【アルバム紹介】Compound Red、隠れた名エモ・バンド

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Always a Pleasure(1998)

 1987年に高校時代の友人同士によって結成されたオルタナ/エモ・バンド。アメリカ・ミルウォーキーを拠点に活動。Drive Like Jehu、Fugazi、Cap ‘n Jazzといったバンドに影響を受けたサウンドで、コアな人気を得る。

 本作は4thアルバムにしてラスト作。J.Robbinsがプロデュース。ググってもなかなか情報が出てこないバンドですが、当時のエモの空気感を上手く表現。優れたバンドのひとつです。初期のPromise Ringほどは疾走してないにしても、結構似ている印象。

 アルペジオからディストーションまで巧みに振り分け、エモーショナルな叫びと丁寧に歌い上げる切り替えの絶妙さ。また、基本的にはミドルテンポで晴れやかなサウンドが楽曲を彩る。それでも歪んだギターが随所に炸裂する攻撃的な#2「Return」や本作の中では一番勢いのある#8「Sky」といったポスト・ハードコアからの影響をあらわにした曲もあり、アルバム通してのバランスは練られている。

 なかでも繊細に研ぎ澄まされた美しいメロディ・ラインが冒頭から心を鷲掴みにする#1「Versus The Ocean」、甘酸っぱい青春の1ページが蘇る様な#3「Goodbye To Paris」の2曲が本作では際立っていると個人的には思う。それに夕暮れを眺める様な哀愁に満ちた#10「The Lurning Curve」も泣けます。知名度は低いかもしれないが、美しいエモが詰め込まれた彼等が残した名作。

お読みいただきありがとうございました!
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