JAPAMOSPHERE 2022 @ 下北沢ERA

 Tokyo Jupiter Records主催のJAPAMOSPHERE 2022へ。個人的に3年ぶりの東京。3年ぶりの下北沢ERA。3年ぶりのJAPAMOSPHERE。前回はThe Ocean(Collective)の奇跡の来日公演を兼ねた”JAPAMOSPHERE 2019″でした。

 思い返せば毎年のようにTokyo Jupiter Records招聘ツアーに足を運んでいましたが、例のあれによってそれもしばらく頓挫。オンライン公演は行われていましたが、有観客では久しぶりの主催公演となります。

 ”JAPAMOSPHERE 2022″はTokyo Jupiter Records15周年を記念した、kokeshi + [’selvə] + Presence of Soulの日本・イタリアの3バンドによるスプリット作品『Immagine Residua』のリリースイベント。本公演にてそのCD先行発売もされます。

 本日の出演でいえばPresence of Soulは同イベントにお馴染みですし、of decay and sublimeを率いる浮田くんの新バンドのFrom the shadow of the throne spreading to infinityもそうでしょう。Kokeshiはスプリット作への抜擢からもレーベルからの期待が伺えます。

 以下、3バンドをみての感想です。

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1.From the shadow of the throne spreading to infinity

 トップバッターはFrom the shadow of the throne spreading to infinity。バンド名が長い(笑)。約2年ぶりのライヴで確か2回目。From/infinityもインストがメインの音楽です。

 会場内に入ると驚きました。上記写真にある通りにステージはアンプによるそびえたつ壁。最初、ステージから降りてのフロアライヴかと思ったら違いました。アンプの裏側で演奏。ライヴには何百回も行ってますが、このような形で姿を見せずに演奏しているのは初めてです。

 だからメンバーが何人かも正確にはわからない。4人か5人か。ギター、ベース、ドラムという編成ですが、聴覚破壊を目指しているかのような危険水域の大音量。SUNN O)))のようなドローンの持続性大轟音とは違い、From/infinityはスラッジ・メタルのテイストが強め。より耳に負荷がかかり、頭も割れてしまうぐらいに攻めてくる。おそらく全4曲披露してましたが、3曲目はLentoの再来のようでした。未体験ゾーンの轟音。約30~約35分ほどのステージ。

 しかし、終わった後の撤収作業が大変そうで。Twitterでどなたかが引越しのようだと表現していて、言い得て妙だなと。まもなくカセット・テープがリリース。ちなみに過去のライヴ映像がこちらでみれたりします。

2. Presence of Soul

 続いてPresence of Soul。わたしとしては約5年ぶり3回目。前回、前々回も同じTokyo Jupiter Records企画での鑑賞。2016年はCaspianの来日公演。2017年もJAPAMOSPHERE。この時はheaven in her armsをトリに、海外からNINE ELEVENやthreestepstotheoceanが出演していました。

 この日は5人編成で、YukiさんとYoshiさんに加えてサポート・メンバーが3名。最初に演奏したのがスプリット作収録の「The Trinity – I」。Thouにも迫る禍々しいスラッジ、サポートで入ってる通称:Amakan氏のデスヴォイスが全編をリードする中、シューゲイザーっぽいニュアンスとYukiさんの慈悲のコーラスが中盤に差しはさまれる。帰宅後にスタジオ音源で確かめたら、もっと整理された音像と全て日本語詞ということに驚き。ライヴではむしろ混沌ぶりが際立っていました。

 続いてもおそらく新曲。同じように迫力あるデス声が入っていますが、こちらの方がメロウなパートが多い。闇の殉教と祈りを込めたメロディがせめぎ合っている感じでしょうか。演奏を予告していた「Genom」では、同期している映像に人の行動/思考を戒めるような言葉が次々と映し出され、モノクロームのヘヴィ・サウンドとゲスト参加のwombscapeのRyo氏の叫びがいい意味でこのバンドらしくない狂騒を生み出していました。

 しかし、それも鍵盤の旋律が響き渡ると静まりかえり、ラストは「Circulation」。6年半ぶりに生で聴いたこの曲に心の芯から浄化されて終わる。音楽性を厳つくエグく変化していく中にもPoSにとって欠かせない美しい音は生き続ける、そんなことを思う最後でした。見に来れて本当によかった。

3. kokeshi

 ラストを飾るのがkokeshi。おそらく今イベントで最も若い4人組。ブラッケンド・ハードコアというかポストブラックというか、わたしの耳だとそういうタイプには感じました。Oathbreakerをコンパクトにした、あるいはSvalbardがもっと禍々しくヘヴィ&ブラック化などの印象は受けました。

 圧倒的な存在感を放つのがヴォーカルのNANAさん。赤い紐を左手と左足に巻き付け、低域のグロウルを中心にホイッスルやポエトリーリーディングも挟み、声のパートを一人で完結させている。音楽誌ヘドバンが取り上げたくなるほどにインパクトがあります。それとDIR EN GREYの京さんに影響を受けてるんじゃないかなとも思いました。構え方というかスタイルというか。違うかもしれませんが、ニュアンスとして伝わってくるものがあったんですよ。

 演奏陣もシャープで、一気に畳みかけてくるパートはかなり攻撃的で鋭い。一方でメロディアスなパートも和の情緒や退廃的な雰囲気があり、ハッピーを拒絶して闇に堕ちている。置きにいった表現が無く、バンドの表現として貫かれているものがあります。

 最後に披露したのがスプリットに収録されている「彼は誰の慈雨の中で」。ただ激しいだけじゃない感情のほとばしりが声と演奏に宿る。イベントのトリを務めたのも納得させるステージでした。

 そして、3年ぶりにTokyo Jupiterのキミさんと直接話すことができました。祝レーベル15周年。思い返せばわたくしも10年ぐらいはお付き合いがあり、弊ブログの最初のインタビュー相手ですからね。ちなみに最初は4バンドでやろうかと企画していたらしい。〇〇ですか?と聞いたら違ってそれ以上、深くは聞きませんでしたが。

 かつてインタビューしたわりに初めて対面で話したPresence of Soulのお二方もありがとうございました。

 スプリット作は是非とも以下のリンクから購入可能です。

Tokyo Jupiter Records
kokeshi + [’selvə] + Presence of Soul - Immagine Residua CD | Tokyo Jupiter Records powered by BASE 日本のブラックゲイズ/ダークハードコア・バンドkokeshi、イタリアのポストブラック/激情ハードコア・バンド[’selvə]、日本のポストメタル/シューゲイザー・バンドPresence...
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