Seirom、ドリーム・ノイズがもたらす光のほとばしり

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1973(2012)

   Gnaw Their Tongues、Aderlating、De Magia Veterumなど多数の名義でノイズ~ブラック・メタルの作品をリリースしているオランダのMaurice De Jongによる新名義Seirom。本作は2枚組90分というボリュームもさることながら、これが驚くべき内容となっている。Mauriceがひとりでほぼ全パートを担当し、チェロでAaron Martinが参加。

 まず、Gnawで聴かせる凶音ノイズではないこと。過剰な音圧が鼓膜から全身に襲いかかるのは変わりませんが、サウンドが包括するものは闇ではなく明らかに光。アンビエントやシューゲイザーの要素が強く、”ドリーム・ノイズ”とも表現したくなるような壮麗な音塊に包まれていく。

 神々しく広がるシンセの音色、優美なヴォイス・サンプルが圧倒的なノイズ・ギターに巻き上げられ、異様なまでにドラマティックに展開。ブラックメタル風の激速ビートも各所に配置されていて、スリリングさも予想以上です。

 Nadjaの荒涼とした世界に、シガー・ロスが表現する天上界のエモーショナル、さらにはWolves In The Throne Room辺りのポスト・ブラックメタルの要素が絶妙な融合を果たしている。DISC1-#5「My Dear」を聴いていると、Oneohtrix Point Neverが劇的な変化を遂げた印象も受けるし、FenneszやTim Hecker辺りの名前が浮かんでくる人もいるでしょう。

 さすがにかなりのボリュームだけあって作品が持つ要素は多いです。渦巻く怒涛の美轟音とともに突き進む90分に、彼の別プロジェクトと違う奇跡を体感できるはず。

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