The Unwinding Hours ‐‐Review‐‐

グラスゴーのポストロック・バンド、エアーエオグラムのメンバー、Craig B とIain Cookによる新プロジェクト。近年のポストロック勢にシガーロスの透明感、レディオヘッドの感性を培養したそのサウンドは、あまりにも美しき世界を造形している。


The Unwinding Hours

The Unwinding Hours(2010)

   モグワイと共にグラスゴーのポストロック・シーンを牽引していたというエオーエアグラムだが、自分は全く聴いたことが無いのでご勘弁を。けれども、この新プロジェクトの初作は、透き通るような白さをベテランの職人が編みあげていくかのように端正な美しさを感じさせてくれる。

 柔らかな歌声、切ないアルペジオとピアノ、ゆったりと打たれるドラム、綺麗な稜線を描くストリングスで奏でる無垢な風景が非常に印象に残るのである。語りかけるように紡がれる一音一音に温もりがあり、情感豊かに発せられる言葉のひとつひとつが胸を打つ。それがまた穏やかな情熱を湛え、誠実に響くのが彼等の特徴だ。滑らかに多種の音が重なりあって造形されるシネマティックなサウンドスケープは、壮麗なる美しさを伴いながら聴き手の心を掴むのである。冒頭の#1は作品に引き込む力は十二分にあるし、締めくくりの#10はシガー・ロスにも迫るドラマ性が魅力的。3~5分台とコンパクトにまとめあげながらも、静かな立ち上がりから徐々に蒼白い炎が燃え上がっていくかのようなドラマティックな展開をばっちりとキメ、柔和な静と動のコントラストを生かしてしっかりと聴かせてくれる作品に仕上がっている。

 端々から感じ取れる瑞々しさが温かな昂揚を投げかける辺りもよい。しかしながら、これぞポストロックと言わんばかりの曲が揃っていることは否定できない。ただ、ここまでひたすらに涙腺を刺激する表現力も貴重で、深い余韻にいつまでも浸っていられるような後味もまた、心地よい癒しとなるはず。

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