leave them all behindの名の元に集ったBoris、envy、MONOの3組が再び対峙。先に行われた今月4日の東京公演においても濃密な時を刻んだ彼等が、今度は京都を舞台に三者三様の音楽を打ち鳴らす。
場所は京都大学西部講堂。関西音楽シーンの聖地とも呼ばれ、かつてはフランク・ザッパやポリスなどもプレイしたというこの歴史ある場所で、どんなライヴを見せてくれるのか?という大きな期待を胸に東京公演に続いて足を運びました。
ライブ感想
Boris
威厳のあるステージ。講堂奥にある巨大なオブジェ。見ていると不思議な緊張感が伝わる・・・と同時に気持ちが昂ぶってきます。ここを初めて訪れた自分は、気圧される何かを講堂内で感じました。そんな中で東京公演と同じくトップバッターを務めたのはBoris。
名刺代わりの一発と呼ぶべき名曲「決別 -Farewell」でのそびえたつ様な巨大な音塊がleave them all behindの開演を告げました。栗原ミチオ氏を加えたお馴染みの4人体制から放つその音が歴史的な場所で轟いている。
しかしながらすぐにギアチェンジして「Attention Please」と「フレア」の連打で雰囲気は一変。ジャンルという境界線すらないBorisの多様性を露わにしていきます。轟音ロックンロールから妖しくサイケデリックな魔境が拡がり、アニソン的な立ち位置の曲、そしてアンビエントな曲に至るまで。焚かれるスモークが視界を遮る中で自由自在に料理して振る舞っている。
途中に”京都で初めて演奏します。最後まで楽しんでいってください”と語った後に披露した「Missing Pieces(ミッシング・ピーシィズ)」は哀愁ある歌ものからサイケ・ドローンへの転換はただただ凄まじかった。その後は「Riot Sugar」~「Pink」までを一気に駆け抜け、10分超にも及ぶ「Aileron」の大轟音によるエンディング。久々の関西公演でその雄姿を見せつけました。
—setlist—
01. 決別 -Farewell-
02. Attention Please
03. フレア
04. Party Boy
05. Statement
06. Missing Pieces}
07. Riot Sugar
08. 1970
09. Pink
10. Aileron
MONO
続いてのMONOは重い美しさを湛えた世界へと集まった全ての者を誘います。セットリスト自体は先の東京公演と全く同じ。ですが「Burial At See」における曲の中盤からの険しい人生に勇ましく立ち向かっていく様な展開が、いつも以上に感情的な演奏で胸を打たれました。
それに慈愛に満ちた旋律から荒れ狂うノイズの奔流へと至る「Pure As Snow」は紡いでいく物語の重さ・深さを伝えてきました。結成して間もなく海外へと居場所を求め、困難に立ち向かって道を切り拓いていった彼等。その音楽は絶望の底から希望を見出していく様なイメージが強い。その美しく重い音楽は心の芯に強く響きます。
公演は、関西でかなり久々に演奏した「Halo」~「Moonlight」のドラマティックな終わり。演奏後、静かにお辞儀をして去っていく姿に会場からは万雷の拍手が送られた。
—setlist—
01. Ashes In The Snow
02. Follow The Map
03. Burial At Sea
04. Pure As Snow
05. Sabbath
06. Halo
07. Moonlight
envy
envyがこの日も大トリ。ライヴももちろんそれにふさわしい内容で、全身から絞り出すような叫びと激情を投影した演奏で会場を熱狂へと叩きこむ。
序盤から静と動の交錯が生み出すスケールで圧倒。その中でも不器用だが想いがドストレート伝わるMCから披露された復興支援曲「安らぎが君の名を呼ぶように」は印象的でした。緊張感あるマーチング・ドラムの先導から炸裂する轟音が痛切に胸を打つ。
そして「擦り切れた踵と繋いだ手」~「終わり行く夢」の連打はいつも通りに会場を揺らしていまた。イベント自体がじっくりと体感する趣が強いだけに、アグレッシヴな曲での解放されたかのような暴れ具合は見ていて微笑ましいほどです。
安らぎすら感じさせる「灯と孤独」を挟んでライヴはいよいよクライマックスへ。「狂い記せ」から「暖かい部屋」の鉄板の流れで本イベントは壮大に幕を閉じました。
—setlist—
01. Further Ahead of Warp / 歪んだ先に
02. Thousand Scars / 千の痕
03. Left Hand / 左手
04. As Serenity Calls Your Name / 安らぎが君の名を呼ぶように
05. Scene / 風景
06. Worn Heels and the Hands We Hold / 擦り切れた踵と繋いだ手
07. Dreams Coming To An End / 終わり行く夢
08. Light and Solitude / 灯と孤独
09. Go Mad and Mark / 狂い記せ
10. A Warm Room / 暖かい部屋
おわりに
関東・関西と2公演に渡って繰り広げられた第2回のleave them all behindは、これにて終幕。この3バンドが集まればと思いを馳せていた人は多々いると思うが、それぞれが素晴らしいパフォーマンスで歴戦の猛者であることを物語っていました。
来月からBorisもenvyもMONOも再び海外の地で音楽を鳴らす。終わりなき旅路の中で自らを高め続けていくことでしょう。
そして次は”leave them all behind”という冠のもとにどんなアーティストが名を刻むのか。あるかどうかはわからない。けれどもとても楽しみにしながら、開催を待ちたい。きっと次も素晴らしいアーティストが集まることは間違いないですから。