アンデシュ・ハンセン氏著、久山葉子さん訳『スマホ脳』。所有してる人はほぼスマホ脳なんじゃないか。スクリーンタイムに圧迫される時間、行動。奪われる集中力。疲弊する精神。神経の何かしらが失われていってるような。スマホはある意味で怪物であり、ドラッグのようなものです。特に下記の事例が詳しく記載されている
- わたしたちは1日平均2600回スマホに触り、10分に1回手に取っている
- 現代人のスマホのスクリーンタイムは1日平均4時間に達する
- スマホのアプリは、最新の脳科学研究に基づき、脳に快楽物質を放出する〈報酬系〉の仕組みを利用して開発されている
- 10代の若者の2割は、スマホに1日7時間を費やしている
- 1日2時間を超えるスクリーンタイムはうつのリスクを高める
- スマホを傍らに置くだけで学習効果、記憶力、集中力は低下する
- 世界のIT企業のCEOやベンチャー投資家たちの多くは、わが子のデジタル・デバイスへのアクセスを認めていないか極めて厳しく制限している
- フェイスブックの「いいね! 」の開発者は、「SNSの依存性の高さはヘロインに匹敵する」と発言している
著者の指摘はもっともで、非常に勉強になる一冊。極論を言えば「スマホを手放そう!」です。ですが、スマホがライフラインと化した現代社会、最適な距離の取り方・向き合い方を提唱しています。以下はその例。
- とにかく近くに置かない
- 1日のスクリーンタイムを決める
- 適度な運動と睡眠
近い内容でいうと、カル・ニューポート氏『デジタル・ミニマリスト』ではスマホ自体の機能を下げ、ガラケー並にしてしまう。また、ジェイク・ナップ&ジョン・ゼラツキー共著による『時間術大全』ではSNS等の時間を奪うアプリ関係を無限の泉と称し、こちらもまた気が散らないスマホの作り方をレクチャーしています。総じて、“時間”という人生において最も貴重なものが奪われていることに対してもっと敏感になることが重要だと理解する。
そして、先日に映画館で観た『パリのどこかで、あなたと』と同じでSNSは使うほど孤独になるという指摘も(p137)。孤独はファストフードやコンビニのように簡単に手に入ることは無いのです。現代人は必読というのも頷ける一冊。
昨年のフジテレビ系列のバラエティ番組『ダウンタウンなう』にて、俳優の森山未來さんがスマホ/携帯電話を持たずに15年以上生活していると語っていた。理由は「19~20歳くらいの時に、暇な時間を携帯ゲームして過ごしていた」とのことで、その時間を無駄だと感じてスパッと持つのをやめると決断したという。現代社会において、スマホに頼る部分が大部分を占める中、そこに頼らずに自分軸で生きるというのを体現しているは凄いと素直に思います。
著者の作品では『一流の頭脳』もオススメです。脳のパフォーマンスをあげるためにはどうすればいいのかが書かれています。端的にいうと、運動という習慣を一日の中で絶対に取り入れろ!という内容です。