音楽ブログを10数年書いていても”上手く書けた”と”全然書けない”の間でフラフラする。
2004年。高校生のころからブログ(当時はサイト)をやっていますが、伝えるためにはどうしたらいいのか?は頭を悩ませます。
何十冊も文章術の本を読み、数百冊の小説を読み、ディスクガイド本もいくつか読みました。書き始めたころよりはマシですが、今でも書くことの難しさは変わりません。
それでも伝えたい・届けたい情報がある。その想いを胸にブログを続けております。
当ブログを読んで自分も書いてみたい!と思ってくれた方はいたかはわかりません。ですが、本記事はわたしが読んできた文章術の本からオススメを紹介するものです。
だれもが発信できる世につれて気軽に書いたり、文章がワンランクアップしたり、書くための心構えだったり。参考になる本を厳選してみました。
文章術を学ぶことであなたの日常生活に大きなプラスがあれば、わたしはうれしいです。
文章力アップの本
20歳の自分に受けさせたい文章講義
「話せるのに書けない」人のための文章の授業
自分が10回ぐらい読み返している文章術の本で、一番のオススメです。初めて本書を読んだときは、ここまでやらなきゃいけないのかといかに自分が甘かったのかを痛感しました。
大ベストセラー『嫌われる勇気』の著者・古賀史健さんによる”学校では誰も教えてくれなかった書く技術の授業”。
うまく言葉にできない頭の中のぐるぐるをどう整理して相手に伝わる言葉にしていくか。文体とはリズム、文章の構成はカメラワークを意識、伝わる文章はオレンジジュースといったエッセンスが全276ページに凝縮。
「書こうとするな、翻訳せよ」を原則に、ホンモノの文章力を手に入れるための四つの講義(リズム、構成、読者、編集)が行われます。
- 美しい文章など目指すべきではない。美文より「正文」を目指す
- 読者はいつも「読まない」という最強のカードを手に、文章と対峙している
- 推敲とは、ハサミを使った”編集”。最大の禁句は「もったいない」
“接続詞を省け”という論調が文章術の本に多いですが、本著は逆に積極的に使っていこうと推奨。初めて読んだときはかなり新鮮でしたね。
ちなみに本書における”いい文章”は、「読者の心を動かし、その行動までも動かす文章」のことと定義。
文章を書こうとしたとき、ヴォーカリストやギタリストを目指したくなる気持ちは痛いほどよくわかる。でも、リズムの取れてない歌なんて誰も聴いてくれないのだ。文章を書くとき、われわれはヴォーカルからギター、ベースにドラムまで、全てのパートを担当しなければならない。もし本当に楽曲を聴いてほしいのなら、まずは土台となるリズムを固めよう。
『20歳の自分に受けさせたい文章講義』 p81より
新しい文章力の教室
良い文章とは完読される文章である
冒頭に書かれた本書の定義であり、目指す目標。初めて読んだとき、ズバっとぶった切れるほどのインパクトがありました。そして続けざまに自分の文章は完読されるものなのか?と自省することに。
完読される文章にするためにはどうすればいいのか? 全5章、77項目にわたってナタリー式のメソッドを公開されています。実際にナタリー新入社員向けのトレーニングということで実践的です。
- 悩まず書くために作文をプラモデル化する
- 基本の構成はサビ頭(大事な話題から言う)
- 感想文やレビューを書くには → 自分の意見ヘツッコミを入れて深堀り
ナタリーのメディア・ポリシーは、【速い】【フラット】【ファン目線】。なぜそれを掲げているかも『新しい文章力の教室』に書かれています。
「書けない」の実情は、「遅い」「まとまらない」「伝わらない」のどれか、もしくは3つともです。そしてこの苦手意識を克服するポイントは、すべて書く前の準備に宿っています。(中略) 特別なことはひとつもありません。下ごしらえさえおっくうがらずにしておけば、文章を書くことにセンスも魔法も必要ありません
新しい文章力の教室 (p5より)
みんなのユニバーサル文章術
どの1文をGoogle翻訳に放りこんでも、ちゃんと意味が通じる外国語に自動翻訳される文章を書く。それがユニバーサル日本語の究極の理想である。
本書を読んで感銘を受けたことが上記です。日本語を母語とする令和の現代人なら誰でも読めて、文意が容易に伝わる書き言葉を“ユニバーサル日本語“と著者は呼ぶ。前半はそれを書くための文章術を徹底解説。
後半は現代人の文章術へ移行。ビジネスメールからTwitter文章術、婚活アプリのプロフィールの書き方、Web記事の”バズり”を目指したいブロガーにまで幅広く応えてくれる本となっています。
性格は穏やかで怒ったりしないです。
みんなのユニバーサル文章術より
星野源を2発殴ったような顔をしています。
自営業で休みは不定期。バイトの子に頭を下げたら調整できます。
婚活アプリのプロフィールにこんなことを書いていたら、確かにユーモアがあって目を引きますね。
著者の安田氏はプロのルポライター。氏のnoteにて本書の内容が読めるので参考にしてみてください。
三行で撃つ
一発外すと、次はない。最初の一文、長くても三行ぐらいでしょうか、そこで心を撃たないと、浮気な読者は逃げていきます。続きなど読んではくれない。
出だしから強めの論調でグイグイきますが、読者のハートを撃つ技巧25発が紹介されています。なぜ銃で例えているかは、猟と文章を書くことがとてもよく似ており、五感を使う肉体的な作業だから。
- 読者はあなたに興味がない。この現実を認めるところから始まる
- 辞書は言葉のエフェクター
- 読ませるためのスピード感、リズム感、グルーヴ感
ちなみに著者の書籍デビュー作は『リアルロック』という本で、日本のアンダーグラウンド音楽(ハードコア、デスメタル、ノイズ)を対象としたもの。
文章は、信号のことだ。だれが読むのか分からない。手にとってもらえるか心もとない。しかし、だれかに伝わることを信じなければ、とても書いてなんぞいられない衝動。叫び。埋め込まれたシグナル。
三行で撃つ 〈善く、生きる〉ための文章塾 (p49より)
著者の最新刊が上記とセットの読書本なのでこちらもぜひ。
書く・続けるための本
書く習慣
書くことを後押し・習慣化のための本です。ここまで文章力アップの本を取り上げてきましたが、”文章の正解なんてない、もっと自分らしく書けばいい!”ってことの大切さを教えてくれます。
著者・いしかわさんが優しくくだけた口調で書かれているので読みやすい。”「うわぁ~」と思ったら「うわぁ~」と書いてしまえ”ってところはモロに出ています。著者を身近に感じさせる点は本書がヒットしている要因でしょう。
- 「自分はアホだ」と思えばアウトプットできる
- 手書きをすると達成率が42%も上がる
- すべての文章は「知るかボケ」前提で書く
最終章に“文章が仲間を連れてきてくれる“という表現がありますが、本著を読んでいて一番納得した部分です。
わたしは当ブログを15年以上書いていますけど、その実感があります。音楽ブログ界隈だったり、レーベルやっている方だったり、SNSのフォロー関係も含めて、書き続けたからこそできた”つながり”が確かにあります。
職業としての小説家
村上春樹という小説家の成り立ち、自身の作家人生の振り返りなど。帯にもある“小説を書き続ける情熱とその軌跡を語り尽くす”とはまさに。
これを読んだときは氏のルーティンに一番驚きましたね。”小説家は自由人”みたいなイメージで思ってましたが、時間割が決められていて確立された執筆スタイルがある。
だからこそ職業人として書き続けることができるし、傑作を多く送り出しているのか。
- 4時頃に目を覚まし、4時間から5時間集中して机に向かう
- 400字詰原稿用紙にして10枚を必ず書く(それ以上以下はなし)。
- 執筆後、1時間程度を走る or 泳ぐ
小説家・創作する方へ向けての提言も多いですが、わたしとしては自分で自分をコントロールすることの大切さ。それが一番に響きました。
2023年4月13日には6年ぶりの長編『街とその不確かな壁』が出ましたね。
Webライティングの本
朝日新聞ウェブ記者のスマホで「読まれる」「つながる」文章術
朝日新聞社が2014年に立ち上げたウェブメディア、withnews。
スタートから5年で月間1億5千万PVを達成し、マネタイズにも成功した極意とは?元編集長が余すことなく伝えてくれるのが本書です。
スマホで読まれることが主流になった今、記事の構成とデザイン、文章をどうすべきか。その本質は“つながる”にありました。
- スマホという読まれる『場所』を意識した文章の書き方
- スマホの『ながら』で読むちょうどいい温度感を調整
- 読まれるための”身近感”の重要性
「スマホという読まれる『場所』を意識した文章の書き方」という点は重要で、読まれない前提で読者の意識をどう向けていくか。オチまでの距離を短くし、タイトルで種明かしするなどたくさんのノウハウが紹介されています。
当ブログはhtmlサイト時代から19年にわたって生存していますが、過去とは違ってモバイル端末での閲覧がもはや全体の75%にまで達しています。そこで読まれるためのヒントがここにあり。
数字がとれる、とれないで判断された結果、たくさんの価値ある情報が日の目を見ず、忘れさられていくのを目にしました。PVが取れなさそう、SNSでバズらなそう。そんな理由で諦めてしまうのはもったいない。情報の原石を輝かせるお手伝いをしたくて書いたのがこの本です
朝日新聞ウェブ記者のスマホで「読まれる」「つながる」文章術 p252
マクサン式Webライティング実践スキル大全
ブログ億り人、マクリン氏&サンツォ氏によるWebライティング本。会社員からブログ収入で独立したお二方が心血を注いで書いたことが伝わる内容です。
前述の『スマホで読まれる~』よりもWebライティングに特化。WordPressでブログを書いている人がメインターゲットになっています。
記事をどうデザインし、目に留まるようにして読者への価値提供をするか。簡単にスクロールされるスマホ端末で抗うための術(文字装飾、吹き出し、箇条書き、図解などの上手な活用法)。
SEOを含めたブログ戦略がたくさんのメソッドと共に紹介されています。
- 閲覧デバイスの大半がモバイルのため、読まれないことを前提としたコンテンツ作り
- SEOとは読者が求める情報を最適な形で届けること
- 「物」を売るのではなくて「物語」を売る
当ブログも本書の内容を少しずつ実践し始めています。結果はすぐには出ませんが、上向いていけばうれしい。
すべての書く人へ向けた本
取材・執筆・推敲――書く人の教科書
キャッチコピーは、”この一冊だけでいい。100年後にも残る「文章本の決定版」をつくりました“
締めくくりに再び登場の古賀氏の書籍。『20歳の自分に受けさせたい文章講義』を経て、職業人として書く人・ライターの教科書まで進化した一冊。
3,300円(kindleだと2,673円)とお値段しますが、考え方から実践まで網羅して本当に全てがつまっています。”取材”の事前準備・具体的な方法が手厚く書かれているのが特徴。
小手先のテクニックが紹介されているわけではないし、最短距離で稼ぎたい人に本書は間違いなく向きません。そもそもページ数が450ページを超えてますからね。
書くためにはとにかく自分と向き合うこと。頭で汗をかき、自分のことばで考えて文章に起こしていく。その気持ちを持って書こうとする人には全力で応えてくれる本です。
まとめ
本記事では以下の9冊について紹介いたしました。
一番オススメしたいのは『20歳の自分に受けさせたい文章講義』。”話せるのに書けない”をどうすれば解決できるかを教えてくれます。
自分も発信してみよう!という気持ちに向かわせてくれる『書く習慣』はとても読みやすく、最初に読んでほしい一冊ですね。
最後に言えることはあります。文章術の本をいくら読みまくっても、書かないと始まらない。
ぜひとも自分の好きなこと、伝えたい事を発信してみてください。人生に彩りがきっと出るはずです。