夢見るデスコアからの完全脱却 Bring Me The Horizon『That’s The Spirit』

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 夢見るデスコアじゃいられない。約2年半振りとなる2015年発表の5thフルアルバム。脱デスコアが感じ取れた前作『Sempiternal』の進形式を推し進め、ここまでオルタナティブ・ロックに振り切れた作品を発表するとは驚きです。キーボードのJordan Fishが加入以降、バンドは大きく内部変革してきましたが、セルフ・プロデュースとなった本作でさらに拍車がかかっています。

 かつてのファンからすると、日和りやがって!だとかBABYMETAL大大大好き病にかかってしまった!だとかのやっかみがあるかもしれません。獰猛な肉食獣を思わせる激しさをほぼ封印し、歌とメロディに焦点を当ててのメインストリーム展開。それはクリーンヴォイスの多用、近年のベース・ミュージックを結果にコミットするなどバンドのイメージを大きく覆すものでしょう。

 00年代オルタナロックを髣髴とさせつつも、よりモダンな構築。LINKIN PARKやMuseといったバンドと比肩するとは言いすぎかもしれないが、その境地にまで登りつけそうなポテンシャルやスケール感をみせつけている。完全にラップ抜きの初期リンキンっぽいスタジアム・ロックを轟かせる#3「Throne」、全てを神聖な光で包み込むようなドラマ性に満ちた#9「Drown」といったリード曲のエネルギーと説得力は計り知れません。

 エレクトロニクスとバンド・サウンドとの混合は本作の売りのひとつ。この結びつきが自然かつ強固で、楽曲の劇性を高める結果になっています。なかでもレディオヘッドが少し透けて見えるクールでセクシーな魅力が詰まった#5「Follow You」は新境地といえそう。またオリバーのハスキーな歌声は、切迫感や孤独感を突きつけるようで、元々バンドが持つダークな感性は本作にも根付かせています。

 全体通して言えるのが、サビでの歌メロが立っていること。聴き手を確実に巻き込んで一体化できる表現力とカリスマ性、#4「True Friends」を聴いていると余計にそう感じますね。ダンスミュージックの要素を取り入れながら壮大に締めくくる#11「Oh No」もインパクト強い。

 賛否両論巻き起こすアルバムであるのは間違いないし、かつての良さをぶん投げてるのも否定しません。でも歌とメロディが優れていれば、しっかりと受け止められるし、受け入れられることを本作は証明しています。変化を恐れる必要はない。例え変化をしようと納得させるだけの曲/作品が残せれば済むのだと。勇敢な改革が行われたドラマティックなロック・アルバム、僕は凄く好きです。あのデスコアボーイズがこういった形で新しく大輪の花を咲かせるのは感慨深い。

「Drown」は2015年の個人的ベストソングNo.1です。

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