あさき ‐‐Review‐‐

BEMANIシリーズのコンポーザーとして名を馳せるミュージシャン。「京都メタル」と提唱するプログレッシヴ・メタル×90’sヴィジュアル系の音楽性で独創的な世界を創造。1stアルバム『神曲』、2ndアルバム『天庭』共にコアなファンからの熱烈な支持を受けている。

レビュー作品

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天庭(初回生産限定盤)(DVD付)

天庭(2013)

   『BEMANIシリーズ』で一番人気を誇るといわれている、あさき氏の7年半ぶりとなる2ndアルバム。といっても自分は、BEMANIとは無縁なんで存じ上げませんが、各方面で高い評価を獲得しているようなので聴いてみました。

 ”ヴィジュアルではなく京都メタル”や”プログレメタルに近い”と自身で述べているようだが、この密度・濃度には参った。それは、初期のLa’cryma ChristiやJanne Da Arc、そこに近年のDIR EN GREYや復活以降のDEAD ENDが示すような重く妖艶な世界観が交わったような強烈なインパクトがあったからだ。確かにヴィジュアル系でプログレ、メタルという音の解釈に間違いはない。たが、それだけで終わってない独創性を発揮している。10分を超える表題曲#2「天庭」からして、目まぐるしくダイナミックな展開に圧倒されることだろう。牙を剥くギターにもの悲しくも攻撃的なストリングスが絡み合い、ポップさを上手くミックスさせながら闇を駆け抜けていく。彼の音楽的要素が凝縮したこの曲は、『このアルバムは,「天庭」がすべてです。』と本人が語るのも頷ける。

 MORRIE御大に強く影響を受けてそうな歌い方や詩世界、これらも個人的に惹かれる要因である(ギターは、ラクリマのHIRO氏っぽい印象を受けた)。90年代のヴィジュアル系という印象は強いが、ロックからシンフォニック・メタルや舞台音楽、クラシックといったものまでが様々に顔を出し、おぞましい音世界に異型の煌きを与えているのは大きい。また、陰陽座っぽく徹底的に”和”を重んじている点も彼のセンスの成せる技。#5「つばめ」みたいなエピックなシンフォ系ヴィジュアル系メタルから、暗黒舞踏会を繰り広げるかのような9分半の#8「まほらぼ教」のような楽曲、それに遊び心を入れながらも緊張感を損なわない短尺のSEまでが飛び出してくるが、「愛とひと」をコンセプトに据えた天庭の世界観に全くブレはない。作り手の信念を隅々にまで感じさせる15曲75分の超大作、聴き応えは十分すぎる。


神曲

神曲(2005)

 コナミ系ゲームミュージックの作曲家である、あさき氏の初のフルアルバム。参加ミュージシャンには同業者が多くクレジットされている中で、淳士氏(SIAM SHADE / BULL ZEICHEN 88など)の参加が嬉しいところ。また、本作は2012年にリマスター盤として再発済み。

  個人的には2nd『天庭』→1st『神曲』と作品を遡る形で聴いている。しかし、1stアルバムにしてこの異常なまでの完成度の高さに参ります。#1 「蛹」の序盤から驚きで、ヘヴィなリフの切れ込みからタッピングで攻める。ダークなヴィジュアル系と精微なプログレッシヴ・メタルの混声が織りなす世界。そこにしのばされる和情緒、耽美なメロディ、これらがまた何ともいえない味わいを残す。導入されているストリングス、キーボード、アコギにしても妖しさと湿っぽい叙情性を加味している。全体的には、MALICE MIZERや陰陽座、SIAM SHADE、Dream Theater辺りが組み合わさって、本人の提唱する”京都メタル”に昇華。ここまで幻想と怪奇、奥ゆかしい和を巧みに表現できるのが恐ろしい。それでも、あさきのヴォーカルはヴィジュアル系のクセのある歌い方なので、好き嫌いは別れるところだと思うが(苦笑)。

 各曲にフォーカスすると、ギター/ドラム/ヴァイオリンが攻撃に特化した状態で複雑に転がり暴れる#4「この子の七つのお祝いに」、MALICE MIZERが和をコンセプトにしたバラードを作ったという印象の#5「子後の音」、90年代ヴィジュアル系の薫り漂わす幻想的疾走チューン#8「雫」が強烈。さらには表題曲である#9「神曲」の狂いプログレう舞踏会に、ぐうの音も出ない。底知れぬ才能という言葉は、彼みたいな人物にこそ似合う。

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