LVMEN、チェコの隠れた怪物バンド

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元EMBERのメンバーを中心に95年ごろに結成されたチェコの激情HC~ポストメタル5人組。Neurosisの影響下にある事を感じさせる暗黒模様と壮大なスケール感にポストハードコアの流れを感じさせる風情を併せ持つ。チェコの隠れた怪物バンドとしてコアなファンに名を馳せる。本記事は1st+1stミニの編集盤、2ndアルバムについて書いています。

目次

Lvmen & Raison D’Etre(2006)

   既に廃盤となっている98年の2曲入り28分のデビュー12インチ『Lvmen』と00年に発表の5曲入り45分のEP『Raison D’etre』をリマスター再録したもの編集盤。サウンドとしてはNeurosisとGodspeed You! Black Emperorの邂逅、それを激情系ポストハードコアの血が入り混じった形で表現しているというイメージを持ちました。

 鮮烈ヘヴィなギターがとぐろを巻き、屈強なリズムの殴打に乗せられ荒野に憂いと絶望が連なっていく。それに拍車をかける様にConvergeばりの壮絶な絶叫。超然とした世界が荒々しくも知的に打ち立てられていく#1から凄さを実感。読経や女性のオペラ聖歌が緊迫感や臨場感を煽り、映画音楽からのサンプリングを挿入することで映像性を高めます。

 時折のパーカッシヴなリズムでトライバルな感触を打ち出したり、濃厚な情念を噴出する絶叫と叩きまくるDillinger Escape Planばりのパートが登場するなど変化の妙が有効打として機能。全体としても10分を超える長大な曲がほとんど。

 ですが、この暗黒の中には絶望・憤怒・憂愁な感情が通底しており、叙情の色味を細かくしのばせているのも巧い。破壊と退廃の蠢きをエモーショナルに描ききったこの激烈な音世界は、他のバンドと一線を画しているのは間違いない。チェコの怪物なる称号にふさわしい存在感を示しています。

Mondo(2006)

 2ndアルバム。本作は通し番号の#8~#13を収録(彼等の楽曲は全部通し番号で繋がっているらしく、前作では#1~#7までを収録している)。さすがに6年もの歳月をかけて制作されているだけあって、前作以上に分厚く肉体化されたサウンド、シネマティックな叙事性を深めた楽曲の集合体は強烈。

 狂気を滲ませる中でも美意識の行きとどいた構築性の高さ、あまりにも悲痛な轟音と感情の奔流、手のつけられない怪物的音像・・・。NeurosisやISISにMogwai、GY!BE、さらにはポストロックにポスト・ハードコアやら激情カオティック・ハードコア等をストイックに探究しながら、血肉化し、煉獄に足を踏み入れるような闇世界を表現しきっています。

 哀切なるインストゥルメンタルをバックにナレーションが流れる#8を出発点にして、静と動の壮絶なぶつかり合いの果てにピアノも織り交ぜた激情的クライマックスへ突入する#9、悲劇を生む絶叫の裏側でメロディアスな美味とシネマティックな世界観が交錯する#10と前半だけで恐るべき衝撃度。

 荒々しいようでいてクールな知性を随所に発揮、サンプリングの挟み方や叙情性を高める演出、さらに緊迫感のある練られた展開。ダイナミックなサウンドと緻密なアレンジが相乗効果となって表れています。中盤に突如としてConvergeと化して筆舌しがたい狂気の塊をぶつけてくる#12から芸術的とも表現すべき強烈な破壊賛歌を奏でる#13の流れには鳥肌が立つ。

 やはりLVMENは一筋縄ではいかない。アーティスティックで物語性が高い、それでいてここまでの轟音を掻き鳴らすバレベルのバンドはそうそういない。それほどまでにチェコから吹き荒ぶ混沌の大嵐は、全てを遠慮なく飲みこんでいく・・・。

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