【アルバム紹介】Omega Massif 『Karpatia』、ドイツの怪物による重い快作 

 ドイツ・バイエルンのダウンテンポ/インストゥルメンタル・スラッジバンド4人組。本作は、前作に引き続いてDenovaliからリリースされた2011年の2ndアルバム。例えるなら”インストゥルメンタル・スラッジ”とも表現すべき、Lentoにも通ずる重い轟音インスト。スロウテンポから激重リフの連続で鼓膜を蹂躙します。Lentoに接近する重みと迫力ですが、あちらほどアンビエントを取り入れてはいない。

 アルバムの流れを汲み、饒舌なまでの静と動のダイナミズム、息を呑むような緊迫感に拍車がかかっています。8~10分の曲が4曲に3分台の短尺の曲が2曲、全6曲約47分。美しいアルペジオやトレモロも用いた凪のような静謐なパートはそれこそ時が止まるぐらいに穏やかさを感じるもの。しかし、一旦スイッチが入ってからの怒涛の重音がは風景と時間が完璧に塗り替えられ、震撼します。

 この重みと圧力はかなりの衝撃力を誇っていて、ゴリゴリの重低音が落差を生かしたドラマティックな展開と共に鳴らされるのはPelicanの1stアルバムに近いかも。しかし、あの時のPelicanよりも重低音の殺力と漆黒度は高く、極端に暗い世界を描き出しています。特に圧巻なのは#4と#6で恐怖と快楽を同時に味わう巨大なスケールに飲み込まれ、思わず五感が痺れて言葉を失う。UFOmammutやLentにも勝るとも劣らないドイツの怪物、ここにありを証明する重い快作。

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