内的宇宙を巡る、Tacoma Narrows Bridge Disaster『The World Inside』

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 Tacoma Narrows Bridge Disasterは2009年より活動を続けているUKの4人組バンド。以前は5人編成でしたが、様々なメンバー変更があって現在は、コアメンバーであるDrew Vernon(Gt, Syn, Vo)とTom Granica(B)に加えてAndrea Longo(Gt, Syn)、Ben Wilsker(Dr)の4人に落ち着きます。バンド名は、アメリカ・ワシントン州にあるタコマナローズ橋が1940年11月にわずか4カ月で落橋した事件からきている。

 ポストロック~ポストメタル~プログレッシヴロックの影響下にあるサウンドで、平均8分にも及ぶ尺の中で壮大なストーリーを描きます。現在までに4枚のフルアルバムをリリース。本記事は2021年にリリースされた最新作『The World Inside』について書いたものです。

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The World Inside(2021)

 約6年ぶりとなる4thアルバム。この間にギタリストとドラマーが脱退しており、メンバー変更を経て新たな4人編成でのリリースとなります。2016年からの3年で曲を書き上げ、2019年にレコーディングを開始。ミックス等には時間がかかったものの、2020年には完成していたそうですが、パンデミックの混乱からリリース時期を考えて2021年8月になった模様(参考文献:Heavy Blog Is Heavyのメンバー・インタビューより)

 かつての2作品は一応聴いてる程度で、そこまで熱心には聴いてません。ですが、本作は前作よりもプログレのアプローチが増量したことでの変化は感じ取れます。ポストロック/ポストメタルの要素を多分に有したプログレッシヴ・メタル。Explosions In The Skyの叙情性からISIS(the Band)の幽玄/構築美を持ち寄り、Russian Circlesの剛健と緻密さが合わさる。さらにはTOOLであったり、70’sプログレ~クラウトロックからの手引きもあります。

 シンセが導くようにSF映画のような世界観を生んだ#1「Machinations」は、聴いているとポストメタル/プログレ化が進行したMaseratiのようにも感じます。近未来を探求するような感覚に酩酊しながら、終盤ではスラッシュメタル化する謎仕様で驚かせる。クリーントーンのギターが支配的な表題曲#2「The World Inside」では、ポストロックの黄金法則(静→動)を取り入れながらも、メタル的な刻みや重量感が圧し掛かります。

 スペースロックのサイケデリアの#3「Presynaptic」を経て、唯一のヴォーカル入りトラックの#4「Truth Escapes」では内省的なポストロックとTOOL的な何かの正面衝突による神秘体験が待ち構えます。そして強固なベースラインとドラムを軸に巨大な音の壁が形成されていく#5「Postsynaptic」を挟み、ラストはメロウな雰囲気に流されるも怒りからきてるだろう爆発を有する#6「Apocryphal」で締めくくられる。全6曲約50分にも及ぶ内的宇宙の旅。

 内的宇宙の旅と書いたのは作品は、自分自身の内的な視点をテーマにしているという。公式Bandcampによるとポスト・トゥルース(客観的な事実よりも感情や個人的な信条によって表されたものの方が影響力を持ってしまう状況。”信じたいものを信じる”的なこと)について語られています。そういったことに、結局は囚われて生きていると。以下はインタビューの引用ですが、本作で伝えたいことを示していると思います。

『The World Inside』を聞いた後、私は人々が強い意見よりも多くの疑問を持つことを望みます。私たちは、途方もない量の情報を持った時代を生きています。本作はこの状況を反映しています。私たちは真実がどこにあるのかわかりません。膨大な量の偽りの真実をフィルタリングしようとしている間、本当の真実を探しています。

Heavy Blog Is Heavyのメンバー・インタビュー より
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