【アルバム紹介】Volcano Choir『Unmap』

 Bon Iverのジャスティン・バーノン、マスロックの先駆者的存在であるPeleの残党で結成したCollections of Colonies of Beesによるユニット。2005年から活動。Volcano Choir(ヴォルケーノ・クワイアー)は火山聖歌隊を意味する。

 これまでにフルアルバム2作品リリース。世界で最初の最後のライヴを2010年11月に日本だけで行った。現在はBon Iverの活動に専念しているため休止中。

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アルバム紹介

Unmap(2009)

   1stアルバム。全9曲約35分収録。基本的にはアコースティック色が強い牧歌的な演奏の上に、Bon Iverのエコーがかった声が自在に乗せられて展開していきます。

 Peleから脈々と続くコロちゃんのハードコアの息吹のかかったミニマルなインスト・ポストロックは抑え目。代わりにフォーク~エクスペリメンタル~アヴァン・ポップといった趣を押し出しています。

 加えてエレクトロニクスの波が緩やかな膜を張り、ドローンっぽいノイズが塗されたり、豊かなコーラスワークやハンドクラップで鼓舞したりもしていて実験的な側面が強い。

 ジャスティン・バーノンのヴォーカルは機械的に加工されているのが大半だけど、人的な温もりを不思議と感じさせるし、生歌では持ち味のソウル~ゴスペルのような艶やかな色めきを与えている。

 背筋をぞっとさするような緊張感を持てど、聴きやすくつくりこまれているのも特徴的。蠢き、膨れ上がる数々の音色は有機的に混じり合い、それが何とも言えない風情をかもしだしています。これぞ極彩色のエクスペリメンタル・ポップ。

 雰囲気としては密教のようなイメージもあるし、築かれる世界は間違いなく幻想に包まれた異郷。ですが、踏み入れてみると大らかな生命のエネルギーや喜怒哀楽の感情が漏れ落ちて感動を誘われてしまう。

 ブルックリン勢と共振しているようで、全く未知の荒野を開拓している本作は、ポストロック云々を越えた次元の向こうで成立しています。

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Repave(2013)

 2ndアルバムにして現時点での最終作。

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