が増し、亡無さんのステージ表現がまた一層引き付けられるものがある。

 語りの部分をあえて叫んだり、何かが彼女自身に乗り移ったような狂気を感じたり。その場の雰囲気や自身の没入具合で表現が変わるのはライブでしか味わえない醍醐味でしょう。

 メンバーの容姿はまるっきりバラバラだし、荒くれ感があるけれども、打ち出される音や世界観には統一されたものがある。本日の公演でいえば「報いの祈り」や「彼は誰の慈雨の中で」といった終盤は全員がゾーンに入ったような強烈さ。『冷刻』の傑作ぶりもあるが、どんどん仕上がっているのと同時に高みに上がっていることを伺わせます。

 終演後にアンコールを求める声が止まなかったので、ドラムの方が出てきて「アンコールやります」と宣言したものの、結局は「やりたくない」という声がバンド内にあったので実現せず。

 kokeshiの場合は、雰囲気を重視するバンドだけに一旦切れた状態からリスタートは難しいように感じたので、アンコールをやらないことに納得がいく。これからも多く見るバンドだと思いますし、また行かねばと思う次第です。

セットリスト

  1. 胎海
  2. 海馬に沈む
  3. 涅槃欠損少女読経
  4. 憧憬
  5. 他壊心操回路
  6. わらべうた
  7. 報いの祈り
  8. 彼は誰の慈雨の中で
お読みいただきありがとうございました!
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