2024年ベストアルバム20選

 SNS以前のインターネット的活動をしている最後の生き残りの一味であるらしい個人ブログが送る、年間ベストアルバム2024。今年は20作品を選出しました。第1位は一番最後に挙げている作品ですが、他は特に決めてません。ただ、ABC順ではなく自分の中の流れや思いで下記のような並びにしております。

 長文の戦いがここから始まる。

タップできる目次

2024年ベストアルバム20選

envy『eunoia』

 日本のポストハードコア代表格の8thアルバム。メンバー再編後としては2作目。新たな船出となった前作には自身の音楽性を貫いたうえで、これまでにないほどの温かみと光の強さがありました。本作はその連続性にあるもので、クラシックなenvyの詰め合わせという印象が最たるもの。

 #2「Imagination and Creation」や#5「White Out」から人生の荒波を表現したようなポストハードコアが吹きすさび、#3「The Night and the Void」はワルツ進行でクライマックスへと盛り上げていく中、また新しい朝を迎えるための繊細な感情が吐露される。

 90年代から20年代に至るまでのenvyが顔を出す。その連綿とした繋がりもさることながら、新たな領域へも視野を向けている。2部構成となる#6「Lingering Light」~#7「Lingering Echoes」の前者では電子音で織り上げる冷たいトーンが緊張感を高め、後者では暗黒の世界を疾走する中で”闇を消せ 理想を消すな“という詞が聴き手を奮い立たせます。

 エンディングを飾る#8「January’s Dusk」は前作の「HIKARI」を昇華させたような勇壮で美しい6分間が待っている。envyの歌詞を母国語で読めることは日本人として生まれたことの特権のひとつでしょう。

 弱と強、静と動、闇と光、希望と絶望。その二元性を詞と音で探ってきたバンドですが、本作の無駄のなさ、的確さに驚きます。Blind Justiceを含めると活動歴は30年を超えましたが、ここにきて一番入門向けの作品を生み出すとは。30分という短さが逆に不満となるスゴさ。約束された明日なんてない。けれどもenvyの音楽には”明けない夜はない”という言葉を信じたくなる力がある。

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Alcest『Les Chants de l’Aurore』

 ポストブラックメタル/ブラックゲイズの始祖による約5年ぶりの7thアルバム。タイトルはフランス語で”夜明けの歌”を意味。楽曲制作でスランプに陥っていたそうですが、新型コロナによる隔離期間が結果的に回復期間となり、ネージュが自身の内にある魔法のような別世界と再びつながれたので本作は初期のコンセプトへと立ち返ります。すなわちフェアリーランド浪漫飛行へ聴き手を連れていくこと。

 Alcestの作品でいうならば1stや4thアルバムに通ずる光属性・スピリチュアル・ノスタルジアの三要素が結実した讃美歌として本作は響きます。オープナー#1「Komorebi」から柔らかな春の陽光を思わせる温かさ。それでいて安らぎと幻想性が同居する。

 しかし4thアルバムのようにブラックメタル要素を魔封波したわけでなく、ネージュの絶叫やブラストビートで冷たく暗い瞬間もあれど、それすらも光のターンに回収。#2「L’Envol」にはそれが表れています。INVISIBLE ORANGESのインタビューにありますが、”前作はリフ主体だったが、本作はテクスチャ中心でサウンドを豊かなものにしたかった”という言葉通りの仕上がり。

 加えて、和の心を持ったフランス人・ネージュのさらなる”ジャパセスト化”が進行。#1「Komorebi」という日本語タイトル、#3「Améthyste」には日本的なメロディーを入れ、#6「L’Enfant De La Lune(月の子)」では冒頭で日本語セリフまで飛び出します。スパイスに留めているとはいえ、彼がここ数年にわたって日本語を熱心に勉強していることも背景にありそう。

 “暗い時代だからこそポジティヴで美しいアルバムを作る”という信念が本作にはあったようですが、生ける者全てに対する祝祭の音楽として本作は鳴る。夜明けの歌は、誰しもを優しく温かく照らします。Alcestはやはり神秘的で光属性が強い方がらしさを感じますね。

アーティスト:Alcest
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Casey『How To Disappear』

 2014年に結成された南ウェールズ出身の5人組ロックバンド。2019年に解散、2022年12月に復活して6年ぶりのフルアルバムとなる3作目。

 作詞を担当するヴォーカリストのトム・ウィーバーの人生における痛みと葛藤を反映しており、彼は実際に出生時に骨脆性疾患、15歳で潰瘍性大腸炎、20歳で躁うつ病と診断された経験を持つ(MUSIC&RIOTS MAGAZINEインタビューより)。それがCaseyを表現する上での根幹となっています。

 ポストハードコアと歌ものポストロックの折衷したスタイルが持ち味ですが、1st→2ndと作品を出すごとにスクリームが減って歌の比率が高まっていました。本作では95%は歌もので声を荒げるパートが時折入ってくる程度。エモやポストロックという領域で語られる軽快さとメロウさが全体の瑞々しさを担保しています。

 同じく3rdアルバムで激情系ポストハードコアの大部分をそぎ落として歌もの主体となったPianos Become The Teethの変化に近い道を辿っている。

 始まりの#1「Unique Lights」から心地よいテンポを守り、やわらかなメロディとしっとりとした歌声を届けています。カラッとした開放感のある楽曲から幻想的なナンバーまで取りそろえる中でキャッチーさは過去作と比べても抜きんでている。

 この変化についてはKerrang!のインタビューでクラシック音楽やExplosions In The SkyThis Will Destroy Youに大きな影響を受けたとも回答。旋律や歌を手繰り寄せていくなかでCaseyは、痛みを”美しい痛み”へと昇華するプロセスを持っている。痛みと喪失を通した中で表現されていく愛。『How To Disappear』にはそれがある。

メインアーティスト:Casey
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Codespeaker『Sscavenger』

 ”Bruising post-metal(おそらく痛切なポストメタルといった意)”を掲げて活動するスコットランドの5人組。本作は2ndアルバム。Facebookページに掲載されたリリースコメントには”本作は権力構造の欠点と、その矛先を向ける人々の闘いに焦点を当て、真の代替手段がないことを嘆いている。無力な人々への頌歌(しょうか)であり、この時代にふさわしいテーマだ“と述べています。

 クセではなく圧がスゴい。CodespeakerはCult of Lunaの流れを汲むポストメタルを特徴に持ちますが、より硬質でモノトーンの色調が目立ちます。現存する中で近い存在はBosskなんですけれども、音の質感的にはヴォーカルを入れたOmega Massifみたいな印象を受ける。その昔にDenovali Recordsが出してたポストメタルのライン。こう言うと伝わる人には伝わると思います。

 重量感で破滅を運ぶリフを持ち、アンビエントと時に同盟を結び、スラッジメタル由来の野獣系咆哮が延々と続く(多少のクリーンVoはある)。ひたすらに威圧的で険しい。絶望感の強いThinking Man’s Metalと化していく#3「Rescission」を始め、終末的なトーンが全面を覆っています。

 それでもメロウな瞬間も溶け込ませており、Explosions in the Sky系のポストロックの配合比が高い#7「Karst」のような曲も存在。また#1「USUD」では生得権、#8「Verte」は犠牲による概念を見つめているとのことですが、ダイナミックな音像と共に社会的な問題に踏み込んでいる。畏怖を覚える重低音と理念の建造。

メインアーティスト:Codespeaker
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Pijn『From Low Beams Of Hope』

 UKマンチェスターを拠点に2016年から活動するインスト・バンド。本作は6年ぶりの2ndアルバム。”カタルシス溢れるヘヴィなポストロック”と自らを紹介し、バンド名はオランダ語で”痛み”を意味します(英語だとPainの意味合い)。

 ”悲しみに焦点を当てたこれまでの作品と比べ、『FLBOH』は人生の経過を見通そうとする試みから生まれたもの。テーマ的にもサウンド的にも自分たちの経験を取り入れ、傷つきやすさと内省的なものを同時に感じられるものを作ろうとした”とギタリストのJoe Claytonは話します。

 色濃く表現されていた喪失や悲しみを越えた先へ。内省と葛藤を課しながら希望へと向かう本作は1曲平均11分を数える4つの長編曲で構成。多楽器による重奏はこれまで以上に躍動感と歓喜を運んできます。

 ヘヴィなポストロック/ポストメタルを下地にオーケストレーション要素を強化。ストリングスやホーン、ピアノが美しく調和することで、感情の浮き沈みや人生の起伏を長尺の中で雄弁に表現しています。だからか以前よりもThee Silver Mt. ZionやDo Make Say Thinkっぽいと感じる場面が増えました。

 逆に前作でわずかながらあったヴォーカルは排除。詩のサンプリングと聖歌のようなコーラスが彩ります。#1「Our Endless Hours」から生命に満ちた音の洪水が押し寄せ、リード曲である#3「On The Far Side Of Morning」は”本作で達成したかったことを凝縮した“と話すようにドラマティックな展開とオーケストラルな質感を見事に表現しています。

メインアーティスト:Pijn
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meth.『Shame』

 アメリカ・シカゴのエクスペリメンタル・ヘヴィバンド5人組。本作は4年半ぶりの2ndアルバム。前作から4年半という歳月をかけてより無慈悲に。より残忍に。例えるなら時速150kmで走行可能なThe Bodyのようであり、税金よりも重いノイズを聴き手に課してきます。

 前作までにかろうじてあったハードコア的なスポーティさは感じなくなり、デスメタルやグラインドコアにスラッジ、そしてノイズがかき混ぜられた地獄生産システムが稼働。何よりも重量感をかなり増していて、冒頭の#1「Doubt」から鼓膜を圧し潰そうとする場面に何度となく遭遇することになります。

 作品については”自分の精神疾患(双極性障害)、アルコール依存症、そして人生のストレス要因をさらに無視するために常に自分を圧倒する問題が内在化した恥を感じ、自分自身の問題を乗り越えるために 『SHAME』を書いた“とMetal Injectionにてバンドの中心人物であるセブ・アルバレスは語る。

 タイトルが直訳すると”恥”ですが、私の苦悩と痛みこそがリアルだとしてつづられる歌詞。音としての強度に加え、その言葉にも並々ならぬものがある。#4「Give In」における負のスパイラルから成るノイズの壁、表題曲#6「Shame」の非情さを前にしたら誰だって健康寿命が縮みかけるものです。

 そんな本作はエゲつな大賞2024年ノミネート作品。ジャケットの子どもは両親に一体どこへ連れ出されてしまうのでしょうか。心配です。早まるな。

アーティスト:meth.
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Ben Frost『Scope Neglect』

 オーストラリア出身で現在はアイスランドを拠点に活動する電子音楽家の6年ぶりの6thアルバム。音響系アーティストの中でもとりわけヘヴィかつ実験的だったことで知られるベン・フロストが、本作ではメタルを大いにフィーチャー。

 プログレッシブメタル・バンドのCar BombのギタリストであるGreg Kubacki、そしてMy DiscoのベーシストであるLiam Andrewsが参加しています。

 その大半を委ねられているのがザクザク系の刻むギターリフ。それがうねるビートと正面衝突するかのように張り合ったかと思えば、独り舞台のごとく掻き鳴らしたり、アブストラクトな隙間を補うように配置されたり。あくまで素材としての位置づけで効果を発揮しています。

 かといって生音のフィジカル性を重視しているかと言えばそうではない。エレクトロニクスの光彩や苛烈なノイズと混じることでテクスチャーは常に変相し続けている。メタルを取り入れているとはいえ、メタル的な”型”は踏襲していません。カジュアル化された聴きやすさはなく、作品はブラックホールのような抽象性で占められます。

 #1「Lamb Shift」はアメリカの物理学者であるウィリス・ラム氏のラムシフトに起因するようですし、相変わらず思慮深くもある。具体と抽象、現実と幻想のサイドチェンジを繰り返す中で沼と化していく本作。簡単には抜け出せない。繰り返し聴きたくなる”なにか”がある。#3「The River Of Light And Radiation」の暴走する昂揚感を味わっちゃうと余計にですね。

アーティスト:Ben Frost
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The Body & Dis Fig『Orchards of a Futile Heaven』

 USドゥーム/スラッジ・デュオのThe Body、ベルリンを拠点にするDJ/プロデューサーのDis Fig(Felicia Chen)とのコラボレーション作。

 Dis Figは本作をきっかけに聴きましたが、HYPERDUB辺りを思わせる暗黒トーンのミニマルダブに彼女のエコーをかけた歌声がその音響に溶け込むもの。その特性をThe Bodyの無差別級スラッジが過圧倍々ゲームに拍車をかけ、チップ・キングの世捨て人のごとき甲高い遠吠えが人生終了の警鐘を鳴らす。

 これらの組み合わせがパワーカップルとしてぶつかってきます。ネット回線は重いと困りますが、The Bodyは重くないと困るわけで今回のコラボはきっちりと重い。さらにはインダストリアルな工業的質感も加味されています。

 スピーカーが壊れているんじゃないかと思えるぐらいに歪んだ音が波及する傍ら、単純に地獄行きとはならないのはDis Figの歌やエレクトロニクスに魔性の魅力があるため。#3「Dissent, Shame」や#5「Holy Lance」はどっしりとした重低音支配の中で官能的な揺れ動きを感じさせます。

 全体を通して過酷な消耗戦を繰り広げていても、不思議な中毒性が存在するのが本作の肝。見事なコラボ作。

メインアーティスト:The Body & Dis Fig
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Overhead、The Albatross『I Leave You This』

  アイルランド・ダブリンを拠点に活動するインストゥルメンタル・バンド。バンド名はPink Floydの楽曲「Echoes」の歌詞からとられている。本作は8年ぶりの2作目。インストを主体に壮大なサウンドを生み出していく根幹は変わらずとも、声や電子音の主張が強くなっていることは大きな変化のひとつ。

 スポークンワードをほとんどの楽曲で登場させ、感情の機微やメッセージを明確化。そしてエレクトロニックな要素の増量によって、煌びやかな装いとダンサブルな躍動感を追加しています。

 ”死、喪失、悲しみを悼むとともに、私たち全員が共有するこの人生の畏敬の念と美しさを讃える曲“と表明する#2「Your Last Breath」。荘厳なストリングスとピアノによる装丁の中で、マスロック風のギターループ、声とサックスの追加が感情的な旅路をさらに豊かなものとしており、結成時からのスタイルを進化させていることが伺えます。

 また中盤から後半にかけては東洋的なエッセンスを注入。特にタイトルからして日本人として何かを感じずにはいられない#6「Hibakusha」。作品中で最も重いベースラインによって牽引され、英語の語りが緊張感を高めていくのですが、最終盤においては”全てが灰と化し・・・”から始まる日本語の語りがエンディングを席巻する。

 続く#7「Miss Na Kita」はタブラ風に聴こえる独特のパーカッションがリードし、#8「This is Like Love」はインド映画はご存知かと真顔で迫ってくるかのようで、ワールドミュージックの側面が強化されていることがおもしろい。

 本作は楽曲全体で新しいテクスチャーへの挑戦やバリエーションを担保しています。00年代の遺産を受け継ぐ中でも自由で柔軟な取り込みをすることで、ありがちなポストロックではない作品に仕上がっている。同郷の大先輩であるGod Is An Astronautとは違う宙を航海する大胆で深い発展。

メインアーティスト:Overhead, The Albatross
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NEWMOON『Temporary Light』

 2014年から活動しているベルギー・アントワープ出身のシューゲイザー・バンド。本作は4年半ぶりの3rdアルバム。スロウダイヴのサイモン・スコットがマスタリングを担当し、アートワークはアメリカ人画家であるJanise Yntemaの『Morning Sky』という作品を使用。

 VENTS MAGAZINEのインタビューによると“死、物事の有限性、この世での限られた時間をどう過ごすかといったテーマが盛り込まれています”と話します。

 音像としては”白昼夢”や”幽玄”といった言葉を当てたくなる漂白系シューゲイザー。リバーブやディストーションが加速させるふわふわとした雲のような抽象性に、メランコリックな音色が儚く響きます。生気の薄い歌声はその音像の上をたゆたってる。

 #1「Eternal Fall」から浮世離れした幻想的なレイヤーを成し、#3「Fading Phase」では透明感に満ちたクリーンな音色が後半でギターノイズの音壁が立ちはだかる。さらに#4「Liminal People」はまろやかなNothingのようでもあります。

 作品全体で一貫しているのは夢想的なムード。ゆったりとしたテンポで生み出されていく重層的なサウンドは視聴覚と三半規管を優しく狂わせてきます。子守歌のような瞬間から耳をつんざく大音量までのダイナミクス、それをバランスを意識しながらシームレスにつなげている。その中でもせつなさに満ちた#5「Through the Glass」は必聴。

 #3では”自分を忘れてしまうほど純粋な眠りの中で 霧が僕を包んでいる“と歌っていますが、雲や霧の中をゆらりと漂流するような感覚を本作は与えます。それでも美しさは決して手放さない。合法白昼夢。

メインアーティスト:Newmoon
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BIG|BRAVE『A Chaos Of Flowers』

 カナダ・モントリオールを拠点に活動する3人組。Southern LordやThrill Jockeyといったレーベルからのリリースが続くそのサウンドは”massive minimalism”とも形容されている。本作は7thアルバム。前年にリリースした『Nature Morte』との姉妹アルバムとなります。

 作品自体の変化もあり、ノイズ膨張の果てをみた前作からすると本作には静けさと文学的なタッチが増えています。お助け重音ツインズことThe Bodyとの共作『Leaving None But Small Birds』で聴かせたフォーク・ミュージックの強化。

 ”よりヘヴィなLow”という表現を海外誌では見かけましたが、わたしの感触だと2005年に復活して以降のEarthが近いと感じています。#2「not speech of the way」は特にそう思わせる。息苦しくなるほどの過圧的なギターノイズから繊細につま弾かれるアコースティックの滴りまで。そこにあるのはボリュームの大小にとどまらない滋味深さでしょう。

 また本作を形成する歌詞は国や時代を越えて女性作家からインスピレーションを受けており、その名にはエミリー・ディキンソン(#1)、ルネ・ヴィヴィアン(#3)、エミリー・ポーリン・ジョンソン(#8)、与謝野晶子(#2)などがあがる。彼女たちが体験したことを現代的に翻訳しながら、今も同じ問題を抱えていると訴えます。

 そびえ立つ岩山のような厳しさも月明かりのような儚さもある#8「Moonset」を聴き終えた時には心には重いものが渦巻く。ソフトとラウドの循環というよりは共存、そんな花の混沌に酔いしれる。

メインアーティスト:Big Brave
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40 Watt Sun『Little Weight』

 UKのドゥームメタル・バンド、Warningの中心人物として活躍したPatrick Walkerによるプロジェクト。2009年から始動しており、これが4thアルバム。

 前作は完全なソロ作でしたが、本作は固定された3人のバンド編成で制作。音楽的には2ndと3rdをミックスしたイメージが浮かびます。ドゥームにもフォークにも直行しない音楽性を維持しつつ、これまでのキャリアを通して最も温かさと情熱を感じるアルバムに仕上がっている。

 #1「Pour Your Love」から重厚なサウンドを再召喚しているとはいえ、温かみのあるディストーションが空間を覆う。駆け足すら許さないペースは変わらずも、情熱的に歌い上げる場面が増えているのは特徴のひとつです。ほろ苦さや物悲しげな雰囲気が流れ込みもしますが、前向きなエネルギーが以前よりも強い。

 白眉なのは#3「Astoria」。ギターが築く分厚い層の中でアコギの旋律とPatrick Walkerの歌声が美しい瞬間を生み出し続ける。くたびれたオッサンの哀歌がなんでこんなに沁みるのか。4分20秒辺りからのギターソロもまたこの詩情に見事に寄り添っています。

 即効性とは無縁であり、彼の音楽は結論を決して急がず。言葉と芸術は遅く味わうものであるという姿勢は崩しません。喪失感という主題をずっと取り上げ続け、音楽を通して人生の複雑さを語る。それが40 Watt Sunの使命であるかのように。

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toe『NOW I SEE THE LIGHT』

 日本のポストロック代表格の9年ぶりの4thフルアルバム。 ”結局俺らは別に全てにおいてオリジナルな音楽をやってるわけではなくて、自分が考えた「いい音楽」、自分が考えた「かっこいい組み合わせ」みたいなものを、自分のバンドでやってみたらどうなるのかな?みたいな感覚でずっとやってて、サンプリングの感覚に近いのかも(Rolling Stone Japanインタビューより)”

 そう発言してますが、USインディーやR&Bにヒップホップ勢から影響されてもtoeというフィルターを通した先にあるのは、結局はtoeでしかないという着地点。#1「風と記憶」や#7「キアロスクーロ」における繊細さとダイナミクスの妙は、まさしくtoeのロールモデルと呼ぶにふさわしいものです。

 涼やかなギターフレーズ、変則的かつ小気味よいリズムを標準装備した上で本作は湿っぽい山嵜さんの歌を4曲と増量。それに”俺の考えたフラメンコギター”でラテンな雰囲気に近づけた#3「TODO Y NADA」、ファニーな電子音とストリングスが溶け合う#6「CLOSE TO YOU」辺りは新たな雰囲気をもたらしています。

 初期のような忙しなさや焦燥感は薄いですが、水の静かな動きを表現する仕事人としての気質、50代を迎えたメンバーが放つ寂しげな哀感が作品に通底しています。何よりも他に表現しようのないtoeっぽさの尊さに胸が打たれる。ラストを飾る表題曲#10「NOW I SEE THE LIGHT」のもの悲しさと余韻よ。

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Chat Pile『Cool World』

 2019年にオクラホマシティで結成されたスラッジメタル/ノイズロック4人組。本作は2ndアルバム。タイトルはブラッド・ピットが主演を務めた1992年公開の同名映画『クール・ワールド』より拝借(参照:Bandcamp)。The Flenserから引き続きリリースされています。

  “このアルバムは反戦を訴えるもので、どの曲も戦争がどれだけ嫌いかを歌っている。人間の最大の恥だ“とCrack Magazineのインタビューで答えており、ノイズロックとスラッジメタルが悪魔合体したサウンドを懐刀にChat Pileは世界に警告しています。冒頭の曲で、”I am Dog Now”と野蛮に叫びまくる中年男性たちが正常かと問われれば疑問符はつきますが、心身が容赦ない総攻撃にさらされていることは確かです。

 震動が伝わるほどのベースラインとグルーヴの強調はバンドの幹。そこにギターが暴力的なリフから不気味なメロディ、おちょくった単音フレーズをのっけて悪意を拡散。ヴォーカルも恨み節をつぶやいたり、叫んだりしながら不機嫌で荒くれた性質を寄与しています。

 本作の象徴で最も反戦的なメッセージを明確化した#2「Shame」、地獄の幕開けから奇妙なメロディを散りばめて混乱と発狂を招く#4「Funny Man」、ノイズの砲撃が一段と過激さを増す#10「No Way Out」と楽曲は相変わらず強力。

 ”こういうことを話さない奴らは臆病者だ。これが芸術を創る目的なんだ、分かるだろ?“とは再びCrack Magazineのインタビューにある言葉。品行方正な音楽ではなかろうとChat Pileの猛烈なノイズロックと鋭い政治的主張は本作でも明確です。

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VMO『DEATH RAVE』

 Vampilliaのメンバーを中心としたブラックメタル+電子音楽+ストロボの新感覚プロジェクト、VMO a.k.a Violent Magic Orchestraによる8年ぶりの2ndアルバム。ヴォーカルにザスターさまが加入してからは初のフルアルバム。

 端的に言えば前作が陰キャ、本作が陽キャ。前作はスリル満点のアトラクションしかない遊園地の様相で、ひたすら暴力的かつノイジー。対しての本作はテーマパークとしての煌びやかさと多様性が増しており、レイヴ感とファンタジー要素が濃くなっています。

 逆にブラックメタル的なものは薄まる。デジタルハードコア的な運動エネルギーの方が感触的には強いですね。それに加え、暴徒化するノイズを抑制するメロディの美しさやキャッチーな仕掛けも前作からの進化。

 #4「Choking Persuasion」や#7「Satanic Violence Device」、#9「VENOM」の高速化&スクリームでブルータルEDMとしての轟きますし、#12「SUPERGAZE」は稲妻が輝く瞬間が何度なく訪れる痛快さ。

 VMOストロボウォリアーズによる音と光のハイパーインフレは、日頃のストレスをチャラにする過激な祝祭を夜通し繰り広げます。でも惑星ヘルベテックに強制連行されないように用法・用量には注意。それぐらい中毒性が強いんで。豊田市駅前のフリーライブ以来8年ぶりにVMOのライヴをみましたが、これはウケるわとめちゃくちゃ思いました。あと10月にLOUNGE VIOでもう1回ライヴが見れました。

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Pallbearer『Mind Burns Alive』

 アメリカ・アーカンソー州のドゥームメタル4人組の5thアルバム。バンド名は棺桶担ぎ人を意味する。

 ”これまでよりもダイナミクスとサウンドの色彩を深く追求している。真のヘヴィネスとは感情の重みから生まれるものであり、感情を伝えるために時にはひたすら殴打することが正しいアプローチではないこともある、というのが私の信念だ”とブレット・キャンベルは本作について述べる。

 作風としては3rdアルバム『Heartless』を掘り下げた感じで、もっとメロウで古風な薫りが包み込む。繊細なヴォーカリゼーション、緩衝材としてのシンセやサックスの流入、クリーンなギターソロなど。

 曲尺は変わらずに平均8分30秒を数える中(10分超が2曲あり)、ゆったりとしたテンポの中で孤独と苦悩という内省的なテーマを織り上げ、瞑想的なトーンを保っています。ドゥームメタルらしい重厚さや煙たさを押しつけがましく表現しないバンドでしたが、これまで以上にまろやかに歌い上げている。特に#4「Endless Place」は必聴。

 バンドのアイデンティティを維持しつつ音の重さではなく、感情で階級を上げて聴き手の真に迫ろうとする。『Mind Burns Alive』はタイトル通りに精神的な部分を強調した作品であり、幻想的な柔らかさを帯びていても絶望が滲む。

このアルバムは、人生の負の転機に打ちのめされたと感じたことがある全ての人、自分の大切な人たちが自分自身の影に堕ちていくのを見たことがある人、信じるべき何かを探し求め、結局何も得られなかった人のためのものだ。

Pallbearer 公式Facebookページの投稿より (ブレット・キャンベルの発言)
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Respire『Hiraeth / 失われた郷愁』

 カナダ・トロントを拠点に活動するDIYオーケストラル・ハードコア7人組の4thアルバム。ミックスとマスタリングをJack Shirleyが担当。本作の主題に挙げているのは”移民体験のマニフェスト”であり、その当事者としての経験が作品の源泉となっています(国内盤をリリースしている3LAインタビューより)

 envy+Godspeed You! Black Emperor+Broken Social Sceneといった元々の音楽性に前作ではブラックゲイズ的な要素も強化されていました。音楽的にはこれまで通りの多様性と包括的な作風は維持していますが、ハードコア寄りに回帰しているように感じます。ブラックゲイズ~デスメタル的な集中砲火は控えめであり、#2「The Match, Consumed」や#9「Do the Birds Still Sing?」の激しさはエモバイオレンスといった表現の方が近い印象。

 そしてメルヘンチックな色合いが濃くなったこと、以前よりも全体的に陽光を浴びた温かさがあることもポイントに挙げられます。ヴォーカルをのぞいてインディーロック風味強めな#5「Home of Ash」、移民である自分たちの不安定な立場を歌った#7「The Sun Sets Without Us」などではキャッチーな表現も増えている。ゆえにこれまでのフルアルバムで最も聴きやすい。

 またある種のドタバタ劇のような狂騒とドラマ性からは、Vampilliaが近い存在になったとも感じられます(#6や#8は特に)。トラック間をシームレスに移行する試みも含め、『Hiraeth』は作品を通してこれまでよりも大きな体験を提供しています。 その上でRespireのハーモニーは希望と連帯を呼びかけている。

このアルバムは希望とより良い未来を求め、人生と家族を根こそぎ奪ってきた人々への賛辞であると同時に、社会的地位という幻の特権に甘んじ、自己満足に浸っている人々への戒めの物語でもある。手遅れになる前に共通の人間性を受け入れ、私たちの存在の脆さに目覚め、私たちが集団で直面している危機に立ち向かおうという呼びかけである。

『Hiraeth』リリース・インフォメーションより
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Frail Body『Artificial Bouquet』

 2017年にアメリカ・イリノイ州で結成されたスクリーモ/ポストハードコア3人組の4年半ぶりの2ndアルバム。プロデュースはPete Grossmannが務め、マスタリングはJack Shirleyが担当。アートワークはジェイコブ・バノン(Converge)が手掛けており、DEATHWISHからのリリースです。

 1stからの進化は目覚ましい。エゲツなさ養成ギブスで鍛錬したのか、電気ケトルよりも時短沸騰のブラストビートとトレモロリフが本作では目立ちます。そして前作よりも全体的なスピードが増している。

 #1「Scaffolding」~#2「Berth」からフルスロットルの総攻撃で、ロウウェル・シャファーのギャアギャア系ハイトーン絶叫も鼓膜を喰いちぎろうとする勢い。ブラックゲイズとリアルスクリーモの合成獣と化しており、かつてスプリットを共にしたInfant Islandとしのぎを削っている印象は強いです。

 加えて緩急の緩の有効利用。メランコリックな旋律の挟み方に巧みさがあり、リード曲#6「Refrain」においても暴力的な色彩で埋める中でも引きの上手さは目立つ。

 アルバムのテーマはNEW NOISEの記事を引用するならば、引き続き母親の死の永続的な影響、孤立や絶望、そして社会的な問題に目を向けています。#3「Critique Programme」で”生産性で人生の価値を決めるのは正しいことなのか?”と訴え、#9「Horizon Line」は母親の臨終に立ち会わなかった一生の悔恨をつづる。

 全11曲が一枚岩となった容赦ない高速殴打の40分ではありますが、道中にはロウウェルの人生譚を悲痛さと激情が入り混じりながら吐露される。ゆえに心身に強烈に響く作品です。来年1月末の来日公演が楽しみ(チケット確保済み)。

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MONO『OATH』

 日本が誇るインストゥルメンタル・バンドの12thアルバム。バンド結成25周年を飾る作品で、長きに渡ってタッグを組んできたスティーヴ・アルビニと最後のオリジナルアルバム(サントラやEPの発売は予定されている)。

 これまでとは違い、悲壮感や怒りといった負の感情で膨れ上がる大音量はなく、作品に漂うのは大らかさや懐の深さ。もっといえば愛です。ゆえにMONOの全カタログの中で最も光と神聖さに溢れています。

 フルオーケストラを携え、クラシックとバンド音楽を密に融合する手法を研ぎ澄ませる。そこに調和された音楽としての豊かさを感じさせますが、これまで以上に穏やかで優雅な演奏が際立ちます。

 #1「Us, Then」では近親者の死を始め、大切な人たちへの弔いをシンセのフレーズに託しており、これが終曲#11「Time Goes By」まで繰り返し登場。そのモチーフは死は決して断絶ではなく、人々の記憶の中で生き続けることを示唆します。

 悲しみと喜び、光と闇、生と死。長きにわたって対極の二面性を追求してきたバンドですが、辿り着いたのは万物に対する慈愛。そしてMONOが25年にわたって信じ続けた美や希望が『OATH』にあります。11月20日に行われたSpotify-O-EASTでのオーケストラとの公演も素晴らしかったです。

メインアーティスト:MONO
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Tenue『Arcos, bovedas, porticos / 弓形、穹窿、柱廊』

 2017年から活動するスペイン・ガリシア地方出身のハードコア/パンク4人組の3作目。”人生に対する怒りと愛の爆発”をネオクラストの拡張性でもって表現するTENUE。1曲約30分の2作目『Territorios』の経験から、本作はさらに豊かな音色と説得力を増しています。

 1曲平均7分を数える尺。その中で鋭いギターリフやD-BEATを中心としたクラストやハードコアの特攻を軸とし、そこにインディーロックやエモ、ポストメタル、ボサノバといった要素をスポット的に活用しています。またブラスセクションを導入していることも大きなトピックのひとつ。心拍数をぶちあげる激しさをアルバム全体に含んでいるものの、型から時折はみ出すことで進化と真価を見せつけています。

 序曲にして作品の素晴らしさをプレゼンする9分間の先行曲#1「Inquietude」から、連帯を呼びかける凱歌としてこれ以上ない仕上がり。十八番である鉄砲玉のようなクラストを見舞う中で、本作で重要な位置を占めるトランペットが伸びやかな響きをもたらし、インディ/アンビエント・パートが雰囲気を和らげます。そして終盤に訪れるコーラスワークには心の内から熱いものがこみ上げる。

 1曲目を聴き終えた時点でこのアルバムはスゴくないか!?という衝動に駆られますが、以降も真夏にストーブをつけるような情熱が迸る。#2「Letargo」では序盤のマスコアちっくな激闘を繰り広げた後に初期DIIVに通ずる涼やかさにシフト。それは懐にするっと入り込めるメロディ、歓喜を分かち合う歌がTENUEの手中にあることを証明しています。

 違うチャネルをなじませる手腕もさることながら、特徴的なのは全曲にスリリングな突撃のフェーズを介入させていること。それが様々な要素をブレンドした上でバンドの芯となる部分(パンク/クラスト)をさらに輝かせているように感じます。

 まくし立てるように聴こえる語感(おそらくガリシア語)をハードコアの叫びを通してより熱く。そこで歌われているのは探求してきた自己、政治、世界情勢といったもの(3LAさんリリースの国内盤が対訳付き)。”肉が引き裂かれる虚無の時代の渦(#1)“、”現代は炎のよう そこにも飢餓は存在する(#3)“と悲観はこぼれますが、聴衆に共闘を訴え、鼓舞する音楽であることにTENUEは情熱を燃やし続けています。

 2024年の”絶対に聴き逃してほしくない作品”のひとつ。本作が私の2024年ベストアルバム第1位です。

俺たちは当初から、自分たちが属するべきジャンルの美学的規範から逃れたいと思っていた。放棄された送電線も、廃墟も、頭蓋骨も、ハイパーコントラストの白黒画像もない。これはある種の意思表明である。俺たちはパンクだが、それは美学のためではなく、俺たちの存在とバンドにおける機能のあり方を考えているからだ。俺たちはアナーキストであり、さまざまな政治的プロジェクトに積極的に参加している。もちろん象徴的なものは重要だ。それを壊すことと同じくらい重要だ。

「ハードコアは40人の前で演奏されるために作られた音楽」 Interview with TENUE (2024) by 3LA
メインアーティスト:Tenue
¥1,980 (2024/12/17 05:58時点 | Amazon調べ)

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9分もあるこの曲を狂ったように再生回数したので年間ベストアルバムです。再生回数2位と3位もTenue。

2024年参加ライブ一覧

07/04 Jambinai @ 梅田クラブクアトロ公演より
  • 01/27 Elephant Gym @ 名古屋ボトムライン
  • 03/17 Melvins @ 心斎橋JANUS
  • 04/14 OOPARTS 2024 DAY2(toe, Elephant Gym, LITE, 9mmなど) @ 岐阜市文化センター
  • 04/17 VMO @ 今池HUCK FINN
  • 04/20 Codeine @ 新栄Live&Lounge Vio
  • 05/11 Dark City(Ulm、Hello1103、ALIBICOUNTS) @ 鶴舞DAYTRIP
  • 05/19 Svalbard & Kokeshi @ 鶴舞DAYTRIP
  • 05/24 Pohgoh @ stiffslack venue
  • 06/08 the neverminds @ 鶴舞DAYTRIP
  • 06/14 DIR EN GREY @ 愛知県芸術劇場大ホール
  • 06/30 cali≠gari @ 名古屋E.L.L.
  • 07/04 三国演義(Wang Wen 惘闻 / MONO / Jambinai) @ 梅田クラブクアトロ
  • 07/13 清春 @ 名古屋ボトムライン
  • 09/02 UNEARTH @ 上前津CLUB ZION
  • 09/22 Megumi Acorda @ 鶴舞DAYTRIP
  • 10/12 ANDROGYNOS(DIR EN GREY, PIERROT) @ 代々木第一体育館
  • 10/14 VMO, Talpah @ 名古屋LOUNGE VIO
  • 11/20 MONO @ Spotify-O-EAST
  • 12/03 DIR EN GREY @ ZEPP NAGOYA

 5年ぶりのSvalbardやcali≠gari、7年ぶりのANDROGYNOS、13年ぶりのMelvins、14年ぶりのUNEARTH、15年ぶりのMONOとオーケストラ共演、18年ぶりの清春ソロ(黒夢とVISUAL JAPAN SUMMITではみてます)とお久しぶりのライヴがいろいろ。そしてお初のPohgoh、Jambinai、Codeineを体感する機会を与えてくださった招聘元の方々に感謝。

 2025年もチケットを5公演ほどすでに確保しているので、生き延びないといけませんね。

あとがき

 2004年1月に当ブログ/サイトを開設して今年でまるまる20年。18歳の頃に始めたのに今や39歳です。4年間更新していない時期があったとはいえ、17年は書いている。たびたびSNSでは見かけますが、狂っている部類の人間に入りそう。でも、これをやることが自分の正常を保つでもあったりするんですが。

 加齢と共に強まる諦観。先が短くなっていくにつれて”自分に何が残せるか”をよく考えます。私は頭が悪いのでシーンがどうとか書けないし、爆発的なPV数が見込める記事もつくれません。やっていることは作品について書くというシンプルなこと。その10数年の積み重ね。それが何かにはなっていると信じたいものです。勝手にやってるから報われないし、お金にもならないんで謎の信仰ぐらいはさせて欲しい(苦笑)。

 上半期ベストでも書きましたが、今年に読んで良かった書籍『スマホ時代の哲学 失われた孤独をめぐる冒険』。ここにあるエヴァンゲリオンの加持リョウジを引き合いに出した”スイカを育てるような何か”。それが私にとってこのブログです。2025年も当ブログは続きます。自分の生活の一部として粛々と淡々と。

過去のベストアルバム記事

お読みいただきありがとうございました!
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