Jambinai ‐‐Review‐‐

エクスペリメンタル・ミュージックを奏でる韓国の3人組。韓国伝統音楽の「国学」をポストロックやメタルと融合させながら、個性的なサウンドを提示している。その音楽性が評価されてSXSWへの出演、Glastonbury Festivalを始めとした世界各地のフェス出演なども果たしている。


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A Hermitage(2016)

 エクスペリメンタル・ミュージックを奏でる韓国の3人組の2ndフルアルバム。サイモン・レイモンドとロビン・ガスリーによって設立されたBella Unionからリリースされています。韓国といえばK-POPは華やかであり、スポーツだとフィジカルゴリ押しみたいな印象があるわけなんですが、Jambinaiはそういったのとはまた一線を画す存在感を持っています。

 本作がここ日本でも評判なので自分も聴いてみた次第。確かに感じたのは、これまでにはなかった新感覚です。玄琴(コムンゴ)、觱篥(ピリ)、奚琴(ヘグム)といった伝統楽器(参照)を用いた韓国伝統音楽である「国学」、それをポストロックやサイケ、メタル、フュージョンなどと融合。自身と母国のルーツに根ざしたものをモダンに料理し、闇夜のヘヴィ・ミュージックとして確立しております。伝統楽器による東アジアの神秘性が本作では妖魔に変貌。いずれの楽曲も悲壮感や怒気を漂わせながらドラマチックに展開し、新鮮な響きと巨大な迫力を持って衝撃をもたらします。

 リズミカルな玄琴とラウドなギターによって幕開ける#1「Wardrobe」から分厚いグルーヴを叩きつけ、続く#2「Echo of Creation」では中盤の冷たいグロッケンの導きから怒涛のヘヴィネスを轟かせます。#3「For Everything That You Lost」にて伝統楽器が身を清めるように寄り添いながら、ポストロックの繊細な響きで魅了。韓国ラッパーを起用して魔のショックを与える#4「Abyss」で作品は折り返します。

 軸に据えられた奚琴がもたらす悲壮感とミステリアスさに呑まれる#6「Mountain」、各楽器の激しいインタープレイが衝動を駆り立てる#7「Naburak」と後半の曲ではさらに禍々しく、スリリングに深みへ。随所で斬新かつ劇的な刺激がありますが、静寂にも耳が痛くなるほどの重さと緊張感が通底しています。そして、ラストに迎えるは#8「They Keep Silence」。300人近い死傷者を出したセウォル号沈没事故について書かれたこの曲は、政府に対しての怒りを壮絶な演奏に乗せて解放しています。クライマックスの火花を散らすようなアンサンブルが本当に凄まじい。

 実験性も盛り込んだ密な構築、ドゥーム・メタルとリンクするような重厚さ、ひたむきな情熱。ここには伝統音楽と現代のサウンドを滑らかに噛み合わせただけでは収まりきらない衝撃が詰まっています。全8曲をじっくりと堪能してもらいたい作品。

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