【作品紹介】Megumi Acorda『Silver Fairy』

 日本出身のフィリピン人、Megumi Acorda(メグミ・アコーダ)を中心として最初はソロ、後に5人組として活動。しっとりとした歌を中心に置いたドリームポップで聴き手を魅了します。2018年にEP『Unexpectedly』、2023年に1stアルバム『Silver Fairy』をリリース。2024年9月に初来日。

 本記事は1stアルバム『Silver Fairy』について書いています。

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作品紹介

Silver Fairy(2023)

 1stアルバム。全8曲約32分収録。メランコリック、足りてますか? その処方箋を求めているあなたに聴かせたいトラック集が本作です。”音楽的には暖かくてふわふわしています。長い一日の後に愛する人からはぐされるような感じ“。メグミ・アコーダは自身の音楽について2018年のインタビューでこう説明しています。

 ドリームポップという言葉がしっくりくるスタイルで、ささやかな旋律と歌が中心。それらの繊細なハーモニーが聴き手の内側にすっと沁み込んできます。

 ピアノとキーボードで紡がれる導入的なインスト#1「Dream Sequence」から高まるロマンティックなムード。続く#2「Tomorrow」はその雰囲気を一層強め、スロウな進行の中で奏でられるメロディと歌が優しく包み込むように響きます。

 シューゲイザーの轟音や瑞々しく蒼い疾走感から距離を置いており、一歩引いた奥ゆかしさがしっとりとした質感をプラス。涼やかでいて陰影がある点にも惹かれます。

 また懐かしさを感じさせる歌謡性が楽曲の芯にあるのも特徴。#3「If They Come」や#5「Feverfew」辺りはそれが顕著です。トリプルギターを活かした分厚い音の層を形成する中でもアジア圏の歌ものとして佇まいには、日本人としても遠からずシンパシーを覚えるものでしょう。

 #4「Borrowed / Burrowed」にはThe Cureの2ndアルバム『Seventeen Seconds』の幻影が忍び寄り、先人へのリスペクトも忘れない。#6「Nothing / Forgotten」ではインディーロックの軽快さと麗らかな陽を浴びており、しっとりとした楽曲の多い本作でスパイスとなっています。

 寄り添うような優しさと包容力のある中にも哀愁を感じさせる点も惹かれる。2024年9月に行われた初来日ツアー@名古屋公演に参加しましたが、詩的な情感が引き立つような歌声と演奏に1時間、酔いしれる結果となりました。

メインアーティスト:Megumi Acorda
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プレイリスト

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