【作品紹介】chivàla『Boato』

 2017年の終わりにイタリアの都市バーリで結成されたリアルスクリーモ/ポストハードコア5人組。2018年に『EP』、2021年に『EP2』と2作の単独作の発表に加え、いくつかのスプリット作のリリース。またワルシャワのUltimate Screamo Festに参加するなど躍進をみせている。

 本記事は2024年12月27日にリリースされた1stアルバム『Boato』について書いています。

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作品紹介

Boato(2024)

 1stアルバム。全7曲約26分収録。3LAさんからリリースされている国内盤の帯には”喪失の時代を奏でる激情ハードコア”という言葉が躍る。”『Boato』とは喪の精緻化である“と主題はバンドから明言されています。

 ただし、本作を聴いていると喪失に端を発した暗いムードはあまり感じません。La QuieteやRaeinといった同郷の偉大な足跡を追いつつも、陽の気を感じさせる歌が前面に出ています。#1「Oggetto di scena」からメロディアスで昂揚感のあるスクリーモを披露しており、閉ざした心のカテナチオをぶち破るコーラスワークは重要な武器として活用されている。

 #2「Far tremare il corpo」にしても感情の乗り切ったスクリームやイタリア語で捲し立てるスポークンワードを擁しながら、爽快感のある仕上がりその上でGhosts and Vodka的なフレーズから始まる#3「Cuore di pietra」、歌と演奏のスリリングな掛け合いからenvy化していく#5「Non diremo」、Mineral風味のしんみりとしたアルペジオから後半の爆発ぶりが凄まじい#7「Rumore di passi」に至るまで感情の旅路は続く。

 ”喪失は試練であり、物事を別の視点から見る通過儀礼です。何カ月も何年もかかることもあるけれど、やがて痛みは薄れ、人生は続き、それを感じることができる“と3LAさんのインタビューで回答。Touche Amoreの新作『Spiral In A Straight Line』歌詞には”だから私たちは前向きに悲しもう“とありましたが、『Boato』にも哀しみの壁を越えていく感触はある。詞には重苦しさや切実さをにじませていますが、それをメロディに乗せ、喪失を終わりで終わらせないことを訴えている。

そのシナリオを書く者全てのため、その背景になろう 過ぎた時代の小説の様に別れに手を振るためにそこにいよう 前進し振り返ることのない全ての者のために 今、自分達には記憶するための光が要る

Boato#1「Oggetto di scena」国内盤対訳より
3LA
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