Nionde Plågan、スウェーデンのスクリーモ/ポストメタル

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Transformation(2022)

 スウェーデン・ヨンショーピング出身のポストハードコア/スクリーモ・バンド4人組、Nionde Plagan。2012年に結成し、これまでに5枚のフルアルバムを発表しています。

 本記事を書く上で一連の作品を聴きましたが、初期は速射砲のように感情と音をぶつけるハードコア/スクリーモ・スタイル。1st『Nionde Plågan』は特にその傾向が表れており、1~2分台の尺で初期衝動を持って存分に畳みかける。母国の雄、Suis La Luneからの影響も大きいと感じる音楽性です。

 2nd『D​ä​rnere Hos Dig』の後半から長尺楽曲を披露するようになり、15年発表の3rdアルバム『Frustration』はポストロック/ポストメタルとスクリーモが融合したスタイルへと変化を遂げていきます。19年発表の4thアルバム『Reflektion』はさらにその流れが加速。明らかなメランコリックな芽生えが、ドラマティックな曲調を支えるようになりました。

 また、彼等は全ての詞をスウェーデン語で書いているそうですが、政治的なメッセージ性が強い。IDIOTEC.COMのインタビューによるとこれまでの作品で反資本主義、人種差別、うつ病、移民問題といった問題を取り扱い、時には詩人や活動家からの引用を取り入れているようです。そういった言葉が怒りをエンジンとした覚悟の絶叫に乗り、聴き手の感情を煽る動機をもたらしている。

 結成10年目に放つ本作は5thアルバム。全6曲約49分収録。Moment Of Collapseからのリリース。新しい音楽を探していると時たま、自分に感性がピタッと合う音楽に出会うことがありますが、まさに本作がそうでした。#1「Jag vill det här för oss」を聴いてすぐにクるものがあり、ありったけの熱を込めた叫びと柔らかな轟音のヴェールが心を持っていかれる始末。

 作品としては前作からの延長上にある作風。過去作のような短いインパクトは度外視し、全曲が6分を超えます。曲調は大らかでゆったりとなり、時間をかけてカタルシスを得ていく。変わらずにヴォーカルはスクリーモ・スタイルで叫び倒し、肉体性や熱量を担保する(#1ではクリーンボイスも披露)。

 一方で演奏陣は一層のたおやかさを帯びて、クッションを挟んで耳になじんでくる感覚を持つ。光沢を放つアルペジオはもとより、ディストーションにしてもどこか柔和な響き。それらはアトモスフェリックな特性を意識してサウンドを構築していったというバンドのコメントからもうなずけます。

 12分にも及ぶリード・シングル#2「Resenär」は本作を象徴する1曲です。まさしくスクリーモとポストメタルの珠玉の混合を果たしており、8分過ぎからはenvy「Scene」を思い出す曲調だったりするのも惹かれます。アルバム・タイトルにある”変化”というのを最も表現した曲であるとメンバー自身が前述したIDIOTEQ.comで語っている。

 また、同じくIDIOTEQ.comによると#1のタイトルは政治理論家のウェンディ・ブラウンにちなみ、#4ではスウェーデンの詩人エルシー・ヨハンソンの小説を歌詞の題材にし、#6ではアサタ・シャクールの詩をスウェーデン語に翻訳して転用。本作では以前ほどの政治的なメッセージは薄いようで、年齢や価値観など人々が変化していくことや自己内省について多く歌っているそうです。

 『Transformation』を端的に表せば、“Tokyo Jupiter Recordsがリリースしそう”というのが弊ブログの読者に一番伝わると思います。実際にTJPがリリースしている同郷のTrachimbrodTengil、スペインのViva Belgradoと共演。本作を聴いていてどうしようもなく心が動かされるのは、そういったバンド達の匂いや雰囲気が動力となって自分の中で働いているのも大きい。

メインアーティスト:Nionde Plågan
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