コロナ禍に突入してこれがライヴ3本目。2ヶ月前にROTH BART BARONを観に行き、先月は「森、道、市場2021」へ参加し、自分の生活にライヴが少しずつ帰ってきています。これで3カ月連続参加できているので、欠落していた部分が埋まった感覚がちょっとだけあります。まだまだ世界の空気は重たいけれども。
今宵はTHE NOVEMBERS。前回みたのが、2019年12月のBAROQUEとのツーマン@伏見JAMMIN公演。その時はお互いの曲をカバーしたり、それぞれゲスト参加したりでなかなかに良いライヴを堪能できました。フジロックやIMAIKE GO NOWなど定期的にノベンバをみてはいますが、ワンマン公演はこれが初です。
チケットは事前にSOLD OUT。これまた久しぶりの名古屋クアトロへ。隣のセンチュリーシネマは昨年からずっと変わらずに足を運んでいましたけれども(とはいえ、「SNS少女たちの10日間」から行けてない)、クアトロはコロナ前の昨年2月にGASTUNK、the 原爆オナニーズ、Borisの3共演を観て以来となります。遅まきながらの電子チケットデビューを本公演で果たし、手指消毒して会場内へ。
中に入ってびっくりしたのが、座席ありの全着席スタイル。おそらく全員分の椅子が用意されていたのではないかなと思います(開演後に来た人は後ろの方で立っていましたけど)。開演約15分前に会場入りしたので、席はほぼ埋まっていたのでバーカウンター付近の空いている席でみることに。ただ、ライヴ中はその場を移動しない限りは立ってみても大丈夫とのことでした。実際、一段下のフロア内の方は前方を除いてほぼ立って鑑賞していました。開演時間直前ぐらいのBGMでBUCK-TICKの「ドレス」が流れ、妖艶な雰囲気がつくられる。
定刻通りに公演は始まる。冒頭、鮮やかな電子音に引き込まれる「Rainbow」がオープニングを飾ります。フライヤーにも使われている”きみはいつも ここがはじまり”の名節を経て、拡散していく音を浴びる終盤が今宵への期待を膨らませる。続く「美しい火」。象徴的な”あらゆる美しいものが僕(キミ)の世界を変える”という一節よりも、終盤の”捨ててしまえ”の連呼の方に揺さぶられるのは、昨今の状況があるからか。ファルセットからエモーショナルな叫びへ変わっていく様に彼らの意思が伝わってきました。
1年8か月ぶりとなったワンマン公演@大阪に続き、ツアー2公演目。その時は「感極まった」というツイートもされてました。その上で本日はどっしりしつつ、躍動感のあるパフォーマンスだったかなと感じました。ほぐれた部分ともっといけると感じた部分がちょうどバランス良く。持ち場は離れずに決してステージを動き回ったりはしませんが、メンバー全員ヘドバンして、いつものノリってのを体現してたように思います。
今宵のメイン処である『At The Beginning』は、前作『ANGELS』以上に音楽的拡張が成された作品。電子音の存在感が明らかに増したり、「New York」のようなファンク色の強い曲が登場したり、「理解者」や「Hamletmachine」では90年代オルタナ~グランジ風のギターサウンドが聴けたり。『ANGELS』でも革新的と言われましたが、そこからさらに踏み込んでの挑戦が聴ける一作です。ライヴで聴くとベースがかなり強調されている印象があって、その中でも「消失点」はリズム隊の強度にすごく引っ張られた1曲でインパクトが強かったです。中盤に披露された『薔薇と子供』は4ADの薫りと耽美性でコーティングされているようで美しい。
終盤は一気にギアが入ります。「Hamletmachine」のヘヴィロックサイドBorisを継承するようなリフの嵐で畳みかけ、ここから過去曲のオンパレードで「こわれる」、さらには必殺の「DOWN TO HEAVEN」~「BAD DREAM」のコンボが炸裂。退廃的かつ攻撃的なムードが支配する中、本編最後の1曲には「xeno」がばっちりのドライブ感で興奮の向こう側へ連れていく。ラストは場内が一気に明るくなり、ひとつのピークを迎えました。
アンコールは2曲。ここでも小林さんはあまり多くを語らず、いつも通りに「元気でいい未来で会いましょう」と言葉を残します。「いこうよ」では爆音と共に不透明な未来を潜り抜けていく意思と姿勢を示し、「今日も生きたね」で静かに美しい日々を願う。全16曲、時間にして約90分と短めのライヴとはなりました。しかしながら、THE NOVEMBERSは変わらずに存在し続ける、そんなことを強く印象付ける一夜でした。
—–setlist—–
01. Rainbow
02. 美しい火
03. 消失点
04. 理解者
05. Dead Heaven
06. New York
07. 楽園
08. みんな急いでいる
09. 薔薇と子供
10. Hamletmachine
11. こわれる
12. DOWN TO HEAVEN
13. BAD DREAM
14. Xeno
–encore–
15. いこうよ
16. 今日もいきたね