Baroness ‐‐Review‐‐

アンダーグラウンドシーンで活躍するアメリカ・ジョージア州サヴァンナ出身のロックバンド。現在までに3枚のアルバムをリリースし、メタル方面にのみならずPitchfork等の紙面でもその名をにぎわせている。2010年にISISのツアーのオープニング・アクトとして初来日。また、海外ではメタリカ、デフトーンズ等のオープニングにも抜擢されており、現在最も活躍が期待されているバンドのひとつだ。

レビュー作品

> Yellow & Green > The Blue Record > Red Album


Yellow & Green

Yellow & Green(2012)

   赤→青ときての本作は、黄色と緑を詰め込んだ2枚組となる3rdアルバムである。DISC1、2ともに9曲ずつ収録していてそれぞれ40分と35分の収録。アートワークは、もちろんヴォーカルのジョン・ペイズリーによるものだ。

 まず浮かんだ感想を言うならば、男泣きのロマンとメロディが詰まったヘヴィロック、それがここに極まったかのような内容だ。60~70年代ロックやプログレ、アコースティックな要素を膨らませながら、叙情的な側面を強化し、涙もろい作品に仕上げている。獣性剥き出しで立ち向かっていくような獰猛さは鳴りを潜めたが、サイケデリック~ストーナーの風情は残し、よりクラシックなロックの味が染み込んだ。特にDISC2(Green)を聴いて頂ければお分かりいただけるだろう。歌が、メロディが、アメリカの広大な大地を思わせるような壮大な叙情詩を紡ぐ。これには本当に聴いていてびっくりした。これまでもメロディアスな感性は光ってはいたわけだが、ここまで開花するものなのかと。インスト・ナンバーにしても儚さと哀感が染み渡ってくる。

 もちろん、DISC1(Yellow)にしても柔らかなサイケ~ストーナーの感触を生かしながら、キャッチーさを上手く引き立てている。なかでも#3「March to the Sea」は、これまでのバロネスとこれからのバロネスの感覚が折衷したかのような楽曲で、さらに幅広い層から支持を受けるだけに値すると思う。また、彼等の多彩なフィーリングが凝縮された#9「Eula」は、涙なしには聴けない名曲だ。

 ゆえに1st~2ndの頃を考えると物足りなく思う人も少なからずいるだろう。Mastodonの次はこいつらだ!といわれ、キャッチーな進化を遂げた彼等と同様の方向に進んでいるとも思う。だが、漢の歌心と渋いメロディに裏打ちされたBaronessの新機軸には驚く程の説得力がある。ここまでじっくりと向き合える作品もなかなかない、ぜひ味わってほしい一作。


Blue Record

The Blue Record(2009)

   ヘヴィロックに多様なエッセンスをぶち込んだ傑作の1stアルバムから、約2年ぶりとなる2ndアルバム。前作に続いてVo.&G担当のジョン・ベイズリーによる強烈なアートワークが光る本作も、やはり期待通りの優れた内容だ。

 獣性の中に存在する豊穣な叡智と圧倒的な本数のライブで鍛えたテクニカルな演奏力による深淵な音楽性をベースにしながらも、全面に出ているのは荒くれな突進力をみせる激烈ヘヴィサウンド。そこにメタルやハードコアにブルース、サイケといった多彩なフィーリングを加味させ、プログレッシヴな構築性のもとに複雑かつダイナミックに進行させていく様は相変わらずかっこいいの一言である。複雑なタペストリーを織り込みながら、地雷を爆発させていく#2、#3辺りはバンドの奥深さを推し量るには十分。その才覚は比較対象に挙げられるMastodonに匹敵する。ダーティな絶叫に勇壮なコーラスワークが掻き立てる昂揚感、紡がれるメロディがさらす渋い哀愁、豪快な畳掛けと牧歌的なアプローチの対比による収縮と弛緩。それらを含めた様々なアイデアを懐から引き出しながら、空間を塗りわけて、知的かつ衝動的なサウンドメイキングを徹底する辺りはさすが(しかも男臭さを貫きながら)。

 加えて、前作以上に70’sロックやブルージーな色彩が顕著にあわられていて、ガツンと響くヘヴィロックに随分とレトロなエッセンスが調味されている。メロディは以前よりも陽性を帯びてTorcheばりの明るさが滲みでているし、ツインギターのハモリやギターソロの増量、それにフォーキーなアコギの音色の強調による、泣きや昂ぶりは抑えられそうに無い。とりわけそれが顕著なラスト#10~#12における涙と汗にまみれる展開での締めくくりは、お見事。

 馬力のある豪快なサウンド、熱を帯びた男臭い叙情味、その二大看板が軸ではあるのだが、個人的にはアートメタルと呼べそうな領域まで押し上げた芸術性の高さにも惹かれた作品でもある。亜種なロックンロールとして是非とも抑えておくべき傑作でしょう。


レッド・アルバム

Red Album(2007)

   アンダーグラウンドシーンで活躍し、年間200本を越えるというとてつもない量のライブをこなす本格派バンドBaronessのデビュー作。激しくも知性を兼ね備えた暴虐の叡智による音の狂騒乱舞、雄雄しい男達の熱演が大地を飲み込む凄まじい熱波がいかにも強烈。聴いた感じで同系統を言うならば、すぐに頭をよぎるのはMASTODON。彼等の系譜にあることは疑いようがなく、音の端々からかなり影響を感じさせる。プログレ・ハードコアともいうべき難解さを晒けだし、怒涛の乱撃をブチかますことで脳髄がフラフラとするまで痛めつけ・・・。と思っていると、Isisのようなポストメタル的なアプローチで静と動をゆったりと蠢きながら意識を覚醒させていくという妙技も見せてくれている。だが、それだけではない。おぼろげなアコースティックパートや砂嵐を巻き起こすストーナーまでを幅広く料理し、自在の緩急も駆使して独特のスケール感の大きい世界観を眼前に造り出している。不思議なまだら模様を描いていくように妖しげな雰囲気を醸しだす楽曲構成に、創造的なリフ・ワークで鼓膜を刺激して、ゆったりとゆったりと神経へのシンクロを図っていく。それを支える確かなテクニックもまた日々の鍛錬によるものだろう。剥き出しとなった獣のような本能とそれに不釣合いな神秘が整然と同居し佇んでいる見事な作品である。

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