2003年から活動するアメリカ・ジョージア州サヴァンナ出身の4人組ロックバンド、Baroness(バロネス)。
作詞作曲からアートワークに至るまでほぼすべてを務めるジョン ベイズリー(Vo,Gt)を中心核に、スラッジメタルとプログレッシヴロックにクラシックなロックスタイルを組み合わせて、Pitchforkを始め世界的に高い評価を得る。
度重なるメンバーチェンジ、不慮の事故に見舞われながらも20年にわたって活動を続け、これまでに6枚のフルアルバムをリリースしています。
2023年現在、唯一の来日は2010年3月。ISIS(the Band)の最後の来日ツアーに同行し、次世代バンドとしての力をみせつけました。
本記事は現在のところ、1st~3rdアルバムについて書いています。
アルバム紹介
Red Album(2007)
1stアルバム。全10曲約44分収録。名門Relapseとの契約を勝ち取ってのデビューフル。アートワークは中心核であるジョン・ベイズリー(Vo.Gt)が担当。
日本の芝刈り機じゃねえBaronessの登場です。音楽的には”スラッジメタル meets プログレッシヴ・ロック”といった印象を受けますが、独特の土臭さと雄々しさがBaronessを支えています。
大半の曲でインスト・パートに比重を置きながら、ベイズリーのしゃがれた歌声とハーモニーを重視したツインギターが聴き手の心をつかみにくる。
#1「Rays On Pinion」から#2「The Birthing」は野性と知性の両輪駆動から成るバンドの創造性をこれでもかと発揮。時にはサイケやストーナー、フォークといったジャンルを横断しながらフックに富んだ楽曲が生み出されています。
常に持ち続けるDIY精神のもとで花開いた個性。そして本作はどことなく先住民たちの宴ともいうべき祝祭感があります。
なお『Red Album』はローリングストーン誌が2017年に作成した”歴代最高のメタルアルバム100選“の第83位にランクインしており、デビュー作にしてBaronessここにありを示している。
Blue Record(2009)
2ndアルバム。全12曲約44分収録。プロデュースをジョン・コングルトンが務めます。ビルボードのトップ・ヒートシーカーズ(これまでに一度も大きなヒットを飛ばしたことのないアーティストを中心に集計)で初登場1位を記録した出世作。
馬力のある豪快なサウンドと汗臭く渋い叙情味の二大看板を軸に、複雑かつダイナミックに進行させていくスタイルを堅持。
Mastodonばりのテクニカルかつヘヴィさを持ち、さらにはメロディが陽気さを増してTorcheばりの明るさがにじみでる。ツインギターのハモリやギターソロの増量、それにフォーキーな音色の強調が泣きや昂ぶりを助長しています。
その上で前作以上に70’sハードロックやサイケ、ブルージーなエッセンスが合致。温故知新の”故き”の部分にスポットをあてつつ、総合的なキャッチーさと特有のハーモニーが音楽的豊かさにつながっています。
特に#7「A Horse Called Golgotha」はBaronessの音楽性が凝縮された名曲。
Decibel誌のTop 40 Metal Albums of 2009において第1位を記録。またLA WEEKLYによる歴代の偉大なメタル・アルバムTOP20の第20位に選出されています。
Yellow & Green(2012)
3rdアルバム。黄色と緑のダブルアルバムとなり、DISC1となるYellowが全9曲約40分、DISC2となるGreenが全9曲約35分収録。プロデュースは引き続き、ジョン・コングルトンです。
色分けの美学を引きつぐと共にクラシックなロックの叙事詩を紡ぎます。この変化は決して大衆へ向いた改革ではなく、バンドの魅力を広げるうえでの進化。
ヘヴィロックの推進力は健在ながらも”スラッジ”というタグ付けからは離れ、代わりに浮かび上がる柔らかなフィーリングとキャッチーなメロディ。ジョンによる歌も荒げるような部分はほとんどなくなり、しなやかな歌を中心に据えています。
本作の黄は歌もの、緑はサイケと重きを置いている部分はあります。しかし、対となるものではありません。互いに共鳴と補完をしあうことでBaronessの懐の深さを示しています。
特に1-#9「Eula」における壮大さと感情の爆発は涙を誘うもの。活動から10年ほどながらもベテランのような妙味と渋いロマンが本作を支えている。なお本作はビルボード200で初登場30位を記録しています。
Purple(2015)
4thアルバム。
Gold & Grey(2019)
5thアルバム。新メンバーとしてジーナ・グリーソン(Gt)が加入。
Stone(2023)
6thアルバム。