ポストメタル・ディスクガイド 120作品

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ポストメタル・ディスクガイド7

Lento / Earthen(2007)

 イタリアのスラッジメタル系インスト・バンドの1stアルバム。特徴としてはThinking Man’ Metal的な流れにあるバンドのひとつであり、スラッジメタルとアンビエント~ドローンを培養しながら、瞑想と重量感のある音楽を追及している。

 幕開けとなる#1「Hadrons」から鈍く重いリフを片手に持ちながら、前半は叙情的な面を見せますが、後半は黒い支配下に置かれていく。

 地獄の末端をのぞいたかと思ったら、急に宇宙空間に放り出されたり。心地よさよりも不穏さに意識が絡めとられていく感じはLentoらしい特色。

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Lento / Icon(2011)

 2ndアルバム。端的に表せば、”黒くて重いインストの完成系”である。トリプルギターの組み合わせによる硬質なパノラマ、重くシャープなリズムが作品を推進する。

 蹂躙され続ける鼓膜。それでも、アンビエントの楽曲が瞑想を促すように配置されていて救いを設けている。しかしながら、重いということに関して一切の妥協はなく。

 本作に収録されている「Hymen」が打ち立てる漆黒の音の壁に到達したバンドは、未だに表れていない。

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Light Bearer / Lapsus(2011)

 上記に挙げたFall of Efrafa解散後に、中心人物であったAlex CFを核として生まれた6人組による1stアルバム。

 17世紀のイギリスの詩人ジョン・ミルトンによる叙事詩『失楽園』やフィリップ・プルマンの小説『ライラの冒険』からの影響を公言し、神と対立して天界を追放された堕天使ルシファーの物語を深遠な音楽で表現する。

 Fall Of Efrafa後期からの延長上にある音楽だが、叙情性をさらに高めて重い美しさを持つポストメタルを展開。

 NeurosisとSigur Rosが手を取り合い、煉獄の底から天国の彼方までを行き来する13分越えの#2「Primum Movens」は、バンドの代表曲として君臨する。

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Light Bearer / Silver Toungue(2013)

 2年ぶりとなる2ndアルバムもルシファーの物語の続編。タイトルの”Silver Tongue”は銀の舌ではなく、雄弁や説得といった意味合い。基本的には前作の延長上にある音だが、これまでよりメロディが温かさや優しさを帯びている。

 オープニングを飾る18分超の#1「Beautiful Is This Burdon」は、ポストメタルの重量感を基盤に置きつつも、華やぎと色彩美をもたらすストリングスや管楽器とのアンサンブルが見事。Sigur Rosの『Takk』にも通ずる美と多幸感が盛り込まれると同時に本作を象徴する曲だ。

 しかし、四部作を予定していたもののバンドは本作をもって解散してしまった。

メインアーティスト:Light Bearer
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Long Distance Calling / Long Distance Calling(2011)

 ドイツのインスト・ポストメタル/プログレッシヴ・ロック5人組。ポストロック/ポストメタルに属すだろうインストではあるが、一癖も二癖もあってかなり振り幅は広い。

 宇宙・神秘・内省・といったキーワードを繋げ、70年代のプログ/サイケの旨味を濃縮。独自のインストを追及している。小奇麗な気品さと激しく猛々しい音色が衝突現象を起こしながら、怒涛の推進力と展開美で十二分に聴き手を魅了。

 ちなみに#6「Middleville」にJohn Bush(ex-ANTHRAX)がゲスト参加している。

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Long Distance Calling / Eraser(2022)

 8thアルバム。“人間の手によって浸食されていく自然や生物”がコンセプト。各曲は絶滅に直面している特定の生物を表す、と同時に捧げられる。

 曲順にあげていくとクロサイ、ヒガシゴリラ、ニシオンデンザメ、ナマケモノ、ワタリアホウドリ、ヒゲナガハナバチ、トラ、そして人間である。

 前作の反動からか電子音はあまり使わず、4人によるバンドサウンドをメインにしてゲストによる管弦楽器、少々のエレクトロニクスで構成。

 一番強烈なのはラストの表題曲#9「Eraser」のテーマは人間。種と環境の破壊、それが最終的には人間の滅亡に繋がることを緊迫した展開で表現している。

アーティスト:Long Distance Calling
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LVMEN / LVMEN(1998)

 1995年に結成されたチェコのポストハードコア/ポストメタル・バンド。創設メンバーであるHusar(Vo,Key,Sample)を中心に結成され、30年の歴史を誇る。

 本作は1st EPで全2曲は#1「1」が約13分半、#2「2」が約14分半といずれも長尺。活動初期のEPとはいえ、これら2曲でLVMENの基本的な音楽性は説明することができるほど。ポストハードコアをベースにして、NeurosisやGodspeed You! Black Emperor、Hooverといったバンドと接続しながら、長い時間をかけて大きくうねる。

 穏やかな旋律と荒れ狂う大河のような轟き。呪術的な祭事の側面を強めるリズム。複数名が担当するスポークンワードと苦悶の叫び。そして、本作から以降の作品でも続いていく映画から引用するセリフ・サンプル。それらの混交が超然たる力を持って迫ってくる。

 当時はポストロックやポストメタルという言葉は一応あったが(世間的に浸透はしていない)、ISISやCult of Lunaが活動初期段階で、MOGWAIもGY!BEも1stアルバムを出したばかり。そんな中でLVMENは知られざる存在ながらも後続に踏襲されていく作品を既に生み出していた。

メインアーティスト:Lvmen
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LVMEN / Raison D’Etre(2000)

 1stアルバム。「3」~「7」までの全5曲約41分収録。LVMENの永遠のインスピレーション基となる1967年のチェコ大作映画『マルケータ・ラザロヴァー(Marketa Lazarová)』との結びつきを強めている。

 約1分の短い間奏曲である#3「5」を除くと8分半~11分までの楽曲で構成されており、じっくりと雰囲気を作り上げていくのは前作から変わらない。ただし、#1「3」を始めとして叙情的な旋律が引率役を果たすシーンが結構ある。それに読経やオペラ歌唱、神経を惑わす効果音が本作では取り入れられており、映画からのサンプリングも引き続き随所に散りばめられている。

 そういった表現によって聴覚から瞬間的な映像効果を受け取ります。一方でどんよりとした陰鬱な雰囲気、バンドの根源にあるハードコアの野性味気質がぶつかりあう。実験性を加味した上での構築された美しさ、生々しい衝動が封じ込められた#1「3」はLVMENの代表曲のひとつ。そして、大量の蟲による不快な羽音らしき始発点から10分半をかけ、荘厳なクワイアによって導かれる終着点に辿り着く#5「7」。こちらもまた五感をぶっ叩く楽曲。

 Neurosisの子孫系バンドとはいえるが、チェコ文化との結びつきやハードコア的な側面をより発揮することで独自のスタイルを開眼。『Raison D’Etre』は、この界隈で貴重な影響力を持つ重要作。

メインアーティスト:Lvmen
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Mare / Mare(2004)

 カナダはトロント出身の3人組による唯一の作品である5曲入りEP。2004-2007年と活動歴は短いが、Hydra Headからリリースされていることが本作の前衛的と品質を保証する。

 スタイル的にはスラッジメタルが基盤にあり、重低音リフと野太い叫び声、ミドルテンポの進行が主だった部分を担う。その上でBotchやThe Delllinger Escape Planを思わせるマスコアの変則性がスパイスとなったり、ジャズ的な管楽器やドラムパートを介入させ、(国内盤ライナーノーツによると)ブルガリアン・ヴォイスを取り入れている。

 楽曲の中で様々な要素に寄り道しながら聴き手の思考と視野を広げる旅路になっていることは、Kayo Dotにも通ずる。ノイズ攻撃に入ったり、アンビエントの安息が訪れたり、静かな歌ものと化したり。作品を通してのユニークな変容。

 そんな本作はFACTによる ”ポスト・メタル・レコード TOP40″ では第3位にランクイン。DECIBEL MAGAZINEは本作を”24分40秒に及ぶ、ポストメタル史上最もユニークで、魅力的で、心躍るような作品“と2019年に評している

アーティスト:Mare
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Minsk / With Echoes in the Movement of Stone(2009)

 ベラルーシ共和国の首都からお名前を頂戴したドゥーム・バンドの3作目。Neurosisの名作『Through Silver In Blood』と比較されることのある、密教的かつサイケデリックなサウンドで評価されている。

 地を這いずるヘヴィネス、妖しく進むトライバルなリズム、呪術的な声は負の深みを作品にもたらす。延々と儀式が繰り広げられているようであって、闇が爪を立てて静かに押し寄せる。

 #2「The Shore of Transcendence」は特にNeurosisフォロワーであることを伺わせる曲。

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