Bring Me The Horizon ‐‐Review‐‐

英国シェフィールド出身の5人組ロック・バンド。活動初期は苛烈なデスコア・バンドとして若者たちを中心に人気を獲得。その後はメンバーチェンジ等を経て音楽性を変化させながら、着実にセールスを伸ばしていく。2015年9月に5thアルバム「That’s The Sipirit」をリリース。ここ日本へも来日公演を重ねている。

 

 レビュー作品

> That’s The Spirit > Suicide Season


 

ザッツ・ザ・スピリット

That’s The Spirit(2015)

 夢見るデスコアじゃいられない。約2年半振りとなる5thフルアルバム。脱デスコアを図ったらしい前作『Sempiternal』は未聴ですが、ここまでオルタナティブ・ロックに振り切れた作品を発表するとは。キーボードのJordan Fishが加入以降、バンドは大きく内部変革してきたようですが、セルフ・プロデュースとなった本作でさらに拍車がかかっている。

 かつてのファンからすると、日和りやがって!だとかBABYMETAL大大大好き病にかかってしまった!だとかのやっかみがあると思う。獰猛な肉食獣を思わせる激しさをほぼ封印し、とことん歌とメロディに焦点を当てて洗練した上でのメインストリーム展開。それはクリーンヴォイスの多用、近年のベース・ミュージックを結果にコミットするなどバンドのイメージを大きく覆すものだろう。00年代オルタナロックを髣髴とさせつつも、よりモダンな構築。LINKIN PARKやMuseといったバンドと比肩するとは言いすぎかもしれないが、その境地にまで登りつけそうなポテンシャルやスケール感をみせつけている。完全にラップ抜きの初期リンキンっぽいスタジアム・ロックを轟かせる#3「Throne」、全てを神聖な光で包み込むようなドラマ性に満ちた#9「Drown」といったリード曲のエネルギーと説得力は計り知れない。

 エレクトロニクスとバンド・サウンドとの混合は本作の売りのひとつ。この結びつきが自然かつ強固で、楽曲の劇性を高める結果になっている。なかでもレディヘが透けて見えるクールでセクシーな魅力が詰まった#5「Follow You」は新境地といえそう。またオリバー君のハスキーな歌声は、切迫感や孤独感を突きつけるようで、元々バンドが持つダークな感性は本作にも根付かせる。全体通して言えるのが、サビでの歌メロが立っていること。聴き手を確実に巻き込んで一体化できる表現力とカリスマ性、#4「True Friends」を聴いていると余計にそう感じますね。ダンスミュージックの要素を取り入れながら壮大に締めくくる#11「Oh No」もインパクト強い。

 賛否両論巻き起こすアルバムであるのは間違いないし、かつての良さをぶん投げてるのも否定しない。でも歌とメロディが優れていれば、しっかりと受け止められるし、受け入れられることを本作は証明する。変化を恐れることはない。例え変化をしようと納得させるだけの曲/作品が残せれば済むのだ。勇敢な改革が行われたドラマティックなロック・アルバム、僕は凄く好きです。やんちゃ坊主達がこういった形で新しく大輪の花を咲かせるのは感慨深い。

ベビメタちゃんのTシャツで暴れるオリバー君(笑)。


スイサイド・シーズン

Suicide Season(2008)

 アーク・エネミーなどを手がけたプロデューサーのフレデリック・ノードストロームを迎えて発表された2ndアルバム。

 当時の平均20.6歳という若さで、デスコアの急先鋒として名を馳せた彼等。若気の至りでは解決できそうに無い5人の苛烈な演奏が、生死の境界線へ道連れにする。重圧的なギターリフ、けたたましい絶叫を縦横無尽に撒き散らす暴虐デスコア・チューンの猛威。冒頭の#1や#2を聴いただけでもわかるが、荒く猛る衝動を全く抑えつけることはなく、”どこまでも過激にどこまでも凶悪に”を肝に突っ走っている。それはBFMVやFFFA辺りの先陣たちを辱めにするぐらいの凶悪度。問答無用のラッシュでタコ殴りにする#5や#6辺りは攻撃的過ぎて唖然とする。

 とはいうもののそのカオティックな側面を存分にみせる一方で、#3、#8、#10辺りではドラマティックな叙情性としなやかさを盛り込む。過激一辺倒に陥らない構成が、よりリアルな感情を伝えている。そんな本作は世界に自分たちの名を知らしめた重要な一枚。

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