【ライブ感想】2024/03/17 Melvins @ 心斎橋JANUS

 USオルタナティヴ・シーンの重鎮にしてバンド結成から40周年を迎えたMelvins。彼等の4年半ぶりとなる来日公演へ向かいました。わたしは13年ぶりで今回で3度目です。最初がフジロック’09にて。夕方のホワイトステージであらゆるヘヴィに影響を与えてきたその音を浴びました。

 2回目が東日本大震災の前日に名古屋クアトロで体感したEXTREME THE DOJO VOL.26。この時はライヴはとても良くて文章には残したものの、どうしても翌日の惨事があってその余韻に浸れたことはない。15年はHostess Club Weekender、19年に東名阪を単独ツアーでまわっていますが、これには都合でいけずじまい。

 今回は大阪へ。CLUB JANUSは初めてきましたが、スタンディングで400名ほどが入るライヴハウス。前の方に陣取っていましたからパッと振り返るぐらいでしか確認できませんでしたが、8割以上は入っていたような印象を持っています。そして外国人客の多さはさすがにメルヴィンズ。

 ほぼ定刻通りにスタート。A-HA『Take On Me』が大音量でかかり、なぜか会場から爆笑が起きるとその音をバックに3人が入場。キング・バゾ、スティーヴン・マクドナルド、コーディ・ウィリス。ドラムはデイル・クローヴァーではなくツインドラム体制だったころのメンバー、コーディが代演。ちなみにわたしはツインドラム時代のメルヴィンズしか見たことがないので、逆に3人の方が新鮮でした。

 「Sesame Street Meat」からオルタナティヴ~ヘヴィの歴史を担ってきた大迫力の音が鳴り響く。ストイックかつシンプルに研ぎ澄ませる。長年続くバンドに秘訣はこれか。コーディのドラミングが原曲よりも体感的な速さを加えていた「It’s Shoved」~「Anaconda」も強烈。スティーヴンがベースでアドリブ入れたり、ドヤ顔しまくったりと以前とは別の色味が加わっていたことも印象的です。

 今宵のセットは90年代の楽曲が大半を占めました。『Bullhead』や『Houdini』からの選曲は歓声がひときわ大きく、「Hag Me」の遅いと重音の魔合成はライヴだとよりドロドロ感が強い。逆に「Your Blessened」は原曲の遅攻性よりもロックンロール的な感触が強まっていて、途中にEarthlessかな?と思うぐらい弾き倒す場面も見られました。

 終盤は「Honey Bucket」~「Revolve」~「Night Goat」と代表曲で畳みかけ。歴戦の猛者だけが召喚できるヘヴィさに悶絶するほかありません。とはいえ、ストイックだけじゃなくてここにユーモアを被せられるところがまたすごい。以前みた時にはいなかったスティーヴンの影響でしょうかね。

 最後は”これから10分の曲やるけどもっと長く感じるはず”と前置きしてから「Boris」。伝説が伝説たる所以をトグロを巻くような重轟音と共にたたきつける。最後はリズム隊がはけてバゾが5分ほど独演。オルタナティヴの生き証人としての存在感をまざまざと思い知らされました。約70分と短いながらも凝縮したライヴ。

 でも、東京公演は「Boris」をBorisと一緒に演ったという情報を見て泣いてる。そんでもって一番好きな「The Bit」演ってねえ

 Melvinsは昨年で40周年を迎えました。無事之名馬といわんばかりにずっと転がり続けていて、来月には最新アルバム『Tarantula Heart』をリリースする。でも年齢が年齢だけにいつ最後になるかはわからない。見れるときには見とかないと次はないかも、というのはベテランバンドだと余計にね。今宵、体感できてよかったです。

—setlist—
01. Sesame Street Meat
02. It’s Shoved
03. Anaconda
04. Never Say You’re Sorry
05. The Bloated Pope
06. Hag Me
07. Your Blessened
08. A History of Bad Men
09. Honey Bucket
10. Revolve
11. Night Goat
12. Boris

↓のアルバムがオススメです。

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