耽美系ポストメタル・バンド、Grown Below

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ベルギーのアントウェルペンを拠点に活動するポストメタル・バンド。2011年にリリースした1stアルバム『The Long Now』は、耽美系ポストメタルの新たな指針になりうるほどの完成度を誇りました。2014年初頭に2ndアルバム『The Other Sight』を発表。しかしながら2015年に解散の道をたどりました。

以下、オリジナルアルバム2枚について書いています。

目次

The Long Now(2011)

 主に良質ポストメタルのリリースを手掛けている、ロシアのSlow Burn Recordsより発表した1stフルアルバム。近年のベルギーと言えば、ヘヴィ・ミュージック界でその名を知られるAmenra、The Black Heart Rebellion、Oathbreakerなどを輩出する躍進著しい。

 解散してしまったが、Grown Belowもそのひとつでした。ISISやCult Of Lunaが築き上げてきたポストメタル界に深く切れ込むその音像は、静と動のダイナミックなスケール感を持ち、ドゥーム/スラッジ譲りのスロウテンポと重量感、獣のような低音グロウルで聴く者を制圧。また、大作志向も顕著で収録7曲中4曲で10分を超えるほどに構成に妥協はありません。Amenraばりの衝撃が走る#1「Trojan Horses」から、鈍器のようなリフとリズムの反復がただならぬエネルギーを感じさせます。

 そんな中で他バンドとの決定的な差異となっているのが、徹底して気を注いだ耽美性。透き通るようなクリーン・トーンのギター、艶やかなクリーンヴォイスの巧みな使い分けが、殺伐とした重音スラッジに憩いの澄んだ泉をもたらしています。#5「End Of Time」は、お決まりの静から動へとゆるやかで力強い変化を伴った楽曲。ですが、ここまでの激と美の広い振り幅で魅了する楽曲にはめったに出会えないもの。それほどに彼等のリリシズムは一歩抜きんでたものを感じます。

 また、荘厳な雰囲気を持ち込むストリングスやゴシカルな女性ヴォーカルを積極的に取り入れることで、芸術性はさらならる高い領域へ。本作のハイライトとなる表題曲#6「The Long Now」が、まさにバンド自身の音楽性を1曲に凝縮して体現したような16分超の名曲であり、研ぎ澄まされた美麗さ、相反する激音が劇的な瞬間を何度も何度も味合わせてくれます。そんなポストメタルの新しい指針ともなりうる可能性を見せた脅威のデビュー作

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The Other Sight(2014)

 約2年3カ月ぶりとなる待望の2ndフルアルバム。前作に引き続いて、ロシアのポストメタル・レーベルであるSlow Burn Recordsからリリース。気鋭のポストメタル・バンドの新作は、1stアルバムの衝撃がフロックではなかった事を証明する力作。

 作品自体は、前作の延長線上。重く激しい衝撃が襲いかかるスラッジ・メタル、奈落へと落としこむドゥーム、アトモスフェリックかつ叙情的な美麗ポストロックを骨格にし、強烈なダイナミズムを生み出しています。そのうえでどこか廃墟を思わせる退廃的な薫りと芸術性

 ホーンやトランペットを導入したとはいえ、オープニングを飾る#1「New Throne」から実に彼等らしいサウンド。静から動への定型化した長尺構成を基本線に、他のバンドから一歩も二歩も抜きんでていた耽美性に彩られています。前作のキーとなっていた荘厳な女性コーラスは本作では登場してきませんが、#2「My Triumph」を聴くと絶対的な構築力と見事な洗練を感じます。

 柔らかなフレーズを連ねながら広大な風景を描き、そこから血を吐く咆哮と共に闇夜の終わりへと導かれる#4「Phantoms」、強化されたメロディと共に恍惚の瞬間に立ち会う#5「Reverie」といった佳曲が後半にも続く。ここでも持ち前のリリシズムを徹底。透明感に溢れたギター・フレーズや艶やかなクリーン・ヴォーカルは、それだけでかなり魅力的。典型的なポストメタルの楽曲構成に倣ってはいるのだが、激と美のとてつもない振り幅は先人達に匹敵する衝撃があります。

 そして、出口なき漆黒へと還すかのようなドローン#6「Malvarma」で壮大なるストーリーは終幕。全6曲約44分と曲数・収録時間共に前作を下回るが、密度の濃さはまるでひけをとっていないし、有無を言わさぬ説得力を持つ。ゴシックな女性コーラスやストリングス等は、本作でも引き続いて起用して欲しかったと思ったのですが、彼等ならではの魅力が詰まった作品で思慮深く美しい。

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