今年になって突如、解散の運びとなったEmeralds。そのギタリストのMark McGuireの来日ツアーへと足を運んできた。来日自体はちょうど1年ぶり。昨年に代官山UNITまで行って体感したギター・ミュージックは、世界中のファンを魅了しているだけあって、素晴らしいものでした。
Emeraldsは解散してしまったけども、そんなに悲観してないのは、メンバーそれぞれが個性的で、興味深い音を届けてくれるからである。とはいえ、そんな才人たちの結晶を聴くことができなくなったのは、やっぱり残念だなあ。
ライヴは、開演時間ちょうどにスタート。最初にカップリングで来日している(でいいのか?)、Ken Seeno (ex. Ponytail)。シンセがベースとプロフィールに書いてあったけど、マークとの来日ということもあって普通にギター・ミュージックのようだった。ラップトップと美麗ギターフレーズが、軽やかに、そして艶やかに共鳴。時にダンサンブルな変化球も交えながらも、粒立ちのよいギターの音が耳の奥に響きわたる。
ニューエイジ風といえばそうだけど、最近のチルウェイヴとかも外していない。恥ずかしそうに「こんばんは、ナゴヤ」っていうのもかわいらしいものでしたが(笑)、微妙なサイズ の後ろのスクリーンも利用しながら繰り広げる自らの音世界は、心地よい陶酔感を覚えるものであり、約40分は十分満足できるものでした。
次が、Maher Shalal Hash Bazって言う日本のバンドだったけど、全く理解できなかったので省略。
Mark McGuire
お目当てのMark McGuireは21時から。彩色豊かなギターを様々にループさせ、シンセやヴォイスなどを交えながらの桃源郷はさすがでございました。彼の作品は7,8枚持ってるのに、今回のライヴでやった曲は1曲もわからないような状況だったし、相変わらずエクスペリメンタルという言葉が似合う風情ではあるが、やはり特有の心地よさがあります。
アンビエント調の序盤から、徐々にリズムが生まれ、躍動感が増し、様々な音色が重なっていく。丁寧な手つきの裏にある余裕や風格。その中で彼のギターが冴えわたり、時に狂ったようにギターを弾き倒す場面は痺れるほどにかっこいいもの。後ろのスクリーンでは山、海といった自然から、ジェットコースターやボウリングしている映像、さらになぜかブッシュやクリントンが映し出され、今回はよりメッセージ性を持った内容となっていました。
家に帰って終演後に買ったツアー先行販売の新作『Along The Way』を聴いてみると、ここから結構演奏してたんだなあと気づきます。「In Search of the Miraculous」や「To The Macrobes」、んでラストが「For The Friendship」。最後の曲を演奏していた時に、曲を延ばしすぎて先に後ろのスクリーンで流してる映像が終わってしまったのは笑いましたけどね。それにしても、ここまで歌を前に出した作風で来るとは驚き。
これまでは、声を楽器的に使っている感じであったけど、今回のライヴでは彼流のインディー・ロックっぽい趣があって、新たなフェーズへと向かっている事がわかる。新作、要注目ですよ。というわけでアンコールなしの65分は、彼の新境地を見るものだった。
物販購入物。前述した先行販売の新作『Along The Way』とライヴ会場限定CD-Rだという『Tidings Ⅲ』。他には、現在CDで手に入るものと『Tidings / Amethyst~』のLPあり。タイトルが似ているので物販で聴いてみたんだけど、「Tidings~」とこのライヴ会場限定CD-Rは別物か?と伺ったらわからないと言われてしまった(汗)。帰宅後に確認したけど、今回のツアーで売られているものみたい。約18分の「Dream Spa」、今年に作ったと思われる約40分の「JANUARY 5TH 2013」、約22分の「Own True Trust」の3曲入り。ボリューム満点なので、売っているのみかけたら買うのをオススメします。