Hoover ‐‐Review‐‐

1992年から94年までワシントンDCで活動した、ポストハードコア・バンド。DISCHORDから発売されたフルアルバム『THE LURID TRAVERSAL OF ROUTE 7』が現在でも歴史に名を残し、後世に大きな影響を与えている。


The Lurid Traversal of Route 7

Lurid Traversal of Route 7(1994)

 DISCHORDを代表するポストハードコア・バンド、Hooverが1994年に残した名盤である。激情ハードコア~ポストロック誕生前夜とも評される作品のひとつであるが、FugaziからSlintからShellac辺りまでの薫りを漂わせながら、独自の音塊へと昇華していった彼等の凄さが十二分に伝わってくる。

 ヒリついた緊張感と歪んだギター、変拍子を絡ませながら、炸裂する絶叫。いかにもDISCHORDらしく、またFugaziからの影響は顕著だが、この殺伐として暗いサウンドは非常に強力でボディブローの様に効いてくる。加えて、絶妙な緩急の妙に支えられた展開がまた鮮やかであり、インテリジェンスな狂気がそこかしこに感じ取れるのも彼等の特色だろう。不穏なイントロから烈火の如き攻撃的な音が叩きこまれる#1「Distant」は時代を超えて刺さる楽曲であると思うし、ダーク&グルーヴィなサウンドが地を這い迫る#2「Pretender」、地響きのようなベースラインからのミニマルな展開でじわじわと昂揚感を煽る#3「Electrolux」と続く序盤は、特に圧巻の内容だ。

 殺伐としたミドルテンポの楽曲を中心に置いているとはいえ、不意に洗練されたメロディを差し込んでくる辺りも心憎い。#5「Route 7」では現在のポストロックへと橋渡す美しいインストゥルメンタルを鳴らしたり、ジャジーなアプローチを盛り込んだりとバンドの懐は深い。しみじみとした味わいの序盤から、感情が爆発する#9「Letter」も印象的な楽曲のひとつで、13曲約60分で構成された本作は、様々な要素を用いながらハードコアの深化を見せた1枚と言えるだろう。この不協和音と混沌とした美しさがたまらない。

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