2024年1月5日をもって当ブログ設立20周年を迎えました。でもまだ続きます。

2023年ベストアルバム15選

 2023年。わたしにもいろいろな出来事があって、日本にも世界にもいろいろ出来事がありました。見たくないほどの悲惨さを目にしてしまうし、ミュージシャンの訃報が多くて辛い年でした。

 それでも月日は否応にも流れます。今年で当ブログは復活3年目。年の瀬恒例行事となる年間ベストアルバム記事をここに残します。

 昔ほど貪欲に新しいの聴こうってのは薄いし、そういうレースに出走できなくなった人間ですが、自分の守備範囲とペースでもって書き記していく。それがわたしにとっての今できることかなと思い、そうしています。

 本記事にお付き合いいただければ、もしかしたら新たな発見があるかもしれません。上から下への並びは順位付けではなく、個人的な見栄えと流れでこうしています。ただし”一番下にあるアルバムが今年一番聴いている作品”です。

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2023年ベストアルバム15選

ひとひら『つくる』

 2021年6月から活動を始めた東京を拠点に活動する若手4人組ロックバンドの1stアルバム。。#1「つくる」~#2「国」のコンボから早くも聴き手の心を鷲づかみしてしまいます。

 クリーントーンのアルペジオを主体にポストロック~シューゲイズ御用達の轟音ギター、線細めのハイトーンヴォーカルが絶妙に噛み合い、軽やかに進行。平均3分の尺に変則性やひねりを入れていますがスムーズに展開し、いい意味で尖り感や力感がなくなめらかな聴き心地。

 エモという言葉もあてはまりますが暑苦しさは感じず、熱量の押し売りにならないスマートさが曲調の軽妙さにつながっています。

 タイトルはおっかないのになつかしいエヴァーグリーンの光景が広がる「ここじゃない地獄」、メロウな旋律が盛り立てる#6「One」、マスロックの軽やかさからシューゲイズの音響まで轟く#8「遠くなる」、90’sエモ的な空気を感じさせる#12「こわす」と魅力的な楽曲が勢揃い。

 全編通して感じるのは初夏を思わせる澄んだ空気。様々なブレンドの中にリバイバルと言わせない自分たちの色を出すことに成功しており、1stアルバムから実に見事な作品です。

オススメ曲:#5「ここじゃない地獄」

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Svalbard『The Weight Of The Mask』

 UKブリストルの4人組ポストハードコア・バンドの4thアルバム。最大手のひとつ、Nuclear Blast Recordsと契約してのリリース。

 音楽的にはハードコア、ブラックゲイズ、ポストロックの強力タッグ戦という趣は変わりません。セリーナ・チェリーとリアムが咆哮を被せ合い、高域のトレモロリフがアクセントとして機能し、ドラマティックな激走をみせる。

 まるでボクサーのような切れ味と俊敏性を持ったうえでの感情スパークに心も体も動きます。淡く幻想的な雰囲気を作り上げるのもうまく、MONOに影響されたという落差の大きいコントラストの描き方は本作の肝。

 歌詞はうつ病や精神疾患についてが多くを占め、セリーナ個人が抱えた苦悩と闘争を深く掘り下げている。逆に以前のような社会的な問題(フェミニズム、無給インターンなど)への言及は自身がエネルギーを割けなかったとのことで回避。

 #1「Faking Int」から#9「To Wilt Beneath The Weight」までの暗く深い内なる巡礼には、安易な消費を拒む誠実さと力強さがあります。なお#2「Eternal Spirits」はSlipKnoTの元ドラマーであるジョーイ・ジョーディソンに捧げられた楽曲。

オススメ曲:#1「Faking It

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色々な十字架『少し大きい声』

 ウソから始まった90’sヴィジュアル系リバイバル・バンドの1stアルバム。これが”っぽい”じゃなくて”ちゃんとヴィジュアル系”なんです。

 CDJournalのインタビューで各楽曲の影響元が語られていますが、90年代~00年代前半のヴィジュアル系を平準化してトレース。幻想性・疾走感・メロディアスという三要素が詰まった”耽美なりしし†音楽性”が貫かれています。#2「蜜」、#4「TAMAKIN」にその特性がよく表れている。

 そんな”美しし†”を引き出す音楽面があるにも関わらず、このファンタジーは歌詞によって壊されます。ヴィジュアル系のフォーマットからはあえて遠ざかっており、ゴルゴダの丘に行くこともなければ、薔薇の聖堂を拝むこともないし、青い血からは程遠い。

 それよりもカレーだし、かき揚げだし、なんなら田んぼの水です。詞では”耽美なる”のかけらもないジジィ、ババァ、ガキの連呼。道徳の授業を受けてこなかったのかと疑ってしまうぐらい口が悪い総合商社と化してます。HEY!HEY!HEY!にもし出たとしたら浜田さんにどつかれる系。

 品のない歌詞とあの頃の空気/音を再現する演奏の化学反応が色々な十字架の魅力となっております。ヴィジュアル系ってどんなの?という方にもオススメ。

オススメ曲:#4「TAMAKIN」

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BIG|BRAVE『nature morte』

 カナダ・モントリオールを拠点に活動する3人組の6作目。タイトルは”静物画“を意味するフランス語用語より。

 Southern Lord系列に連なるヘヴィネス、Thrill Jockeyに属すことを証明する実験的な構築、銃にも蜜にもなるRobin Wattieの声。迫りくるドローンの波状とヴォーカルの気迫が聴き手をおののかせる。

 作品のテーマは公式Bandcampに”あらゆる多元的な女性性の被支配に重点を置いている“と書かれており、言葉にできない感情を暗い心の底で掘り起こしているとのこと。当然ながらRobin Wattieの個人的な体験に基づいた事柄も含まれており、特に#2「The One Who Bornes a Weary Load」の9分間におよぶ衝撃は計り知れません。

 最小限から最大限までの音量を用いながら紡ぐ高いアート性とダイナミクスを持つ音楽。その側面はあるが、切実な痛みを訴える音楽として比重が大きい。

 ヘヴィであることの意義。サウンドからもメッセージからもその必然性を感じさせます。本作の収録曲3曲を演奏したAudiotree LIVEの音源も合わせてお楽しみいただければ幸い。

オススメ曲:#2「The One Who Bornes a Weary Load

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陰陽座『龍凰童子』

 妖怪ヘヴィメタルに魂を捧げ続ける4人組の15thアルバム。Vo.黒猫さまの療養・復活となる4年半ぶりの新作は過去最長のインターバルであり、また全15曲収録と単独作としては過去最多曲数、約71分と最長分数を記録。

 タイトルは瞬火兄上いわく「陰陽座の家紋のうしろに描かれている“龍”と“鳳凰”に、強力な鬼を示す“童子”を加えた”龍鳳童子”は、陰陽座を名乗っているのとほぼ同じ」とのことです。セルフタイトルゆえのオールスター感謝祭というべき楽曲群の豊かさは、陰陽座が24年歩んできた妖怪ヘヴィメタル道の総決算といえる内容。

 結成時から己の武器を研ぎ澄まし、経年と共に武器を増やしながら磨き込み、ヘヴィメタル愛とともに日本古来の妖怪や風習を歌い上げる。それが陰陽座にとっての覇道であり、曲げられない信念。#3「鳳凰の柩」や#5「茨木童子」は勇壮に突き進む新たな代表曲として君臨。

 これこそが陰陽座というものが『龍凰童子』には余すことなく詰めこまれており、歴史を凝縮しながらも新規ファンの魂をも揺さぶる器量を持った作品です。

オススメ曲:#5「茨木童子

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deathcrash『Less』

 2018年から活動しているUK・ロンドンを拠点とする4人組の2ndアルバム。基本路線は前作からの延長にあり、Slint~CodeineラインからMogwaiの『Come on Die Young』が近しく感じるものです。

 日本的に言えばわびさびが効いたと表現できるような、着飾らずにしんみりとした音楽。2作目にして早くも熟成した旨味があり、波打ち際のような静けさと零れ落ちる歌声はセラピーのようにさえ感じる。

 それでいて荒ぶる激情轟音ムーブが前作よりも沸点高く炸裂。曲によっては、人格が突如変わったかのようにスラッジ系の歪む重低音と血の通った叫びを耳にする。

 聴き手の心を震わすとか共感を呼ぶとは無縁で”あてもないどこかの場所で、音楽がただ鳴っているだけ”というそっけなさや温度感はdeathcrashの特徴。現代社会という消耗戦を離れて、ただ浸り、ただ耽る。その感覚を思い出させてくれる『Less』に敬意。

 来日公演補正もあり、しんみりさと爆発の狭間で揺れるK.D.Japonでの体験は良い時間でした。

オススメ曲:#2「Empty Heavy

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kokeshi『冷刻』

 ブルータル・ブラックゲイズを標榜して活動する東京・西荻窪の4人組バンドによる2ndアルバム。赤い糸が結ぶ、虚ろと衝撃。

 前作から続くブラッケンド・ハードコア~ブラックゲイズを中心軸にニューメタル、オルタナ、メタルコアが呪いの装備として躍動。”和ホラー×メタル”の形容はkokeshiをよく表していいます。急加減速の滑らかな駆動によるシャープな切れ味、トレモロ~クリーントーンで表出する凍りついた美と醜。

 そして、変わらずにひとり全役スタイルで牽引するVo.亡無(なな)さまが、鬼神のごときパフォーマンスで圧倒する。彼女がDIR EN REYの京さんに影響を受けていることもその手のファンに訴えかけるはず。

 こだわり抜いた日本語詩、貫かれる”冷・和・呪”の三原則。CD帯に書かれた“私はまだ、人のカタチをしていますか?” は#4「報いの祈り」の一節ですが、戦禍に向かったひとりの人間の渦巻く胸中が描かれている。暗闇なのに感じるまぶしさ、零下なのに感じる熱。

 いくつかの激音系をパッケージングしただけではない日本人としての、日本人でしか生まれない音楽。それを感じさせるのが何よりも素晴らしい。昨年10月は東京、今年5月はリリースツアーの大阪と体感できて良かった。

オススメ曲:#9「彼は誰の慈雨の中で

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The Ocean (Collective)『Holocene』

 結成から20年以上活躍し続けるドイツのプログレッシヴ・メタル集団の9thアルバム。タイトルの”Holocene = 完新世”。最後の氷河期が終わった1万1700年前から現在までを示します。

 大胆にもデジタルなトーンが主導権を握ることが明らかに増え、深海を優雅にスライドしていく#1「Preborial」~#3「Sea of​​ Reeds」までのエレクトロ・サイドの追及は新鮮味をもたらしている。

 それでもトランペットやホーンなどの金管楽器が各所で盛り込まれ、#6「Unconformities」にはスウェーデン人歌手のカリン・パークが艶めかしい声を吹き込む。もちろん転換期を示すようなヘヴィネスによる地殻変動も健在。

 加えて歌詞のテーマは”この時代の奇妙さ、陰謀論を取り扱っている”とOBNUBILのインタビューで回答。#2「Boreal」にはパンデミック中の陰謀論、MVが制作された#7「Parabiosis」では寿命を延ばす再生医療や整形手術など、永遠の若さを求める現代に対しての疑問を投げかける。

 変わらずにCollectiveとうたう音楽的な連動性と分厚いハーモニーは魅力的です。エレクトロニックな旅路の没入体験と共に、バンドのプログレッシヴで冒険的な側面に引き続き頼もしさを覚えます。

オススメ曲:#7「Parabiosis

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SWARRRM『焦がせ』

 関西グラインドコア・バンドの7thアルバム。手を合わせ見つめる先はゆめをみた向こうか。カオス&グラインドの標榜、そこに歌心はあるんか? に真っ向から回答する歌謡。

 本作は歌路線の充実度を増して明るい曲調もありますが、キレイにはまとまらない混沌ぶりは変わらない。散弾銃のようなブラストビートによる曲の締まりとスピード。直感型の昂揚感を煽る一方で、叫ぶと歌うの共闘によって滋味深さをもたらしています。

 またここ数作はアニキ的な人情がどんどん厚くなっており、SWARRRMは大和男児的な香りと風格を感じさせるもの。衝突をけしかける武闘派としてのフィジカルな面、人情で包み込む精神的な深さを両立しています。

 ”カオス&グラインド”を基に心と体で汗をかく武骨なロックであり、”あんた”という二人称の多用もSWARRRMらしい人情がある。真っ向から生身でぶつかってくる中に盃を交わすような距離感の詰め方もあり、焦がされる鮮烈な衝撃が本作には存在する。

オススメ曲:#3「向こうへ

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IKARIE『Arde』

 2019年に結成されたスペインのドゥーム/ポストメタル系バンド5人組。ベーシスト兼作詞を担当するMaria V. Riañoのコンセプトを苦痛を伴うヘヴィネスと共に体現。また、IKARIEは”宇宙的実存主義”を掲げて活動。

 破壊された人間の人生における3つの段階(痛み、怒り、再生)を描く3部作をデビュー作から発表しており、本作は2ndアルバムで、”怒り”がテーマ。

 音楽的にはAmenraと初期Anathemaの美学を行き交うドゥーム~ポストメタル。野獣系グロウルによる威圧が苦しみを強制共有させ、反復する重音リフが目を潰すような闇を生み出しています

 前述したように”怒り”をテーマに、歴史の中で数人の女性を巻き込んだ悲劇的な出来事や物語を伝える本作。前作以上に痛みを伴って胸の内に響く内容です。全体を通してユダヤ人哲学者であるハンナ・アーレントの”悪の凡庸さ(意味についてはこちら参照)”が貫かれる。

 先行シングル#2「Santa Sangre」は同名のメキシコ映画にインスパイアされ、社会統制の手段としてのラテンアメリカの女性・嬰児殺害について抗議。日本からも#4「40dias」では女子高生コンクリート詰め殺人事件の被害者である古田順子氏、#6「Kanno Sugako」では大逆罪で死刑を執行された管野須賀子氏の2人が登場しています。

 ドラマティックな演出やメランコリックな旋律が増えてもDream Unendingのような色味は無く、悲しみの暗い河を泳ぎ続けるような感覚。IKARIEは音楽を通して痛みや怒りを共有し続けている。

オススメ曲:#4「40 d​í​as

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slowdive『Everything Is Alive』

 シューゲイザー四天王の中で最も不確かな存在でいる5人組。活動再開後2作目(通算5作目)。タイトル = すべては生きている。本作は2020年に亡くなったレイチェルの母親とサイモンの父親に捧げられた作品です。

 電子音を主体としており、おっとりとした穏やかさをまとう。その上でニール・ハルステッドのヴォーカルやアコギは牧歌的な叙情性をアシストするものの、レイチェルのささやくような声は現実をおぼろげに遠ざけていく。

 刹那に切り替わる大音量のカタルシスを追い求めず。柔らかなリバーヴやシンセサイザーを用いた重層の海で持続する心地よさを選んでいます。

 冷から温。悲観から楽観。抑制から解放。#1「shanty」から#8「the slab」にいたる道のりは、それらを辿るかのよう。ミステリアスな神々しさとキャッチーな親密さがブレンドされた熟練の妙味。

 本作はシューゲイザーというブランドに依存せず、また過去の自分たちに固執することなく新たな魅力を加えている。白昼夢の遊泳は未だ底知れず。

オススメ曲:#8「the slab

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THE NOVEMBERS『The Novembers』

 日本のオルタナティヴ・ロック4人組の9thアルバム。わたしにとって同じ1985年生まれで最も尊敬するバンドです。ロックバンドとしての美しさと豊かさを拠り所に、あらゆる全てを包み込み受け入れてくれるような本作。

 直近2作の電子音アプローチに、11年目の集大成となった6thアルバム『Hallelujah』が光の輪でつながった作品に感じられます。それこそ時代が変わっていく中でも”ロックバンド、カッコいいじゃん”と言われるような。そんな広く深く長く愛される魅力を持つ10曲がそろっています。

 #2「Seaside」のようなしなやかな煌めきから#3「誰も知らない」のダークな攻撃性、#5「November」や#8「Cashmere」といったエキゾチックなムード、#4「かたちあるもの、ぼくらをたばねて」のサックスがもたらす情熱と寄り添う歌。

 ラストの#10「抱き合うように」は音楽の教科書に載っていてもおかしくない普遍性をもつ曲で、”鮮やかに飛んだ”に小林さんのいつも以上の優しさと愛が宿る。

 ”今のThe Novembersというバンドそのものを感じて欲しかったから“と1st EP以来16年ぶりとなるセルフタイトルである意義。ノベンバがノベンバであるのはもちろんのこと、バンドの歴史と進化の両方が本作にて示されています。

 今年はフェスですが、OOPARTS 2023で彼等のステージを久しぶりにみれて熱くなりました。

オススメ曲:#4「かたちあるもの、ぼくらをたばねて」

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Liturgy『93696』

 ニューヨーク州ブルックリン出身のHunter Ravenna Hunt-Hendrixによるポストブラックメタル・プロジェクトの6thアルバム。久しぶりにThrill Jockeyからのリリースとなり、初めてスティーヴ・アルビニとタッグを組みます。

 巨編ダブルアルバムとなる本作は、彼女が独自に天国と解釈する”Haelegen”という考えが基。全4章で構成され、順に主権(#1~#4)、階層(#5~#8)、解放(#9~#11)、個別化(#12~#15)。

 そんな『93696』はブラックメタルへの忠誠と謀反を繰り返しながら、音楽と哲学と芸術は三位一体であることを示してきたLiturgyの総決算といえる仕上がりです。

 バーストビートと共にダイナミックに流動し、ストリングスやピアノにハープなど種々の楽器が躍動。オペラやクラシックといった様々なジャンルとの理不尽な調和も巧みで、宗教然とした聖性をまとっている。14分を超える#11「93696」や#14「Antigone Ⅱ」はもはや類を見ない極致。

 2023年11月の来日公演では哲学のテーマパーク感は薄く、終始フィジカル勝負してたのが印象的でした。

オススメ曲:#2「Djennaration

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sukekiyo『EROSIO』

 DIR EN GREYの京氏が率いるバンドの4thアルバム。本作では『INFINITUM』以降で強まった昭和歌謡の要素をフィーチャー。一方で2ndアルバム『ADORATIO』の変態性が大いに復権。踏み入れたが最後となる愛憎の泥沼を用意し続けます。

 歌やメロディのキャッチーさを罠にして、聴き手の感性を捕食してしまう恐ろしさ。これを先行MVに選ぶか普通?な9分の大曲#2「訪問者X」のバグを起こしたプログレッシヴ歌謡っぷりに五感は混乱の極みへ。

 ”ギリギリdarling”、”イーアルサンスー新春ショー”と歌うリード曲#6「MOAN」にしたってキラキラ耽美な歌謡曲に仕立てていても、詩に目を向けると待つことの不条理さに心をエグられる。音楽としての定型はないにせよ、愛という要素で人生のアイデンティティを構築する女性という視点は一貫。

 全体を通して構築された美観に基づいているが、プログレッシヴ・ロックと昭和歌謡の偽装結婚のようであり、内実は奇妙でドロドロ。これこそがsukekiyoの特異性です。

 それでもエレガントな美しさでストレートに射抜く#1「Margaret」が一番惹かれる曲。

オススメ曲:#1「Margaret」

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Sleep Token『Take Me Back To Eden』

 2016年から活動を開始したUKのオルタナティヴ・メタル集団の3rdアルバム。プレス・リリースによると”3部作の最終章となり、本作をもってデビュー作から始まった壮大なSleep Tokenサーガが完成する”とのこと。

 例えるならSilpKnoTもCult of LunaもDeftonesもJames Blakeもここに憑依します。オープニングを飾る#1「Chokehold」から強靭なグルーヴと歌、ピアノが調和。特に前半の楽曲はオルタナ~メタル的な強度が高まっており、前作からの揺り戻しを感じさせます。

 #2「The Summoning」は新世代のヘヴィ・アンセムとして君臨。さらにはデスメタルと色気のある歌が噛み合う#5「Vore」、R&BとCult of Lunaが魔合体したような強烈さがある#6「Ascensionism」とこれまでになかった派手さと破壊力を持っています。

 後半はしやなやかな歌ものが台頭し、現代的メタルとポップスの親睦会を果たしながら、ラジオヒットにつながるキャッチーさと心地よい低音の効いたリズムにはまる。

 この覆面集団が今やメインストリームを牛耳っている事実があり、これからさらに強大になっていくことを思うと末恐ろしい。本作はそれを裏付ける説得力がある。

オススメ曲:#2「The Summoning

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プレイリスト

ライブ参加記録2023

  • 02/12 ROTH BART BARON @ 今池ボトムライン
  • 03/11 June of 44 / quiqui / THE ACT WE ACT @ 今池HUCK FINN
  • 04/16 OOPARTS 2023(THE NOVEMBERS、Algernon Cadwalladerなど) @ 岐阜市文化センター
  • 04/22 envy @ 池下CLUB UPSET
  • 04/26 陰陽座 @ ZEPP NAGOYA
  • 05/04 kokeshi / Gillian Carter / SeeKなど @ 心斎橋火影
  • 05/05 DIR EN GREY @ 京都KBSホール
  • 05/09 Hexis @ 新栄RED DRAGON
  • 05/13 DIR EN GREY @ ZEPP NAGOYA
  • 05/26 森、道、市場 DAY1(toe、のん、アジカンなど) @ ラグーナ蒲郡
  • 07/07 So Hideous / Seekなど @ 今池HUCK FINN
  • 07/23 明日の叙景 @ 南堀江SOCORE FACTORY
  • 09/10 Botch / PALM @ 心斎橋PANGEA
  • 10/05 Earthless @ 今池HUCK FINN
  • 11/01 NEX_FEST Extra AICHI(Bring Me The Horizon、BABYMETALなど) @ 日本ガイシホール
  • 11/13 Liturgy / Vampillia @ 心斎橋COMPASS
  • 11/25 COALTAR OF THE DEEPERS / Boris / 明日の叙景 @ 新栄Shangri-La
  • 12/05 deathcrash @ 鶴舞K.D.Japon
  • 12/17 LUNA SEA @ 日本ガイシホール

 計19公演。高校生の時にメタリカを見に行った日本ガイシホール(旧レインボーホール)に20年ぶりに行ったり、関西に4度行ったり、関東圏と夏フェス行かずじまいだったり。

 アクティヴとはいいがたいですが、前述したように今年は衝撃的なミュージシャンの死去が相次いだのもあって、これを逃したら2度と見られないかもしれない可能性が高いのは、なるべく見るようにしました。

 BotchやLiturgy、June of 44の奇跡の来日から自分にとっての常連まで。今年もちゃんと現場で体感できてよかったライブばかりです。

あとがき(長文です)

 当ブログは2024年1月5日を持ちまして、開設してちょうど20年となります。

 20年前の高3の冬休み。まだSNSもない時代。とあるサイトに影響されて、数少ない高校の友達にinfoseekでつくるのが良いと教えてもらい、自分でhtmlを勉強してテキストサイトを作ったのが始まり。

 ホームページビルダーは使わずにタグを覚えてメモ帳で制作していたのがなつかしい。そして今年はwordpressブログに移行してちょうど10年目でもあります。テキストサイト10年。ブログ10年。それでも20年は長い。18歳が38歳ですからね。肉体も精神も劣化していくのを痛感している最中。

 20年とはいいましたが、実際には2017年7月~2021年6月まで4年ぐらい開店休業(サーバー代は払っていたので)。そこからひっそりと復活。ですから実質の運営期間は通算16年です。一度やめた側の人間ではあります。

 とはいえ16年。よく続いています。わたしの人生においてこれだけ続いたことは他にありません。悲しいことか喜ばしいことかはさておいて、自分を褒めてあげてもよいんじゃないかなと少しだけ思います。

 そもそもこのブログをやっていなければ、ポストロックとかポストメタルとかおそらく聴いてないだろうし、辿り着いていない。音楽フェスだって行ってたかどうか。2007年1月末にISIS(tne Band)のライブでその後に聴く音楽が変わってしまうほどの体験に出会うこともなかった。ライナーノーツを書くこともなかった。ありがたいことです。

 ただ、もはや当ブログを通した目標などほぼないかな。毎日に組み込んだ習慣で淡々とやる。それだけ。続けてきてしまったことで帯びた謎の使命感に負け、作業的になろうと今はやってる。続くことの方に価値があるだろうと思って。

 そして森博嗣先生チックに言えば当ブログが”マイナ”であること、未だに存在しているしなんか続いてんなこのブログ、そう思われるぐらいでちょうど良い。ってのが自分が考えるスタンス/温度感だったりします。動画コンテンツをつくるのは無理で意欲湧かないし、引き続きテキストベースでwebを汚していこうかなと。

 続けるにあたっては、同年代の方々がブログを長年続けていたことが大いに刺激になりました。ありがとうございます。今はやってないのですが(またやりたいと考えてはいます)、その当時にインタビューを受けていただいた方々にも大変感謝しています。

 2024年も当ブログは続きます。みなさまの暇な時にこっそり覗いてもらえればありがたいです。

合わせて読んでいただけるとうれしい当ブログ記事

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お読みいただきありがとうございました!
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