THE NOVEMBERS ‐‐Review‐‐

東京を拠点に活動する日本のオルタナティヴ・ロックバンド4人組。様々なジャンルを独自の美学で再編した音楽性で各方面から高い評価を受けている。


ハレルヤ

Hallelujah(2016)

 結成11週年に送る6枚目のフルアルバム。誠実なロマンが詰まった作品を送り続ける彼等。USインディよろしくな雄大なグルーヴとコーラスワークが高らかに開幕を告げる#1「Hallelujah」から甘美な音世界へ。到達点と思えた前作『Rhapsody in beauty』にしてもこだわり抜かれた逸品のごとき完成度の高さでしたが、本作ではそれを凌駕しています。

 ハードコア~パンクのダーティな暴力性で持って書き殴られる#2「黒い虹」や#3「1000年」、#8「!!!!!!!!!!!」の衝動。逆に#5「愛はなけなし」や#10「あなたを愛したい」では危険な美しさを湛えながら、繊細な歌声が胸を締め付ける。さらにネオアコ風の蒼さが切ない#6「風」、不穏なオルタナティブ・ロック#7「時間さえも年老いて」、澄き通るギターの音色に新たな地平へ導かれていくような#9「ただ遠くへ」と多面性をみせます。◯◯クラスタなんていう属性に陥らない幅広い音楽性の包括。その様々なジャンルによる彩りは、しっかりとした一本の芯を通した上で確かな厚みと鮮やかさを本作に加えています。

 そして、作品は時に皮肉、時に攻撃的と文学性を感じる日本語詩で綴られています。本作におけるキーワードは、執拗なまでに登場する「美しさ」。そのバンドの理想を体現したと思えるのが、いずれもホーン・セクションをフィーチャして希望や祝祭を奏でる#4「美しい火」と#11「いこうよ」の2曲です。前者ではエレガンスな音像と充実の歌謡性が温かいノスタルジーを呼び込む。締めくくりとなる後者では、シューゲイザー由来のノイズの大火が全てを無に還すかのよう。それこそ普遍性と特殊性の共存共栄を果たしたような感触もあります。

 作品毎に高まっていく美意識とスケールは、集大成といえる本作にて結実。自らの音楽的背景を膨らませながら確立してきたTHE NOVEMBERSらしさ。そして、隣り合わせの明と暗を表現し続けてきた自負。だからこそありったけの愛情を込めて小林氏は歌うのです。僕と君の世界を変える美しいものと爆音、それを求め続けたロマンチストたちが残した傑作。


Rhapsody in beauty

Rhapsody in beauty(2014)

 約1年ぶりとなる5thフルアルバム。リリース前月にはBorisのツアーに帯同していて、その時のパフォーマンスが非常に印象的でありましたが、本作を聴いて改めてBorisとの親和性の高さを感じさせます。

 軽く試聴してみた人間の五感を狂わせる暗鬱な轟音ノイズ#1「救世なき巣」から驚き。完全に意表を突いたところで、ささくれ立ったロックンロール#2「Strum und Drang」や#4「Blood Music. 1985」といった曲で衝動を送り込み、グロッケンや柔らかいギターで綴る#5「tu m’」でソフトに包み込む。ここまでの5曲だけでも幅広い音楽性を持つことが伺えます。

 普遍的なロックを基点に、オルタナ、ポストパンク、シューゲイザー、ポストロック、エレクトロニカ、アンビエント、そしてヴィジュアル系に至るまでの様々な影響下のもとで、NOVEMBERS流に再編。その耽美にまとめられた音像は、とても刺激的でロマンティックです。様々な音楽ジャンルの通訳者として、彼等もまた独自の存在感を放っているといえます。

 完全にMBVイズムが染み込んだ表題曲#6「Rhapsody in beauty」からの後半も充実の内容で、あらゆる方面からの刺激を約束。ロックの疾走感と轟音ギターで昂揚感を増幅する#7「236745981」、ややアンビエント寄りでありながらも民族的なリズムと意思の強い歌が乗せられた#9「Romance」とその多彩さと表現力の巧みさが冴え渡っています。最後は、現実に戻されるように選びぬかれた音と言葉だけが静かに胸を刺す#10「僕らはなんだったんだろう」で、名残惜しそうな締めくくり。

 ロマンティックな甘い感傷も稲妻の如き激しさも病み付きになる毒性も携えながら、極彩色の世界を描く本作は、確実に相手の心を捉える。バンドとしてのひとつの到達点といえる逸品。

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