【アルバム紹介】Kingdom、サイドプロジェクトに留まらない重みと深み

 ベルギーのスラッジ/ポストメタル重鎮であるAmenraのマチューとコリン、同じくベルギーのポストハードコア・バンドのThe Black HeartRebellionのTim Bryon。この3名で結成されたスラッジメタル・バンド。2つのEP『Kingdom』、『Hemeltraan』を2010年までにリリース。その後はライヴ活動を行っていたものの、現在は活動停止状態になっています。

 本記事はTokyo Jupiter Recordsよりリリースされた1st EP+2nd EPの編集盤『Kingdom』について書いています。

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Kingdom(2010)

 2つのEP『Kingdom』と『Hemeltraan』を収録した日本限定の編集盤。Tokyo Jupiter Recordsよりリリースされています。全10曲収録。ミックス&マスタリングを手掛けているのがNeurosisやSwans, Sleep等とも仕事したBilly Andersonです。

 母体であるバンドから受け継がれる闇のエッセンスを随所で発揮していますが、とにかく低い重心とスピリチュアルな精神性を持った独自の世界観を打ち立てているのが特徴。ドゥーム/スラッジばりの重厚なリフと屈強なリズムがひたすら低地を這うようにゆっくりと進む。そこに読経っぽいノーマル声と悲痛な絶叫が乗る。

 音像は間違いなくNeurosisの影響下にあるものです。Cult Of Lunaのような重々しいポストメタル、所々のアンビエント/ドローン、Omが鳴らす悟りの宗教音楽っぽい風情もあります。決して黒を塗り重ねるだけでなく、叙情性を絡めた美意識の行き通った創りが成されている。ヘヴィネスの黒い海に葬られる#5が最も強烈ですが、穏やかな風景から絶望へと堕ちていく#7も悶える1曲。煙たさを撒き散らすかのような不穏でアブストラクトなSEが4曲ほど入っていて、退廃的なムードを煽っているのも特徴といえるだろう。

 スラッジ/ポストメタルに沿った巨大なうねり、それにあらゆる負の感情を拾い上げながら崇高といえるレベルにまで至らしめた音像は、脅威的。サイドプロジェクトに留まらない重みと深みを追求した意欲作。

お読みいただきありがとうございました!
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