Kingdom ‐‐Review‐‐

ベルギーの2つの激情ハードコア・バンド、AmenraとThe Black Heart Rebellionによるサイド・プロジェクト。


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Kindgom(2010)

 ベルギーの2つの激情ハードコア・バンド、AmenraとThe Black Heart Rebellionによるサイド・プロジェクト。本作は、2つのEP『Kingdom』と『Hemeltraan』を収録した日本限定仕様盤としてお馴染みのTokyo Jupiter Recordsさんよりリリースされた。

 ミックス&マスタリングを手掛けているのがNeurosisやSwans, Sleep等とも仕事したBilly Andersonであることから作品の方向性が伺えると思うが、人の闇・・・ひいては万物の闇に接近していくかのような音楽である。母体であるバンドから受け継がれる激情のエッセンスも所々で顔見せするが、とにかく低い重心とスピリチュアルな精神性を持った独自の世界観を打ち立てていく。ドゥーム/スラッジばりの激重厚なリフの轟きと屈強なリズムがひたすら低地を這うようにゆっくりと進むのが主たる特徴。そこに読経っぽいノーマル声と悲痛な絶叫が乗る。音像は間違いなくNeurosisの影響下にあるものだと思うが、Cult Of Lunaのような重々しくも思慮深いポストメタルに近いとも個人的には感じた。さらに、所々でアンビエント/ドローンを取り入れたり、Omが鳴らす悟りの宗教音楽っぽい風情も晒したりも。決して黒を塗り重ねるだけでなく、叙情性を絡めた美意識の行き通った創りが成されている印象。故に作品の深度は底知れず、混沌が渦巻いている。ヘヴィネスの黒い海に葬られる#5がいかにも本作では強烈だが、穏やかな風景から絶望へと堕ちていく#7も悶える1曲。煙たさを撒き散らすかのような不穏でアブストラクトなSEが4曲ほど入っていて、退廃的なムードを煽っているのも特徴といえるだろう(ただ、これは人によっては中だるみと感じてしまうかもしれない)。

 スラッジ/ポストメタルに沿った巨大なうねり、それにあらゆる負の感情を拾い上げながら崇高といえるレベルにまで至らしめた音像は、脅威的。サイドプロジェクトに留まらない重みと深みを追求した意欲作である。

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