私的名盤80選

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私的名盤⑤

La’cryma Christi / magic theatre (2000)

 かつてのヴィジュアル系四天王の3作目。1stアルバム『Sculpture of Time』が最高傑作として名高いが、アーティステイックな姿勢をさらに貫いた本作を選んだ。

 ”魔法の劇場”と題された本作は、前作『Lhasa』のOurサイドを更なる高みに引き上げたもので、魔法のかかった12曲が次々とスクリーンで上映されるかのよう。

 彼等らしいオリエンタルな情緒に溢れた楽曲や切ないラヴソング、カントリー調の軽やかな曲、ダークでシリアスな疾走曲と曲調はバラエティに富む。究極のラクリマ・ワールド。

オススメ曲:#1「Magic Theatre」

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Light Bearer / Lapsus (2011)

 Fall of Efrafa解散後に、中心人物であったAlex CFを核として生まれた6人組による1stアルバム。

 17世紀のイギリスの詩人ジョン・ミルトンによる叙事詩『失楽園』やフィリップ・プルマンの小説『ライラの冒険』からの影響を公言し、神と対立して天界を追放された堕天使ルシファーの物語を深遠な音楽で表現する。

 Fall Of Efrafa後期からの延長上にある音楽だが、叙情性をさらに高めて重い美しさを持つポストメタルを展開。NeurosisとSigur Rosが手を取り合う13分越えの#2「Primum Movens」は、バンドの代表曲として君臨する。

オススメ曲:#2「Primum Movens」

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Linkin Park / Meteora (2003)

 ミクスチャーの最高峰にして金字塔といえるLinkin Parkの2作目。わたしが高校3年生の時に初めて買った洋楽CDがこれ。#3「Somewhere I Belong」を聴いてなんだこのカッコいいのは!となって購入した記憶。

 全13曲36分というコンパクトなつくりの中で、ミクスチャーロックの真髄を堪能できる。#7「Faint」、#9「Breaking The Habit」、#13「Numb」といった名曲を収録。

 チェスター・ベニントンの声は唯一無二だと、本作を聴き直すたびに思う。

オススメ曲:#3「Somewhere I Belong」

メインアーティスト:リンキン・パーク
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凛として時雨 / Inspiration is DEAD (2007)

 本作で知られざるという知名度からドカーンといった記憶の強い2ndアルバム。わたしもここから凛として時雨に入っている。3人の持ち味の化学反応。それによる多彩な色と初期衝動がとてもインパクトがあった。

 ギターは鋭利な刃物のようでキレイな水晶のように輝きも放つし、リズム隊は忙しない急展開を支える。さらに男女ハイトーン・ツインヴォーカルが脳内に刺さる。そう、凛として時雨の音楽は刺さるという感覚がとても強い。

 #1「nakano kill you」から#4「Knife Vacation」までの圧倒的なテンションは、未だに強烈なものをわたしの中に残している。

オススメ曲:#2「COOL J」

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LITE / Phantasia (2008)

 日本のマスロック系インスト・バンド。まだシンセサイザーを導入してなかったころの2ndアルバム。ハードコア系の切れ味を増した鋭角的なアプローチ、研磨された美しく艶やかなメロディが溢れており、1stアルバム以上に強力。

 緻密なバンド・アンサンブルは変幻自在のうねりを生んでおり、予想もつかないほどのスリリングな展開にはただただ圧倒されるのみ。さながら激しく降りしきる音符の雨のよう。

 マスロックとしての構築の妙と肉体性を限りなく極めた一作であり、初期のLITEが辿り着いた完成形。次作から彼等はシンセサイザーを導入して変化を求めていく。

オススメ曲:#1「Ef」

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MALICE MIZER / merveilles (1998)

 1998年にわたしはヴィジュアル系の洗礼を受けたが、MALICE MIZERは視覚的にも聴覚的にも”ヴィジュアル系”というのを刷り込んだ存在である。

 音楽番組に彼等が出て来た時、派手なその衣装もさることながら、曲を演奏してなかったのは特に衝撃を覚えたことだった。本作はGackt(Vo)、Kami(Dr)在籍時の奇跡的な作品。

 中世ヨーロッパの耽美な世界観を基調とした華美な容姿と美しいサウンドは、ポップでいて芸術点が高い。荘厳華麗という言葉は彼等のためにある言葉と思えるほどに。

オススメ曲:#7「au revoir」

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Manuel Gottsching / Inventions For Electric Guitar(1975)

 Ash Ra Templeのギタリストによるソロ作(名義はAsh Ra Tempelだが)。ギターとエフェクターと4チャンネルレコーダーのみで制作されたという本作。ディレイ・ギターを中心としているものの、ミニマル・ミュージックやテクノ方面にも多大な影響を与えた名盤。

 わたしは生で体験しておりまして、静岡で開催されていた今は亡き音楽フェス  “METAMORPHOSE 2010″のステージで本作を再現していた。氏は2022年12月に死去。ご冥福をお祈りします。

オススメ曲:#1「Echo Waves」

Mark McGuire / Living With Yourself (2010)

 解散したEmeraldsのギタリストであり、メジャーリーガーじゃない方のマーク・マグワイア。Editions Megoから発売されたおそらく最初のフルアルバム。

 本隊とは違ってギターに焦点を当て、フォーク、ミニマル、ポストロック、アンビエント等を絶妙にコラージュした清らかな世界が描かれている。

 家族をテーマにしたパーソナルな響きが主体で、瑞々しいディレイ・ギターと子どものヴォイス・サンプリングが心地よくも暖かい空間へと誘う。そして、聴き手自身の懐かしい思い出を掘り起こさせる作品でもある。

オススメ曲:#4「Brain Storm」

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MASCHERA / orb (2000)

 1992年~2000年までを駆け抜けたヴィジュアル系バンドの3rdアルバム(メジャー2枚目)にして最終作。製作段階で解散が決まっていた、そしてセルフプロデュースの本作は、隠れた名盤としておくのは惜しい。

 前作『iNTERFACE』のメジャー仕様のポップさを咀嚼した上で、原点回帰するようなダークな世界観が確立。曲調は妖しさを増して暗部へと踏み込み、歌詞もインディーズ期を思い出させるような文学性が蘇る。

 それでも暗闇の強さも光の強さも両立した1枚として、最後のあがきと輝きを見せている。ちなみにわたしは彼等のラジオ「マスケラのハイスピードカフェ」のリスナーだった(上記のマリスのラジオと時間が前後してた)。

オススメ曲:#8「蜉蝣 ~水仙の涙~」

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Maserati / Inventions For The New Season (2007)

 アメリカ・ジョージア州アセンズのインスト・ポストロック4人組の3rdアルバム。

 Canのプログレ/サイケ感覚、ホークウィンドのスペース感覚、!!!のうねるグルーヴ、マニュエル・ゲッチングのクラウトロック/ミニマル要素、クラブ/テクノ経由のアシッドな電子音を懐に収めたサウンドが特徴

 本作は静と動のポストロック的な縦の大きな揺さぶりのみならず、Jerry Fuchs(09年に逝去)という強力なドラマーを軸とした持続的な横の揺さぶりを加味したことが大きい。

オススメ曲:#1「Inventions」

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