downy、氷の中で炎が燃えたぎる音

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 2000年に結成された5人組バンド。4枚の作品を残して2004年にいったん活動休止。2013年に復活を果たす。メンバーは長らくの間、青木ロビン、青木裕、仲俣和宏、秋山隆彦、zakuroの5人で活動。青木裕氏が2018年に逝去後は、SUNNOVAが正式メンバーとして加わる。

 変拍子を用いた複雑な構成、独特のレイヤーや温度を持った音色を聴かせ、活動初期から革新的なバンドとして支持を集めます。また、作品タイトルは全て『無題』で統一し、第〇作品集『無題』とすることで区別している。

 本記事では第五作品集、第六作品集の2作品について書いています。

目次

第五作品集『無題』 (2013)

 2004年の活動休止から実に9年の沈黙を経て帰還。結成当時からポストロック~エクスペリメンタル・ミュージックの先駆者として、絶大な支持を受けてきたバンドの5thアルバル。タイトルもお馴染みの『無題』なり。

 変則的なリズムが基盤を支え、多彩なギターワークが空間に塗り重なっていき、文学的な詩を操る青木ロビンの歌声がそっけなく拡がります。オルタナ~ハードコア譲りの強度、エレクトロニカの可憐さ、幻術のようなダブ~アンビエントの揺らぎの加算。

 精密なまでに計算し尽くされた構成を基にdownyらしさを貫き通しており、9年間の空白も何のそのといった感じでしょうか。安易な表現では決して辿りつけない音響の広がりと深遠さがあります。#3「曦ヲ見ヨ!」や#7「春と修羅」における妖刀で切られるような感覚は、孤高の表現者がゆえ。ここには一分の隙もありません。

 しかしながら、ひんやりと無機質だった感触からは、どことなく雲の隙間からうっすらと光が差し、冬から春に向かうぐらいのほんのりとした温かさが感じられるようになってます。#4「下弦の月」のように歌にフォーカスをあてて、以前よりもオープンな印象も。アコースティックな音色を基調に、柔らかな音風景が広がっていく秀逸なラスト#11「椿」でもそれは明らか。

 長い月日の向こうにあった美しい変化と調和。過去・現在・未来、全てを結びつけたdownyの新たな音の結晶。

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第六作品集『無題』 (2016)

 約3年ぶりとなる6作目。見据えてる次元の違い、センスと技巧に支えられた楽曲のクオリティによって、downy半端ないって!の実績とインパクトを残し続ける彼等。復活作を経ての本作は同様に歌へと意識を払いつつ、シンセを大胆に使用しています。

 #1「凍る花」のイントロはそれだと思いますが(これをギターで演ったりもする人たちですが)、各所にシンセの軽い侵食があり。かと思えば、どこか奇怪なサウンドを構築する#2「檸檬」や#3「海の静寂」における青木ロビン氏の熱っぽい歌。

 それらがdownyのさらなる変容とアップデートを促していますが、強烈なリズム隊であったり、青木裕氏の加飾技術満点のギターであったりが土台としてもちろん存在。その中にも今回はウッドベースの使用、ブラックミュージック~ジャズ的な要素を追加したりという冒険もあったりしますけどね。

 僕としては異様にサイケデリックな#8「乱反射」から1番わかりやすい#9「翳す、雲」で締めが印象的でした。

 復活作ほどのインパクトは自分としては無かったですが、何度か聴いてるとdownyは強烈であるというのをやっぱり思い知ります。Vo.青木ロビン氏は、本作を氷の中で炎が燃え盛っているみたいな表現をしていますが、言い得て妙だなと。職人たちが紡ぐ掴みどころがない芸術といいますか。

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